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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.2 「電子書籍の今」 後編

公式伝記「スティーブ・ジョブズ」世界同時発売、紙と電子の同時発売の軌跡

関係各所の全面協力が出版を支えた

11月21日の発売に向け、順調に進むかに見えた出版までの作業。しかし10月5日(現地時間)、スティーブ・ジョブズが急逝。これを受け、発売日は10月24日へと大幅に早まりました。
「原稿が完成してから世に出るまで、通常のスケジュールからは考えられないような、光速とも言えるスピードで彼らは対応してくれました。本当に修羅場の連続だったと思います」(渡瀬さん)

「世界同時発売、しかも次から次へ前倒しされる発売日に間に合わせるのが大変でした。原作はほぼ完成しているので英語版ならそのスピードでも対応できるでしょうが、こちらは日本語に翻訳する時間が必要。このような場合、通常ならば数人で手分けして翻訳して間に合わせる場合もありますが、これまで何冊もジョブズ関連書籍の翻訳を手がけてきた井口耕二さんお一人にお任せすることにしました。かなりタイトなスケジュールに変更されていくなか、原稿が届いた順にお渡しして翻訳を進めていただきました。最後には缶詰になって翻訳を進めていただくなど大変なご苦労をおかけしましたが、おかげで書籍全体のクオリティが統一された完成度の高いものを世に出すことができました。井口さんあっての出版の成功だと考えています。徹夜続きの作業でしたが、何よりやりがいのある仕事なので、まったく苦にはなりませんでした。この仕事に携われる喜びのほうがはるかに大きかったですね。販売部のほうは、販売・宣伝戦略を熟慮する時間がなくて苦労したようですが」(柿島さん)

「電子書籍は、紙の書籍が校了してからでないと作業にかかれません。制作に4週間、電子取次さんに納品してから電子書店店頭に並ぶまでに2週間かかるのが通常です。この時間をいかに詰めるかが課題でした。Ⅰを校了したのは10月14日の金曜日でしたが、土日も潰して制作会社の皆さんが電子化作業を5日間で成し遂げ、納品してから電子取次さん、電子書店さんも5日間で配信作業の用意をしていただき、25日(金)15時の一斉配信売にこぎつけました。これは最短記録だと思います。電子書店さんは発売に対し非常に協力的で、発売の1週間前から事前告知をするなどの対応もしてくださいました。発売日が早まったことでさまざまな問題がありましたが、誰もがこの書籍の発売という目標にむけて団結し、全力を注いだおかげで無事、発売に間に合いました」(廣瀬さん)

関係各所の全面協力も手伝い、伝記としては過去に例をみないほどの売れ行きとなった『スティーブ・ジョブズ』。
「発売日にいくつかの書店に行きましたが、どこも大きく扱ってくれていて、注目度の高さをあらためて実感しました。書店で自分たちが手がけた書籍が購入されるところを見かける機会はそうありませんが、今回は目の前でどんどん売れていく様を垣間見ることができました」(渡瀬さん)。
紙、電子ともに発売から半年が経過する現在も売り上げランキングの上位をキープしています。

止まらない反響と、続くサービス

「伝記」というカテゴリーにおいて、これほど注目が集まる書籍が出版されることはめったにないと柿島さんは言います。
「編集者人生においても、一生に一度、出会えるかどうかと言っていいほどの作品です。誰もがこの仕事に携われることの誇りと喜びを持って懸命に取り組んだ結果とも言えます。編集者冥利に尽きるとはこのことです」(柿島さん)
「ありがたいことに、多くの読者から感想をいただいています。読者の世代が幅広いのも、この作品の特徴ですね」(廣瀬さん)。
大きな注目と期待を背負っての発売となりましたが、販売部数は期待をはるかに上回る結果となっています。
「発売後しばらくしてからⅡの巻末に「主な登場人物」「参考文献」「注」「人名牽引」「著者インタビュー」「訳者インタビュー」のデータをつけた「増補版」を配信開始しました。同時に、付け加えた部分だけを「無料小冊子」として0円で各電子書店さんにて配信開始しました。後からこのようなサービスができるのは電子書籍ならではですね」(廣瀬さん)。
「紙の書籍と電子書籍の両方を購入するファンもいらっしゃるようです」(柿島さん)
紙は保存版にして、アップル社の製品で電子版を読むことも、ファンにとっての喜びなのかもしれません。

世界の注目を浴びた出版、ジョブズの急逝による発売日の大幅な繰り上げなど数々のハードルを乗り越えて紙・電子世界同時発売を成し遂げた『スティーブ・ジョブズ』。書籍としての魅力はどうでしょうか。
「まるごと1冊どこを読んでもおもしろい書籍です。幅広い読者層に読んでいただいているようで、たくさんの感想が寄せられており、大変光栄に思います。十代の若い世代からの反響も多く、うれしいですね」(柿島さん)
「『スティーブ・ジョブズ』は2巻に分かれています。1巻は知らなかったジョブズの素顔が、2巻になるといま世に出まわっているアップル社の製品がどんどん出てきて、さらにおもしろくなります。ビジネスのヒントもたくさん詰まった、ビジネス書としても価値ある作品です」(廣瀬さん)
「注目に値する並はずれた人生を歩んだ」スティーブ・ジョブズの最初で最後となった公式伝記は、並はずれたスピードと熱い思いに支えられて出版された作品でもあります。

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