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実践!インターナル・ブランディング パネルディスカッション 「いま、求められるインターナル・ブランディングとは」

それでは、最後のテーマ、多様性と理念浸透の課題です。ダイバーシティが重視される中で、性別や人種はもちろんのこと、価値観の多様性が求められています。その一方で、意識統一を目指して理念・ビジョンを浸透させていかなくてはなりません。このように多様性を認めつつ理念を浸透させるには、どのように考えて展開していけばいいのか。難しい問題だと思いますが、いかがでしょう。――前田

清水氏

まず社内の「とんがった人」に対して、一緒に考えたり、社内イベントなどに協力してもらえるか、ということが大事ではないかと思っています。まず多様性を重視する。意見が違うということを承認する。違って当たり前だということをルール化する。そこから一致点や共有点、さらには共感する部分を見つけ出すためのビジネスとしてのコミュニケーションが必要なのです。違っているということを前提にして、どうやって合意するか。繰り返し、繰り返しコミュニケーションを図る中で、お互いに「これは認められるな」「これは素晴らしいな」「これは美しいな」と思えるところを探し出していく。そこから共有できることも見つけられるのではないでしょうか。

佐藤

社員を全部同じ色に染めてしまおうとするのは、全体主義みたいになってしまいます。従業員に多様性があるのは当たり前で、その中で共通する目標や価値観を、しっかりと伝えていけばいいと思います。
経営層から社員に「こうしろ」と一方的に命じるのではなく、従業員全員で会社の将来像やあるべき姿を考えて、理念やビジョンづくりの段階から社員を巻き込んでいく。こうして共通のアイデンティティや価値観ができ、組織全体に共有されていれば、あとは個人ごとにいろんな考えがあって良いと思いますし、それが本来のインターナル・ブランディングではないかと思います。

これまでのプログラムを含めて何かご質問等ございましたら、お願いします。――前田

質問者1

インターナル・ブランディングをやっていく中で、トップのコミットメントは必須だと思います。ただ、中にはその実用性・有用性を理解されない社長もいらっしゃいます。その場合、下の人間からトップの意識を変えるためには、どうすればいいのでしょうか。何かポイントがあればお聞かせください。

佐藤

非常に難しい問題で、ブランディング・プロジェクトを検討する際、最初は現場の従業員と経営層とで意識の乖離があることがあります。ただ、トップのコミットがないままプロジェクトを始めてしまうと、途中で頓挫して最終的に全体のモチベーションが落ちてしまうというリスクもあります。そこは、時間をかけてトップに理解してもらうしかありません。
ある企業のブランディングを手掛けたときにはプロジェクトのスタートまで5年くらいかかりました。まず、同じ課題意識を持つ人たちが社内勉強会を開くなどして、周囲から味方を作っていき、それを社内からグループ会社に広げて…という方法をとりました。少しずつ仲間を増やして、トップも含めた社内全体の雰囲気を作っていくというやり方は、一つの方法だと思います。

清水氏

個人的な経験を含めてお話しますと、まず社内で誰もが認める実績を作ること。2番目はトップの信頼をどうやって獲得するか。この2点がないまま進行して、「きみは何を言うか」って言われてしまったらおしまいです。環境を構築できたら、「社長は何をやりたいんですか」「何を課題としているんですか」ということを、何回でも聞くことです。そうしたことから、チャンスを見つけていくということではないでしょうか。

質問者2

佐藤さんのプログラムの中で「自分ごと化させる仕組み」というキーワードがありました。弊社でもここに課題感を持っていまして、多様性なり、働き方改革の制度づくりにおいて、自分ごと化させるポイントみたいなものがあれば教えていただきたいと思います。

佐藤

人の意識や行動を変革しようという話なので、これをやると絶対大丈夫という正解はありません。ただ一方的に上から方針を押し付けたり、指導をするだけでは、なかなか行動の変化は起きないでしょう。やはり、従業員一人ひとりがどう行動すべきかを自ら考える機会や場の設定が必要だと思います。
ある会社の例では、常に「期待を超える」ということを自分たちの行動指針にしていました。どうしたら「お客様や周囲の期待を超えられるか」を常に考え、行動することを目指したのです。そしてそれを意識付けさせるために、例えば部下が上司に資料など提出する際に、上司は必ず「俺の期待を超えているな」と口癖のように聞く。そうすると、普段から相手の期待を考えて、それを超えるにはどうしたらいいかということを、各人が考えて動くようになります。そのように、日常業務の中で一人ひとりが自社のあるべき姿を意識するような仕組みや機会を設けることが大切だと思います。

清水 正道(しみず まさみち)氏

日本広報学会 経営コミュニケーション研究チームリーダー 清水 正道(しみず まさみち)氏
CCI研究所代表、日本パブリックリレーションズ協会 監事。日本能率協会広報部長・主任研究員、淑徳大学教授、日本広報学会 理事長・常任理事などを経て現職。

佐藤 圭一(さとう けいいち)

凸版印刷株式会社 ブランディング・ディレクター 佐藤 圭一(さとう けいいち)
広告会社の営業職を経て、2006年凸版印刷入社。以来ブランドコンサルティング部門にて、企業理念やビジョンの策定、CI・VI開発、組織風土改革や広告・広報の支援など、ブランドを起点に企業経営とコミュニケーションの両サイドからコンサルティングサービスを提供。日本マーケティング学会・マーケティングサロン委員、日本パブリックリレーションズ協会・広報委員なども務める。著書に『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』(講談社)。

前田 啓太(まえだ けいた)

凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター 課長 前田 啓太(まえだ けいた)
約20年にわたり、IRやCSRのコミュニケーション支援から、CSR戦略構築支援、企業ブランディングまで、CCトータルプロデューサーとして幅広い領域をカバーする。LACP「Vision Awards」、東証「ディスクロージャー表彰」、環境省「環境コミュニケーション大賞」、東洋経済新報社「環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞」など、アワード受賞実績も多数。

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