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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.1 「電子書籍の今」 前編

ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏 ロングインタビュー 電子書籍とタブレットがもたらすもの Step1

2010年「電子書籍元年」を経て、電子書籍が私たちの身のまわりに何をもたらそうとしているのか、どんな可能性を切り開いていこうとしているのか。「電子書籍の衝撃」を上梓するなど、電子書籍ビジネスの第一線を取材し続けているITジャーナリストの佐々木俊尚さんにインタビューしました。

「コンテンツ」「コンテナ」「コンベア」の三層モデルから読み解く変化

長年、出版業界に関わってきた書き手の一人であり、年に数百冊もの本を購入する活字中毒者の一人である私にとって、電子書籍化の進展が世の中にもたらす変化は切実な問題です。電子書籍化によって、いったい何がどう変わるのでしょうか。もちろん、それは本を書く人、売る人、読む人それぞれの立場で異なります。

「2011年 新聞・テレビ消滅」という本の中で、私は「コンテンツ」「コンテナ」「コンベア」という電子書籍の三層モデルを提示しています。「コンテンツ」とは、本や雑誌などのコンテンツのこと。「コンテナ」とは、それがどのように読み手に届けられるかという流通のこと。「コンベア」とは、それをどういうメディアで見るかというデバイスのことです。

この中で電子書籍化によって大きく変化することが2つあると、私は考えています。ひとつ目は、コンテナである流通の考え方です。流通とは単に物流ということではなく、どうやって配信されるかという経路そのものの、紙が電子でインターネットになるという変化です。そして、ふたつ目は、本や雑誌などのコンテンツが紙の上に印刷されたものから、液晶・電子ペーパーなどのタブレットに移行するというコンベアの変化です。

私はこれら2つの変化に比べれば、電子書籍化がコンテンツ自体に及ぼす影響はそれほど大きくはないと思っています。私を含めた書き手にしてみれば、普通にパソコンや原稿用紙を使って書くわけですから。それが単に表示されているのが紙か電子化か、あるいはネットで配信されるのか、物流で配送されるのかの違いでしかありません。ただ、一方で長い年月を考えれば、そんなコンテンツそのものが変化していく可能性は十分にあるのではないかとも考えています。

佐々木俊尚(ささきとしなお)
1961年生まれ。早稲田大学政経学中退。毎日新聞記者、週刊アスキー編集部を経てフリージャーナリストへ。「2011年 新聞・テレビ消滅」(文春新書)「仕事するのにオフィスはいらない」(光文社新書)「マスコミに、もはや政治は語れない」(講談社)「電子書籍の衝撃」(ディスカバー携書)など著書多数。総務省情報通信審議会新事業創出戦略委員会委員。ITジャーナリスト。

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