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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.2 「電子書籍の今」 後編

ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏 ロングインタビュー 電子書籍とタブレットがもたらすもの Step2

大切なのは、新しい構造の中でそういうポジションを取り得るか

大きなパラダイムシフトが引き起こされようとしている中では、既存の企業がどう生き残るかというよりは、新しい構造の中でどういうプレーヤーが生まれるかというところから考えなくてはならないと思います。新しい業界構造ができれば、そこにどうはまるかということを考えて、自らのビジネスを脱皮させることが必要だということです。例えば、アメリカ最大手のバーンズ&ノーブルという書店チェーンでは、書店でありながら「ヌック」という電子書籍リーダーを販売してかなりの成功を収めています。将来的に書店みたいな仕組みはなくなっていく可能性がある。それでも自らが生き残っていくためには、将来、完全に電子書籍化された業界構造の中でビジネスをする必要があると考えたわけです。「今あるビジネスの延命を考えるのではない」、そういう発想が私は正しいと思っています。
郊外のロードサイドの書店にしても、ヴィレッジヴァンガードみたいなところは、そこに住む人がどういう人なのか、何を求めているのかということをしっかりとリサーチすることで、書籍だけでなく、雑貨なども売る総合エンターテイメントコンテンツ販売ビジネスとして生き残ろうとしています。DVDやCDレンタルのTSUTAYAなども、完全にそちらの方向にシフトしていますよね。逆に、都市部の小規模な書店であれば、地元の人に本を売ることにこだわるのではなく、その書店の特異性みたいなものを活かしていくことです。絵本に強いとか、戯曲に強いとか、漫画に強いとかね。このように書店だけでなく、出版社にとっても、取次ぎ会社にとっても、大切なのは、新しい構造の中でどういうポジションが取り得るかを考えることなのです。

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