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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.10 3Dが切り拓く世界 - 活用が進む3Dプリンタ -

3Dプリンタの基礎知識

データから立体物を造形する3Dプリンタ

すっかり身近な存在となった「3D」。実際に、映画やテレビ、ゲームなどで体感したことのある人は多いのではないでしょうか。さまざまにある3Dの中で、今、特に注目を集めているのが、「3Dプリンタ」です。3Dプリンタとは、3DCADデータや3DCGから立体物をつくり出すための造形装置のことをいいます。3Dのデータがあれば、そのとおりの形を造形することができる。そのため、誰もが自分の考えたデザインを、簡単に形づくることが可能になる。そんなことが話題となって、3Dプリンタに多くの人の関心が向けられるようになりました。

データから立体物を造形する3Dプリンタ

3Dデータがあれば立体物の造形は自由自在に

3Dプリンタ注目の背景

3Dプリンタが注目されるようになったきっかけは3つあります。
1つが2012年に米国で発行された「MAKERS(メイカーズ)」(クリス・アンダーソン著)です。この中で、「アイデアがあれば製造知識、設備がなくても誰もが“一人メーカー”になれる」として、ものづくりの変化の象徴的な存在として3Dプリンタが取り上げられたのです。3Dプリンタが歴史上初めてといえるデジタルの「家内制機械工業(パーソナルファブリケーション)」を実現するものとして、話題を呼びました。
2つ目は、米国オバマ大統領が、今後4年間で1,000カ所の学校に3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を完備する工作室を開く、オハイオ州に3Dプリンタ技術を追求する研究機関を設立する、と政策を打ち出したことです。
3つ目は、低価格の3Dプリンタの出現です。3Dプリンタといえば、以前は数千万円から中には億を超えるものまでありました。しかし近年、一部特許が期限切れになったことや、技術革新などにより、一部で低価格化が進行。ローエンドのものに限ると10万円台のものも登場し、家電量販店などで販売されるまでになったのです。
また、米ガートナー社が「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2013年」でコンシューマ向け3Dプリンティングを「過度な期待」のピーク期にあると位置づけていることもブームを裏づけています。

3Dプリンタの仕組み

3Dプリンタは別名「積層造形装置」ともいわれており、その名のとおり一層一層、材料を積層していき造形します。積層する原理にはいくつかの方式があり、方式ごとに使える材料や造形物の特性は異なります。ここでは、4つの方式について説明します。

1)光造形方式

3Dプリンタの中でもっとも歴史の古い方式です。液体樹脂を満たした槽に紫外線レーザーを照射し、照射された樹脂部分が硬化することで立体が造形されます。

2)粉末焼結積層方式

粉末にした材料に高出力のレーザー光をあて焼結させ造形します。レーザーで焼結するので高精度で強度が出る反面、表面はざらついた感じになります。

3Dプリンタの仕組み

3)熱溶解積層方式(FDM方式)

材料を熱で溶かして糸状の融解液にし、断面を編むように蓄積積層、固化して造形します。低価格で販売されている個人ユーザ用のモデルの多くがこの方式です。

4)インクジェット方式

材料をインクジェットのノズルから微細粒子にして噴射して積層して造形します。紙を印刷するインクジェットプリンタの原理を応用した造形方法です。

3Dプリンタの仕組み

3Dの造形には積層造形の方法以外に、大量生産に用いられる型に材料を流し込み造形する塑性変形方式や、切削方式などもあります。

活用が進む3Dプリンタ

3Dプリンタによってつくり出された立体造形物。実際にどのように活用されているのでしょうか。
まずは、企業の製品開発の現場での活用が考えられます。従来、新製品を開発するためには、試作品を時間とコストをかけて、金型から作成する必要がありました。そのため、全てのアイデアを試作してみることもできませんでした。しかし、3Dプリンタを活用することで、金型なしでも試作品をつくることができるようになり、製品開発の期間短縮とコスト削減が可能になったのです。
また、私たちの身のまわりでは、フィギュアやアクセサリー、宝飾品、模型、文化財のレプリカなどにも活用されています。
そのほか、今、大きく期待されているのが医療分野です。人工骨や義肢装具、歯型、インプラント、手術の事前確認のための模型など既に活用されているものもあれば、動脈や臓器など再生医療分野での開発、研究も進んでいます。

活用が進む3Dプリンタ

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