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一般社団法人 3Dデータを活用する会・3D-GAN 検証『MAKERS』MAKERS“ムーブメント”をモノづくり産業の視点から

多くの産業で使われている3Dデータ

1990年代から工業製品の形状や設計、寸法を決める作業は3Dデータで行われています。
アニメーション・映像・立体視映像・ゲームは、3Dデータをコンピュータの中で動かしていますし、医療・歯科医療分野では、骨や歯のブリッジ、医療模型などで活用されています。建築・土木・設備では、実際の建物のイメージを伝えるために使われてきましたし、ジュエリー・アクセサリーなども3Dでモデリングし、3Dプリンティングでつくられています。このように3Dデータは、多くの産業ですでに使われている技術です。

「3Dデータ産業」を活性化していくために

産業同士の関係は薄いように見えますが、「3Dデータを活用する」という部分でつながっています。これを「3Dデータ産業」というくくりで団体にすればイノベーティブなことが起こせるのではという思いから、2007年に設立したのが「3D-GAN」という業界団体です。セミナーや講演、アプリケーション開発などを通して、3Dの普及活動を行っています。
また、同年に立ち上げた会社(株式会社ツクルス)では、3Dプリンタの出力サービスを行っています。当時、インターネット上にある情報を調べてみた限り、このような会社は見当たらなかったので、日本最古の3Dプリンタ出力サービス会社だと思います。

そもそも3Dプリンタとは

3Dプリンタとは「材料積層式造型機の比較的小型、廉価な機種」であり、ざっくり言えば「工作機械」です。材料を積層するものであれば方式は問わず、数十万円の個人用から、大規模な産業用まであります。三次元の加工には、①切削、②塑性変形、③積層、と大きく3つありますが、3Dプリンタの加工方法は、③の「積層」にあたります。その原理は、ソフトクリームのようにXとY軸で平面をつくってZ軸を下げることで材料を積層し、立体化していくことにあります。

3Dプリンタは革命的か

3Dプリンタが注目されたのは、クリス・アンダーソン著『MAKERS』からです。IT化には「過去、大勢いなければできなかったことが、少人数でもできるようになる」という変化があります。これはビジネス系、映像系、印刷系、ソフトウエア開発系で実現されており、製造業でも約10年前から発揮されています。このような中、『MAKERS』の内容を要約することこうなります。

製造業は、もっと小さい単位の集団で営むことが可能になっている。
小さい単位の集団が製造業を営むためには、ソーシャルや3Dプリンタが役に立つ。この変化はとても革命的だ。

“この変化”とは “3Dプリンタ”を指すと捉えがちですが、私は “もっと小さい単位の集団”の方だと思います。3Dプリンタは1984年に開発され、工作機械としてポピュラーになったのは90年代からです。3Dプリンタが革命的なのだとしたら、今は「革命が終わった時期」になってしまいます。

大手製造業における3Dの役割

大手製造業メーカーは、なぜ早くから3Dプリンタを使えたのか。その理由は単純で、設計・製造が3Dデータになったからです。産業の工程には、企画→コンセプト→詳細設計→生産→販売・保守とありますが、製図では時間がかかりすぎます。また、各セクションで設計データが変わってしまうと情報のロスにみなります。そこで全行程でマルチユースするために3Dデータが必要とされ、その中で3Dプリンタは試作づくりに活用されてきたのです。

プロフェッショナルメーカーズの知識を活かす

3Dデータや3Dプリンタは新しい技術ではなく、産業界が中心となって発達してきたものです。ですから、単に技術について知ろうとしても本当の理解を得ることはできません。ムーブメントとしてではなく、20年、30年前から仕事で活用してきたプロフェッショナルメーカーズたちの知識を活かすことが必要です。
そしてまた、今後も多くの方に3Dデータを活かしたモノづくりにご注目いただきたいと思います。

相馬 達也(そうまたつや)
一般社団法人 3Dデータを活用する会・3D-GAN 理事長 相馬 達也(そうまたつや)氏
90年代初頭からCAD/CAM/CAE/PLM企業において工業デザイン、設計・製造、生産分野における3D化に携わり、 大手自動車・家電メーカー、金型・部品加工メーカーからフィギュア等のホビー製品市場まで幅広く活動。 株式会社グラフィックプロダクツ執行役員兼株式会社リアルファクトリー代表を経て、2007年10月に株式会社ツクルス(tkls)を設立。従来の枠にとらわれず、「ツクル・ココロ」を広範囲に支援する企業活動を展開中。

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