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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.5 ideanoteセミナー「2012年のCSR活動に向けて」報告

2011年版CSR報告書からみる2012年CSRコミュニケーションの傾向

この1年で社会はどう変化したか

社会の変化

 この1年を振り返ったときに、私たちを取り巻く状況は大きく変化しました。もっとも影響を及ぼしたのは東日本大震災ですが、海外に目を向ければ世界経済不安が挙げられます。震災直後よりも日本の株価は低迷し円高が景気の低迷に拍車をかけています。海外では、ギリシャ危機が不安を再燃させています。新しい変化としては、ソーシャルメディアの拡大。そして、CSR関連ではISO26000が注目されるところです。
 では、それらがもたらす変化とはどのようなものでしょうか。企業は東日本大震災を経験して、安全・安心、資源・エネルギー、BCP(事業継続計画)に対する再考を迫られました。消費に対する考え方にも大きな影響を受けました。企業も同様に支出を絞り、本当に必要なところに予算をかけるようになりました。
 CSR活動においてはISO26000が発行されたことで、人権や労働、コミュニティ参画などへの対応が強化されるようになっています。
 今後、影響を与えそうなのがソーシャルメディアです。マーケティングの権威、フィリップ・コトラーは『コトラーのマーケティング3.0』の中で、「企業の隠ぺい、うそ、誇大な宣伝広告は通じなくなる。企業理念やビジョンを大切にし、本物、誠実、公正、透明性を持つ経営こそが、インターネットのニューウェイブの時代には必要である」趣旨のことを述べています。これはCSR経営そのものです。「本物」「誠実」「公正」「透明性」であることこそが武器となってきているのです。

CSRから企業をブランディング

 企業にとって、「アイデンティティ」「事業基盤」「マーケティング」のすべてがCSRにかかっており、いずれも欠くことはできません。アイデンティティのある明瞭なメッセージ。持続可能性、社会的責任を担った事業基盤。顧客接点での共感を得るマーケティング。これらを互いに連動させ、一貫性をもって取り組むことが企業価値の向上につながっています。

グローバル展開

 日本企業がグローバル展開していくなかで、収益を上げるエリアも国内中心から海外中心、特に新興国・途上国へと移行しています。収益の7割、8割が海外という企業も珍しくない状況です。
 そうした状況に、ISO26000の中核主題をかけ合わせると、人権、労働慣行の重要性がはっきりみえてきます。企業の内に向けては、ダイバーシティ、正規・非正雇用の問題が浮き彫りになってきます。外に目を向けると、CSR調達の課題へとつながっていきます。それが新たなビジネスに向かうと、ソーシャル関連ビジネスを展開することが求められるでしょう。

コミュニケーションがどう変わるのか

CSRコミュニケーションのステップ

 大きく3つのブロックに分けることができます。まず皆さん、CSR元年を思い出してください。日本国内の情報を集めて、しっかりとした分厚い報告書を日本語で作成した企業がほとんどだったのではないでしょうか。次に、企業がグローバル化するに従い、外国語の冊子、Webサイトを発行する企業が増えてきました。内容も海外のグループ企業の活動を含むようになってきました。しかし、日本のヘッドクオーターからの発信というスタイルを保っています。そこからさらに進化すると、グローバルサイトが中心となります。日本も情報発信の1拠点となって、エリア別、国別などのリージョナル版発行へと移行していくでしょう。
 ちなみに現在はというと第2ステップ、つまり海外情報も含め多言語化して発行する企業が主流となっている状況だと思います。

CSRコミュニケーション

 CSRコミュニケーションのあり方は、上場企業か非上場企業かによって大きく変わります。上場企業であれば、投資の対象となるので、投資家や評価機関を意識した形態が考えられます。一方で、マルチステークホルダーを意識することも重要です。各分野の専門家からの評価を得てエンゲージメントに活かすことや、一般生活者、消費者などにわかりやすく伝えて理解してもらうためのコミュニケーションツールにすることも考えられるでしょう。
 Webと冊子で考えた場合はどうでしょうか。Webは全方位です。全方位のなかで、投資家に向けた経営戦略を伝える指標やデータを駆使する方向もあれば、一般の生活者にわかりやすく伝えるために動画やSNSなどを駆使する方向もあると思います。冊子も考え方は同じです。アニュアルレポートとの統合、統合まではいかなかくても詳細な情報も伝えるレポート、ある程度絞り込んでコンパクトに抑えたもの(全方位的な情報はWebにまかせて一般の方にアピールするためにわかりやすくまとめる、ダイジェストにする)あるいは社内啓発に重点を置き社員に向けて発信する、なども考えられます。
 ポイントは誰に向けて、何を発信するかを戦略的に考えてCSRコミュニケーションのあり方を考えることだと思います。

今津秀紀(いまづ ひでのり)
トッパンアイデアセンター マーケティング本部 ソーシャルマーケティング部 今津秀紀(いまづ ひでのり)
1992年凸版印刷入社。制作ディレクターとして、企業のセールスプロモーションやコーポレートコミュニケーションを手掛ける。1999年から、環境コミュニケーション関連の企画を担当。現在は、環境、CSRを切り口にした企業のソーシャルブランディング支援業務を行っている。CSRに関するセミナー講演やステークホルダー・ダイアログのファシリテーター等の経験多数。企業と社会フォーラム(JFBS)学会 プログラム委員会委員

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