TOPPAN SOLUTION

WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.5 ideanoteセミナー「2012年のCSR活動に向けて」報告

ISO26000から考えるCSRのグローバル展開とステークホルダーエンゲージメント

誰の「社会的責任」か

 ここで考えていただきたいのは誰の社会的責任なのか、「主語は誰だろう」ということです。答えは、「社会に関係するすべての人々」。企業はもちろん、政府、市民、NGO、NPO、教育機関などなど、すべての人々の課題であって、すべての人々が課題に取り組む責任があるのです。ただ、このなかでも一番期待が高まっているのが、企業(CSR)です。

“C”SRへの期待が大きい背景

 では、なぜ企業なのでしょうか。ここに企業への期待が高まることを示す象徴的なデータがあります。世界各国のランキング(GDP)に多国籍企業を入れ込んだデータです。1位のアメリカからはじまって、中国、日本と続き、25位のノルウェーまで国が続きます。注目すべきは26位です。ここにウォルマートが入っています。その後はまた国が続くのですが、37位ロイヤル・ダッチ・シェル、38位エクソンモービル、39位にBP社。日本企業もトヨタ自動車が48位、日本郵政グループが49位にランクインしています。一国のGDPを超える企業が数多く存在しているのです。
 つまり、企業は非常に大きな経済的影響力を持っており、世界で提供している商品やサービスを考えると、市民や消費者、地元企業へリーチする力も大きい。社会の課題を解決していくためには、企業の影響力を有効に利用することが重要になってきます。CSRへの期待が高まる理由が、こうした背景にあるわけです。

バリューチェーン視点での取り組み

 バリューチェーンには、「資源採掘・原料調達」「開発・生産」「販売・物流」「販売」「使用」「廃棄・リサイクル」といったプロセスがあります。こういった一連のプロセスにおいて、どういった人々が関わっているのか、それらの人々がどういった環境で暮らし、仕事をしているのか、といった視点でみていくことによって、これまでにない活動のアイデアが生まれたり、事業につながるチャンスも生まれるのではないかと思います。

ステークホルダーエンゲージメント

 ISO26000においては、いかにエンゲージメントを作っていくのかは、非常に重要といわれています。まず、単方向コミュニケーションにおいては、「報告」「フィードバック」。例えば、レポートの作成やWebサイトでの情報発信などが挙げられるかと思います。次に、双方向コミュニケーションでは「対話」。ステークホルダーダイアログなども、これにあたります。さらに、その先の信頼性を高く、関わりあいを深く持つところが「エンゲージメント」です。他社とともに同じ方向、目標を持って進む姿勢がこのエンゲージメントです。
 もう一つ、非常に重要なものが、「対話」と「エンゲージメント」の間に隠れています。それが、「自社の決意」。自社が何を行って、何を行わないか。この判断、決断があるか、ないかが圧倒的な差として現れてきます。

まとめ

 ISO26000は、世界の課題が一望できる非常に貴重なツールです。この「持続可能な開発」実現のための規格を単にチェックリストとして活用するだけでなく、自社のCSR方針の見直しや発展のために積極的に活用していただきたいと思っています。次に、社会にはさまざまな課題があります。それらのなかから、自社にとって影響の大きい、強みが生きる、将来的に事業拡大の可能性がある、といった視点から取り組み分野の特定が必要になってくると考えています。3つ目がバリューチェーン。バリューチェーンという視点によって、より広域な貢献領域や事業とのリンクの可能性が見えてきます。ぜひ、CSRや事業活動を見直す機会にしてほしいと思います。4つ目がステークホルダーエンゲージメント。これによって、自社にない専門性やネットワークを持っている組織とつながることができます。ですので、自社だけでは解決できない課題への取り組みが可能になります。最後が、社会価値と企業価値の両方を高めていこうと視点です。積極的に、どのように価値を見出していくか、どういったところに可能性があるのか、そういう視点でISO26000を活用していただきたいと願っています。

エクベリ聡子(さとこ)氏
株式会社イースクエア 取締役 エクベリ聡子(さとこ)氏
企業における環境・CSRの戦略策定と推進のためのワークショップ、講演、ステークホルダー・ダイアログ、人財育成等に携わる。企業約50社が参加するCSR情報プラットフォーム「CSRコンパス」の運営に従事。個人の活動として、アフリカ・ザンビアの国立公園付近の村で、大人の学び場を設置し、地元の人々(特に女性)の自立支援を行う。東北大学大学院環境科学研究科非常勤講師。

ページトップへ

WEBマガジン

2011年版  CSRレポート分析データ集

キーワード辞典

統合レポート・CSRレポート作成のサポートは
こちら

統合レポート・CSRレポート作成のサポートはこちら

WEBマガジン vol.1

WEBマガジン vol.2