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実践!インターナル・ブランディング インターナル・コミュニケーションの潮流と課題

これからのICメディア

少し昔になりますが、1959年に日経連が出した『社内コミュニケーションの実際』という実務書に載っていた表です。日本の企業内メディアは社内報だけでなく、記念祭、表彰式、家庭訪問や家族の慰安会・工場見学なども入っています。こんなにメディアがあったのにいまでは忘れられてしまったものもあります。もう一度自社の中を調べていただくと、われわれの日本企業には“見えていない”大変なコミュニケーション資産があるのではないでしょうか。
また、かつての社内報は人事部や総務部が所掌していた重要な社内コミュニケーションツールでした。それが時代が移り、広報部に移管されるようになって、経営戦略や人事戦略と連動するという役割が薄れてきているのではないでしょうか? 非常にもったいない状況にあると感じます。

一方、欧米の社内メディアの概念は図のようになっています。社内報(社内誌)、イントラネット、ニュースレター、この辺は日本の企業もだいたい同じです。大きく異なっているのは、マネジメント・カンファレンスなどの対面で行う双方向性のあるコミュニケーションです。これはCEOやトップと直接対話する場であり、タウンホールミーティングや車座などとも呼ばれています。もう一つは、グループブリーフィングで、上司と部下のミーティングやいろいろなプロジェクトの打ち合わせなどが想定されています。
これらの部分が、いま注力されているところです。調査した7社の企業が最も力を入れているのは、トップが現場と対話する、あるいはトップがスタッフと対話すること。従来の日本企業の広報の取組範囲から抜けている部分です。しかし社内制度として確立されていないところが多く、トップの能力や意向に負っている会社がほとんどなのが現状です。

人事労務管理から人的資源管理(HRM)へ

いま働き方改革や残業規制が注目されていますが、大きな流れとしては、欧米では1980年くらいから、日本では21世紀に入ってから、従来の人事労務管理から人的資源管理(HRM:Human Resources Management)に移行しつつあります。会社側が発信する経営ビジョン、あるいは働き方改革に関わるメッセージなどを見ますと、今後もこの方向に沿って進んでいくのではないでしょうか?
たとえばコミュニケーションの部分を見ると、「限定的な流れ・間接的」とある。つまり社内メディアを使って限られた相手に間接的に伝えるものから、「増大的な流れ・直接的」、つまりメッセージをさまざまなメディアで直接的に伝えるようになると見ています。労務管理自体も変わっていくことになり、事務処理中心から常に変革・革新をめざし、経営トップ、部門長、ラインの各管理者が中心となります。また仕事の面でも、集団的な管理から個人を主体にどうやって組み立てるのかなど、個々の管理も変わっていくと思います。

欧米でいまいわれている、ステークホルダー・エンゲージメントの発展過程を図で示しました。ステークホルダーの中には当然社員も入っています。こうしてみると、日本企業はまだまだ発展途上の段階でないでしょうか。

最後に

今回、各社を訪ね歩いてわかったことは、日本の先進企業がいろいろな意味で大きく変わってきているということです。われわれも研究で一方的にデータを集めて分析するだけではなく、企業と一緒に考えていきたい。そうすることによって、次の新しい時代が見えてくるのではないかと思います。この調査の概要は私どもの日本広報学会のウェブサイト(http://jsccs.jp/)にも載っていますので、詳しくはそちらをご参照ください。

清水 正道(しみず まさみち)氏

日本広報学会 経営コミュニケーション研究チームリーダー 清水 正道(しみず まさみち)氏

CCI研究所代表、日本パブリックリレーションズ協会 監事。日本能率協会広報部長・主任研究員、淑徳大学教授、日本広報学会 理事長・常任理事などを経て現職。

日本広報学会

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