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実践!インターナル・ブランディング パネルディスカッション 「いま、求められるインターナル・ブランディングとは」

近年、社会環境が目まぐるしく変化しています。例えば、CSRからはじまり、CSV、ESGへ。また、女性活躍、ダイバーシティ、LGBT、最近では働き方改革など、毎年さまざまなキーワードが出てきます。こうした状況の中で、インターナル・ブランディング、コミュニケーションにも変化が生じているのではないか。この点についてどう感じていらっしゃいますか。――前田

清水氏

一番は人材観が変わって来ているのではないかと思います。いま新卒採用は売り手市場ですし、一方で企業は定年延長。若手は足りないけれど年配の社員の比率は増している。また、中途採用市場も活発化しており、優秀な人材は流出していく。優秀な人材をどう引き留め、モチベートしていくか、なのでしょう。
こうした状況下で、インターナル・コミュニケーションをどう活性化させていくか、企業トップの関心も高まっているようです。企業は常に新事業・新商品の開発を目指していますが、そのための経営戦略を効果的に進めるにはこれまでにない発想・取組が必要ですので、やはり社員の意識を変えていかなければいけない。そのためのインターナル・コミュニケーションの新しい仕組みづくりが、各企業において進められているように思います。

佐藤

市場が成熟する中で、企業の経営戦略は新しい市場を創造し、革新的な事業を生み出すことが求められています。そのために従業員をはじめとした組織自体も変革していこうとする方向に向かっています。そこで従来の縦割り組織ではなく、グループ会社間や部門間で連携しシナジーを生み出すべく、横のつながりをもっと活発にしたい、組織全体の一体感を醸成したい、という考えからインターナル・コミュニケーションに注目しているのではないでしょうか。
そしてもう一つ、ブランディングの視点から見ると、現代は従業員自身がブランドを作る時代ではないかと考えています。従業員それぞれが普段の生活の中でSNSなどによりさまざまな人、社会とつながっています。その中で、従業員が自分の会社を好きであれば、自然に家族や友人・知人など多くの人に、自分の会社や自社商品を宣伝してくれることになるでしょう。今後は、こうした従業員を自社のファンにさせるという動きも必要になってくるのではないかと感じています。

次に、インターナル・ブランディング、コミュニケーションにおいて、どういった層をターゲットにするべきか、アドバイスをいただければと思います。
――前田

清水氏

難しいところですね。リーダークラスの社員にしわ寄せが全部集まっているのが現状です。例えば、新事業開発・新製品開発において、「君はリーダーなんだから部内をまとめて引っ張ってくれ」と言ったときに、十分に実力を発揮できる環境になっていないのではないでしょうか。会議をどうやって上手く進めていくか、どうやって部下の気持ちを引き出すのか、そういったツールを彼・彼女らに本当に与えているでしょうか。
こうした場合に、日本の企業で最も遅れているのはコミュニケーション技術です。「話せばわかる」「話せば伝わる」と思っていないでしょうか。こちらから単に話すだけでは相手の納得を得られないということが、さまざまな研究でも証明されています。相手の受容性を高めること、つまり聞く気になってもらわなければ左の耳から右の耳にすっぽり抜けてしまいます。だからこそ、こうしたリーダークラスにコミュニケーションの技術をきちんと身に付けさせる必要があるのです。

佐藤さんは、実際にブランディングのプロセスにおいてワークショップを行っていますが、どういった社員に参画してもらうのが一番効果的なのか、お聞かせください。――前田

佐藤

ブランディングプロジェクトで行うワークショップは、企業の将来像を検討していくものなので、やはり現場の第一線で働いている従業員が中心になります。これらの従業員の中で今後「自社ブランドの伝道師」になるような人は、多忙な中でも目の前の自分の仕事ばかり一生懸命やるのではなく、少しでも会社や周囲を良くしようと常に考えているのではないでしょうか。言い換えれば組織全体を活性化させるような人が本来のリーダーであり、忙しくても周囲を巻き込んで会社を良くしていこうというような志がある人を選ぶ必要があると思います。

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