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凸版印刷株式会社 3Dデータの活用について「駿河版銅活字」失われた文字の復元

400年の時を超えての復元に挑戦

皆さんは、駿河版銅活字をご存じでしょうか。駿河版銅活字は、徳川家康の命によって鋳造された日本で一番古い金属活字です。当時は、11万余字はあったとされています。しかし、家康の死後、火災により約3分の2が焼失、失われてしまいました。今回は、この失われた文字を復元させる取り組みを試みました。ちなみに、現存する駿河版銅活字は重要文化財に指定されており、印刷博物館が所蔵しています。
駿河版銅活字(印刷博物館所蔵)

失われた活字の復元プロセス

失われた文字の再現にあたっては、いくつもの最新ソリューションを用いました。ソリューションとともに実施概要をご説明したいと思います。

1)三次元計測
現存する活字から、大きさ、形状を確認します。過去の文献資料に計測されたサイズの記載はありますが、mm単位までです。今回は、Artec Spiderという3Dスキャナを使って計測し、大きさを計測しました。

文献資料との比較

  高さ
文献資料 12mm 16mm 18mm
計測データ 12.5mm 16.7mm 17.7mm

2)高精度全文テキスト化システム
「失われた文字」は、「書物にある文字」から「現存する活字」を差し引くことによって推定することができます。99.99%以上の精度を持つOCRの高精度全文テキスト化システムは文字種を分類・整列させる事ができるので、書物にどの文字がいくつあるかを正確に把握できます。これを使うことによって、「失われた文字」を特定することができました。

3)オルソスキャナ
インクにはにじみがありますので、印刷された文字より活字のほうが小さいのではないか、という疑問が残ります。そこでオルソスキャナを使用して歪みの無い並行投影で画像を取得し、活字の文字面を実測。今回の測定では、ほぼ同サイズであることが確認できました。ただし、今後、サンプル数を増やすなど引き続きの調査は必要と考えています。

4)3DCG
「書物からスキャンした文字」と「活字からスキャンした形状」を3DCG上で合成。そして、古活字の特徴である谷を深く彫り込む薬研(やげん)彫りを再現しました。

復元された「天」と「地」

以上を実施し、失われた活字の「天」と「地」の3Dデータを作成し、3Dプリンタで出力。今回は、アクリル素材での出力で、サーフェイサーで表面処理を施しています。
当時と同様の墨を使っての印字ではありませんので、完全な再現とはいきませんでしたが、相当な精度の再現はできたのではないかと思っております。今後は、ほかの文字の再現にも挑んでいきたいと思っています。

小室 哲郎(こむろてつお)
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 トッパンアイデアセンター クリエイティブ本部 映像企画部 デジタルアーカイブチーム 小室 哲郎(こむろてつお)
1990年、凸版印刷に入社。ステレオ写真(立体写真)の企画・制作・撮影を担当。2000年よりデジタルアーカイブに従事。三次元計測、高精細撮影、特殊スキャナの開発等を行う。

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