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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.1 「電子書籍の今」 前編

疑問を解決!不安を解消!!何でもQ&A 電子書籍のここが知りたい ここが不安

電子書籍コンテンツのジャンル

電子書籍のコンテンツが充実していくことに期待しています。個人的には実用書や雑誌が増えていけばいいと思いますが、今後どのようなジャンルが増えていくことが予想されますか。

出版・新聞社関連勤務・女性・34歳

現在の電子書籍市場で一番シェアを占めているのは、携帯電話向けの「コミックコンテンツ」です。すでに現在、ジャンルとして普及している分野は、理工系の実用書やジャーナルといわれる理工系(医薬系含む)雑誌分野(主に英語コンテンツ)です。理工系大学図書館などではニーズが高く、日本語の電子書籍に対するニーズも高まっています。文芸書や一般的な雑誌、コミックはタブレットパソコンやスマートフォンの普及とともにニーズが高まってくると思われます。
今後、電子書籍がより大きく成長していくためには、紙媒体を単純に電子書籍化するのではなく、より利用者にとって付加価値の高いサービスなどとの融合や、新しい端末機能を活かした新しい表現が必要になるのではないかと思われます。例えば、ソーシャル型のサービス(SNS)との組み合わせや、タッチパネルのユーザーインタフェースなどで新しい価値を生み出すことなどが考えられます。また、電子書籍の著作権の適正な管理体制も求められています。

多端末と多フォーマット対応

ある電子書店で購入した電子書籍が、特定の端末やソフトでしか読むことができないのか、他の端末でも読むことができるのか、将来読めなくなるようなことにならないか、が心配です。

出版・新聞社関連勤務・男性・46歳

まず前提として、どの端末で将来いつまで読めるかについては、それぞれの電子書店が提供するサービスによって変わるものと思います。
そこで、このような不安を解消するものに「クラウドサービス」があります。米国のアマゾンが始めたサービスで、アマゾンのサーバにある「利用者の本棚」に購入した電子書籍があり、利用者は自分が持っている端末(複数でも可)から「利用者の本棚にある電子書籍」を見に行くしくみです。
日本でもこの「クラウドサービス」が始まりつつあります。2011年2月からサービスを開始した(株)BookLiveが提供する「BookLive!」やNTTプライム・スクウェアが提供する「Fan+(ファンプラス)」、イーブックジャパンイニシャティブの「eBookJapan」でも、各社の提供する専用ビューアを利用することで個人の持つ複数の端末から閲覧できるサービスとなっています。次々と新製品が発売され、環境の変化が激しい現状を考えると、このようなサービスが今後の主流になっていくものと思われます。

電子書籍の貸し借り

電子書籍で購入した書籍は、紙の本と同じように友人と貸し借りはできるのでしょうか。

出版・新聞社関連勤務・女性・30歳

忘れてはならないこととして、電子書籍にも著作権があります。従って、著作権者の許諾なしで、データの複製や貸出をすることは、著作権者に対する権利(著作権)の侵害となり、法律で制限されています。
このことを踏まえたうえで、電子書籍を個人間で貸し借りできるサービスを展開しているという話は、日本においてはまだないようです。個人同士や図書館での電子書籍を貸出できるかどうかなどの制度的な問題については、文化庁などで現在検討中です(文化庁「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」など)。検討会議内の議論においても、仮に貸出できるとしても、著者や出版社の承認に配慮する形にして、コンテンツの再生産機能を害さないことを念頭に検討が重ねられています。

立ち読みサービス

紙の本は、書店で立ち読みしたり、面白そうな本や雑誌を探す楽しみがあります。電子書籍では立ち読みなどのサービス、本を探す楽しみ、工夫はあるのでしょうか。

出版・新聞社関連勤務・男性・31歳

電子書籍を販売する電子書店においては、多くは立ち読みサービスを提供しています。例えば、大日本印刷が提供している「honto」では、「立ち読み」で目次と最初の数ページが無料で閲覧できます。「日経BP STORE」では、「ちょっと読む」というサービスを提供していますので、ぜひご利用ください。「多端末と多フォーマット対応」で紹介した書店も販促的に電子書籍を全部提供するようなものもあり、今後は、「立ち読みサービス」もさまざまに展開されていくものと思われます。 また、本を探す楽しみとしては、その利用者のプロフィールや過去の購入歴などから、いわゆる「レコメンドエンジン」による、「おすすめ」を表示したり、嗜好が似ている別の人の本棚や、その人のおすすめ本情報を提供するサービスがあります。

電子書籍の価格・通信費

電子書籍自体は紙の本よりも安く購入できるようですが、ダウンロードする際の通信費がどうなるか不安です。

自営業・女性・32歳

電子書籍自体の価格がどうなるかは、まだ結論はでていません。編集・制作費自体は、プリント版と同等のコストがかかるケースもあり、また電子書籍が市場で売れる価格を決めるにあたって、売れ行き価格帯の検証、契約のルール、プロモーションなど、まだまだこれからルールを決めていくことも多く、今後の動向にご注目ください。
さて、通信費ですが、これは、端末、通信会社との契約、コンテンツの大きさに応じて変化するものですので、一概にどれくらい通信費がかかるかはわかりません。現在では、インターネットの高速通信契約であっても毎月数千円で固定のケースや、コンテンツの閲覧量に応じた二段階定額制などもあり、携帯電話のパケット量に応じた通信契約を行っているケースを除けば、電子書籍の料金以外に、驚くほど通信費がかかるとは思われません。
米国のアマゾンでは、アマゾンの提供するキンドルで購入する場合、電子書籍の代金に通信費が含まれるサービスもあります。今後はそのようなサービスも提供されるかもしれません。

絶版本の復活

絶版本がなくなったり、今まで絶版になっていた本が電子書籍として復活することに期待しています。絶版本が復活するような動きはあるのでしょうか。

書店アルバイト・男性・23歳

絶版本の復活は、注目されているテーマです。ひと口に絶版本といっても、(1)著者や発行元の出版社など著作権者が特定される場合、(2)特定されない場合、(3)すでに著作権が切れている場合(パブリックドメイン:PD)に分けて考える必要があります。
(1)の場合は、出版社がデータ化して発行・販売(委託販売含む)することで復刊され、出版社の収益源となる可能性があります。
(2)の場合は、現在、文化庁などの公共機関で復刊できる方法はないかと検討されています(文化庁「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」など)。
(3)の場合は、特に著作権の制限がないので、国会図書館等での配信や、GoogleBooksなどで配信されていくと思われます。ただし、原作の著作権が切れても、翻訳や編集を行っている場合、原作者以外の権利が残る場合もありますので、注意が必要です。

端末を壊した場合

端末自体を落としたりして壊してしまったら、購入した電子書籍はどうなるのでしょうか。

会社経営者・男性・58歳

基本的には、利用者と各電子書店サービスの契約に応じて変わると思われます。電子書店にクラウドサービスがある場合は、別の端末からクラウドの自分の本棚にアクセスすれば読めると思います。
ダウンロードが1度しかできないサービスの場合は、そのサービス提供側に問い合わせをして対応する端末から、もう一度ダウンロードできるかどうか確認することになると思います。

回答・監修 電子出版制作・流通協議会

調査:
株式会社マクロミルの協力を得て、2011年3月10日から14日までの5日間、「電子書籍に関するアンケート」をインターネットに よるサンプリング調査を実施しました。

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