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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.2 「電子書籍の今」 後編

電子出版ビジネスの最前線で働く担当者に聞く 電子出版ビジネスの今、その先にあるものとは

今、必要なことは新しいビジネスモデル、課金システムの構築

では、「デジタルファースト」の作品は新しいビジネス(新しい儲け口)に成り得るのでしょうか。web(無料で使うのが当たり前の世界観を持つ)に近いこうした作品群の最大の課題は、繰り返しになりますがお金の儲け方です。人は1冊の本、パッケージ化されたアプリにお金を支払う習慣は身に付いています。1,000円の本、アプリに対してお金を出して買う、ダウンロードするわけです。これが1万も売れれば1千万円となって、ビジネスとしては、一定の成果が上がったといえるでしょう。
そこに登場した「デジタルファースト」。
どうしても「デジタルファースト」はwebに近い印象があるので、コンテンツ自体では課金しにくい構造を持っていると思われます。では、どうするか。コンテンツは無料配布にして、周辺のサービスで儲けるしくみを考え出していくのでしょうか。例えば、スポンサーをつけて広告収入を得る、ショッピングができるようにしてアフェリエイトで儲ける……、周辺ビジネスで課金のしくみをつくってビジネスにするのですね。ですから、アプリ本体は無料にしておいて、より多くを配布することが非常に重要なポイントとなってきます。
注意しなければならないのは、新しいものが誕生して(デジタルファーストの作品)、古いもの(ブックライクな作品)が淘汰されていくわけではありません。積み重なっていく、という表現がよいでしょうか。デジタルファーストな作品+ブックライクな作品で電子出版の市場は大きくなります。さらに言えば、従来の印刷物にも良いところがあります。それぞれに市場が成立し、共存していくことは間違いないでしょう。

さまざまな市場が共存していく時代の中にビジネスチャンスがある

2015年には、タブレットPCの出荷台数は800万台、スマートフォンは3千万台以上にのぼるとも言われています。すると、どういったコンテンツのあり方が望まれることになるのでしょうか。2011年の今現在は、アーリーアダプターと呼ばれる新しい商品やサービスに対し、早い段階で積極的に利用する人が飛びついたので、ストレスなく新しいものを使いこなしていました。しかし、電子デバイスの普及台数が増えるということは、リテラシーのそう高くない、いわば一般的な知識しか持たない人たちもタブレットPCやスマートフォンを持つようになるわけです。そうなると、今後は逆に、最先端の技術、アイデアを駆使したものばかりではなく、誰でもが使いこなせるブックライクなものの価値が高まるのではないかと思われます。
また、コンテンツの性質によっても、そのあり方は違ってくると思います。例を引けば、アーカイブ的なものはブックライクなものがよいかもしれません。情報更新頻度が高いものだったら、web的なものが望まれることになるでしょう。
印刷物だけの時代から、いろいろな市場が確立する時代が確実にやってきます。
凸版は、印刷会社ですから、印刷時代に綿々と培ってきた組版の技術をベースに、コンテンツをデジタルパブリッシングさせる「コンテンツファクトリー」と呼ばれる拠点を立ち上げました。私たちのソリューションは、すべて、この「コンテンツファクトリー」を起点に、マルチフォーマット化され、マルチデバイス、マルチスクリーンへと展開されていき、そのさらに先の読者との接点にサービスモデルを作っていくという基本思想の上に成り立っています。誰もが驚くようなソリューションを提供していきたいと思っています。これからの凸版印刷のデジタルコンテンツソリューションに注目していてください。

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