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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

特別編集号 Sputniko!'s World

発想が変われば、世界が変わる。

若くしてマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの助教となり、2014年には『日経ビジネス』誌の「THE  100  2014  日本の主役」にも選出。トッパンとのコラボレーションを通じて、新たな「共感の未来」を模索するスプツニ子!さん。世界から評価されるその発想は、いったいどこから来るのだろう?

デザイン・フィクション

―― MITに移られて3年、ボストンと東京を行き来する生活が続いているとお聞きします。

 MITでの学生指導の日々に加え、展覧会への参加、日本での講演や企業とのコラボレーションなど、どれだけ時間があっても足りないといった感じです。だから、時々ツイッターで弱音をはいたりしています(笑)。

―― お忙しい毎日を過ごしているスプツニ子!(以下、スプ子)さんですが、現在、MITでご自身が率いている研究グループ「デザイン・フィクション・グループ」について教えてください。

 デザイン・フィクション・グループでは、テクノロジーの未来を既存の価値観とは別な価値観から考察し、「こんな未来があったらどう思う?」とデザインを通して問題提起しています。
 ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で私の先生だったアンソニー・ダンが提唱する「スペキュラティブ・デザイン」(※1)の考え方を受け継いでいる研究グループなんですが、グループの名称自体はスペキュラティブ・デザインでもクリティカル・デザイン(※2)でも、正直何でもよかったかもしれない(笑)。ただMITでは、RCAのような美大と違い、実際にテクノロジーの研究をしている研究室に囲まれていることもあって、私たちの発信している作品が「100%リアルな研究」と誤解する人が現れてしまう可能性がありました。そこでそういった誤解を避けるため、「これはあくまでリアルとフィクションの融合した、未来への問題提起」と伝わることを優先した結果、SF作家のブルース・スターリングが提唱した「デザイン・フィクション」という言葉をグループの名称に採用しました。

―― デザインというと機能性や見た目の美しさで語られることが多いと思いますが、なぜ、こうした研究グループを立ち上げようと思ったのですか?

 人工知能やVR(Virtual Reality:仮想現実)、ブロックチェーン、再生医療など、21世紀のテクノロジーはものすごいスピードで進化しています。それにイギリスのEU離脱や、今回のアメリカ大統領選など、政治変革もすさまじく、私たちは不測の時代に生きていると思います。
 一方でこうした技術革新は、たくさんの倫理のジレンマと対峙しなければならない宿命を背負っているのもまた事実です。たとえば、人工知能の台頭は人に知性の本質を問いかけるだろうし、ブロックチェーンは私たちの資本主義を根底から覆すともいわれています。また、再生医療は、生命に関する考え方を揺さぶるでしょう。そんなふうに考えると、倫理や価値観って、テクノロジーの進んでいく方向性を決める重要なファクターになるし、逆にテクノロジーにとてつもなく影響を受ける、強い相互作用があるものなんですよね。

答えが見えないからこそ、その未来について、人は戸惑いながらも妄想し始める。

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