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vol.5 ideanoteセミナー「2012年のCSR活動に向けて」報告

2011年版CSR報告書からみる2012年CSRコミュニケーションの傾向

2011年版CSR報告書の分析からみる傾向

 今年も各社からCSRレポートが次々と発行され、ほぼ出揃った時期かと思います。2011年版のCSRレポートには、どのような特徴がみられるのでしょうか。
 その特徴を読み解くために、トッパンでは優良企業50社のCSRレポート(冊子、Webサイト)をベンチマークして傾向をまとめました。50社の選定にあたっては、グローバル100や各種アワード受賞、各種企業ランキング上位などを参考にしました。平均的な傾向というよりも「CSR先進企業の傾向」といっていいでしょう。一歩先んじている企業の傾向から2012年のCSRコミュニケーションを探っていきたいと思います。

開示のしかた
CSRサイトの開設

 まず注目すべきは、CSRサイトを持つ企業が100%であったことです。50社すべてが何らかの形で、Web上においてCSR活動を報告していました。情報発信がWebに移行している、Webの役割が高まっている証明でしょう。
 では、CSRサイトへのアクセスはWebサイト上のどこに位置しているのでしょうか。一番多かったのは、画面の上部などにあるグローバルメニューで33社(66%)でした。年々上位項目に上がってきており、今後も上位項目への移行は続くと思われます。

冊子報告書のページ数

 冊子のページ数をみてみましょう。ボリュームのある冊子は減少しており、36ページ以下のものが増加しています。この傾向は、今後も続くと思われます。しかし、印刷をしないレポートが増えているわけではなく、PDFのみの発行は5社にとどまっています。
 発行のあり方で注目すべきは、新メディアへの対応です。スマートフォンやタブレット端末でも閲覧できるよう対応している企業も登場しています。フェイスブックでCSR情報を提供する企業も現れました。この動きは少しずつ広がっていくでしょう。

グローバル化による多言語化

 外国語への対応は、一番多いのが英語(43社)で、次に中国語(12社)です(CSRサイト)。グローバル化の流れのなかで、外国語対応が増えているのは実感しているところです。

会社案内や財務報告書を含む報告対象

 CSRレポートにアニュアルレポートの報告要素を組み合わせた「統合レポート」という言葉を耳にする機会が増えてきました。財務情報を組み合わせたほうがいいのではないかという議論はこれまでも行われてきましたが、実際に統合レポートを発行する企業は一部にとどまっています。主な理由としては、財務情報の主要ターゲットが投資家や評価機関であるのに対し、CSRレポートはマルチステークホルダーであるということです。
 しかし、欧米では投資家や評価機関が主要なターゲットになっており、今後、日本企業もグローバル化が進むに従い検討すべき課題になるでしょう。GRIガイドラインも2013年にG4が発行予定です。G4は、統合レポートの考え方を中心にしたガイドラインとされていることからも、財務情報の扱い方に注目が集まります。

参考にしたガイドライン

 GRIガイドラインと環境省の環境報告書ガイドラインに対応する企業が多く、状況に変化はありません。多くの方が注目しているは、2010年11月に発行されたISO26000だと思います。先進企業50社でみたときに16社、3割強がISO26000を参考にしたようです。

開示の内容
東日本大震災と企業の対応

 東日本大震災の影響で予定より発行が遅くなった企業も多かったように聞いています。制作担当者が被災地に赴いたことや復旧・復興業務に尽力したことも原因の一つです。
 さて、東日本大震災については、9割を超える企業が何らかの形で報告をしています。なかでもインフラ関連の企業は、被災・復旧状況からさまざまな対応に至るまで詳細な報告となっています。また、福島第一原子力発電所の事故もあり食品企業は安全・安心に関する報告を、実際に被災を受けた企業は被災状況を、それぞれにしっかりとした報告がなされていました。逆に、「支援したことを強調したくない」という心理から、情報量を極力控えた企業もあるようです。
 Webサイト上では、震災後しばらくの間、トップ画面に震災へのお見舞いなどのメッセージを置く企業がほとんどでしたが、今はほぼ通常に戻っています。復興支援策の一つとして寄付金を募り、その集計額をWebサイト上で報告している企業もあります。

特集テーマ

 「今」をもっとも反映するのが特集です。特集テーマをみると、企業が何に力を入れているか、どの方向に向かおうとしているかが自ずとわかります。
 50社を並べてみると、傾向もみえてきます。2011年に目立ったテーマは「グローバル展開」「サプライチェーン」「エネルギー関連」です。

ISO26000の取り組み

 ISO26000をどう取り扱ったか。一番興味のあるところではないかと思います。4割の企業がISO26000に関連した何らかのコンテンツを取り入れていました。
 KPIを作るまでのステップ、ステークホルダーエンゲージメント、また対照表として活用している会社…その中身はさまざまです。

国際機関などの宣言や取り組みへの支持表明

 企業のグローバル化が進展するなかで、国際機関の宣言や取り組みに対し、参加、賛同、署名をする企業は増加傾向にあります。注目すべきは、ミレニアム開発目標(MDGs)。2010年の3社から、2011年は7社に増えました。

気候変動と生物多様性

 あまり目立った変化はみられませんが、CO2の削減目標の時期が2015年から2020年に移行しています。目標達成が難しくなったのでは、という見方もありますが、中長期で考える企業が増えたのでしょう。生物多様性に関する取り組みも進展していることが読み取れます。

労働と人権

結果をみたときに、さすが先進企業と感心しました。人権に関する方針を明示している企業が28社。2010年より10社以上増えていることになります。ISO26000では人権と労働は重要テーマとして位置づけられています。急速に取り組みが進んでいます。

CSR調達

 サプライチェーンに注目したときに、評価すべきは取引先監査と通報制度の充実です。サプライチェーンに対する取り組みが一段一段ステップを上がっていることがわかります。CSR調達は、グローバル化に向かっての重要なテーマといえるでしょう。

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