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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.1 「電子書籍の今」 前編

ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏 ロングインタビュー 電子書籍とタブレットがもたらすもの Step1

個人と個人がつながるソーシャルメディア時代のプロモーション

これまで電子書籍化がもたらすコンテンツにおける変化の可能性をいくつか述べてきましたが、ここで電子書籍化によるプロモーションの変化について触れておきましょう。先日、ペーパーボーイというベンチャー企業の「パブー」というセルフパブリッシングのサイトを利用して、「キュレーションの時代」という本を出しました。誰でも自分の本をテキストでアップすれば、それを公開してくれるサイトで、売り上げの70%を印税として著者が受け取り、残りの30%をその会社が受け取るというシステムになっています。すると、1ヵ月半で約2000のダウンロードがありました。紙の本と比べると2000ダウンロードは少ないかもしれませんが、印税が70%であることを考えれば、書き手にとっては紙の本と遜色のない売り上げになります。通常、印税は大手出版社だと書き手の10%です。つまり、7分の1しか売れなくても大丈夫ということになります。本の初版部数はおおよそ5000~7000部くらいですから、電子書籍だと1000部売れればそれでもとは取れる計算です。

ある程度影響力のある人であれば、ブログやツイッターなどで個人的にキャンペーンをすれば、それくらいは行くのではないでしょうか。もちろん、その役割を出版社やエージェンシーといわれる会社がやることも考えられますが、個人と個人がつながるソーシャルメディアの時代にあっては、変に代理人がやるよりも書き手がやった方が信頼できるという空気に変わってきていることも事実です。

それでは、出版社、取次ぎ、書店などの売り手の役割とは何なのでしょうか?そこに新たな存在意義を生み出すことができるのでしょうか。次回は、この電子書籍化というパラダイムシフトの中で、出版業界が遂げるべき進化についてお話したいと思います。

緊急時にチカラを発揮する電子書籍タブレット
そもそも電子書籍タブレットはリテラシーのハードルの低い、高齢者や身体障がい者などにも使いやすい非常にユニバーサルなデバイスです。しかも、iPadのようなマルチデバイスであれば、ニュースも、天気予報も、地図も見ることができ、コンピュータとしても使うことができます。文字も大きくできますし、必要な情報がすべて流れてくるようなアプリケーションが提供できれば、被災地などでも十分にそのプレゼンスを発揮できるはずです。また、iPadの場合は、iPhoneと同じコネクタなので、iPhoneと同じ充電器で対応することができます。 新しいバッテリー技術も進んでいて、将来的にはほんの数十秒で充電できるようなものも実用化される可能性があります。

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