TOPPAN SOLUTION

コーポレートコミュニケーションの最新動向

統合レポートの傾向

統合レポートの今とこれから

この1年を通じての一番の出来事は、2013年12月にIIRC(国際統合報告評議会)から国際統合報告のフレームワークが公表されたことです。それを受けて、発行企業がますます増大傾向にあります。
また、レポート内で重要視されるものとしてESG(環境・社会・ガバナンス)情報があげられます。特に欧米では、投資の判断材料として、その傾向が顕著です。このことは、ESGに配慮した責任投資を行うことを宣言したPRI(国連責任投資原則)への署名機関数からもうかがえます。現在、署名機関数は1,200件を超え、運用資産は45兆ドル規模に達しています。

統合レポート2014基本情報

今回の調査・分析では、9月までに発行された統合レポートから、50社を選び傾向を探りました。
まずは、冊子タイトル。社名+レポート、アニュアルレポート、コーポレートレポートと続きます。昨年と同じ傾向ですが、今年はコーポレートレポート、統合レポートの増加が目につきました。ページ数は60ページ前後が最も多いものの、全体的にはコンパクト化の傾向にあるようです。フレームワークで簡潔性が謳われていることも影響しているのかもしれません。一方、補完ツールは、かなり浸透してきています。WEBでの開示が主流ですが、内容として一番多かったのはファクトブックです。冊子制作にあたっての環境配慮に関しては、9割近くが何らかの環境配慮を実施しています。「FSC認証紙+ベジタブルインキ+水なし印刷」をセットで対応しているケースがよく見受けられ、特にFSC認証紙の増加が目立ちました。

制作面でのポイント

フレームワークでは、統合レポートの定義が次のように述べられています。『組織の戦略、ガバナンス、パフォーマンス、および見通しが、外部環境を背景に短・中・長期の価値創造をいかにしてもたらすのかについての簡潔なコミュニケーションのこと』。また、以下の表にある「7つの基本原則」「8つの内容要素」も掲載されています。
これらを踏まえながら、「資本理念」「ビジネスモデル」「マテリアリティ」「中長期戦略」「企業価値創造」などについて表現したコンテンツを設けることも大きなポイントになるでしょう。

効果的な統合レポートづくり

初めから理想的な統合レポートを制作しようと思うのではなく、自社の状況にあわせて少しずつステップアップするのが肝要です。「企業価値創造のプロセスをかわりやすく語る」統合レポートは理想ですが、企業の特性によっては、CSR中心、サステナビリティ中心、といったケースもあると思います。
また、統合レポートだけでコーポレートコミュニケーションを完結できるわけではありません。会社案内や財務情報、非財務情報、またWEBサイトなどを含めた最適なツールラインアップを検討する必要があるでしょう。統合レポートの立ち位置によっても考え方は変わってきます。一般層向けか、専門家向けか。統合レポートを軸に、コーポレートコミュニケーションの最適化を図ってみてはいかがでしょうか。

統合レポートの方向性と課題

統合レポートの基本的な構成例を見てみましょう。全体の流れとして「戦略」「価値創造」「経営基盤」「パフォーマンス」と続くレポートが多いのですが、これではフレームワークに述べられている「資本分析」「ビジネスモデル」「社会課題」「価値創造のプロセス」などが組み込まれていません。
フレームワークを実現させていくためのポイントとしては、5点に集約することができると思います。

最後に、統合レポートの今後について触れておきたいと思います。統合レポートは、財務情報と非財務情報の結合から始まりました。そして、フレームワークが公表され、企業価値創造の概念図が作成されるようになりました。統合レポートの国内の傾向として、今はちょうど、この段階でしょう。では、次はどうなるのか。企業のオリジナリティをいかに表現するか。私はこれに尽きると考えます。冊子などの形態にこだわることなく、企業のオリジナリティを表現していくことが、次代の統合レポートになるのではないでしょうか。

加藤 公明(かとうきみあき)
凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター マーケティング企画部 コーポレートコミュニケーションチーム IR・統合報告担当 加藤 公明(かとうきみあき)
10年以上にわたり、IRビジネスに関わる。株主通信、IR Webサイトなどの個人投資家とのコミュニケーション施策、株主総会の企画・運営、アニュアルレポートの発行など数多くの案件を手がける。また金融機関向け施策の実績が豊富で、特にディスクロージャー誌については毎年分析資料を発行し、最新動向の把握に努めている。最近では企業価値を伝えるツールとして統合レポートに注目しており、グローバルな視点で今後の展開を注意深く探っている。

ページトップへ