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WEBマガジン グーテンベルクの遺伝子

vol.1 「電子書籍の今」 前編

温故知新!「電子書籍元年」の意味を探る 電子書籍のこれまでのあゆみ

2010年は「電子書籍元年」といわれるように、電子書籍にとって話題に事欠かない1年でした。2011年はさらなる飛躍が期待される1年ですが、電子書籍は2010年に突如として現れたわけではなく、ここに至るまでに苦難の歴史をたどって、ようやく花開こうとしているのです。

1990年代の挑戦

電子書籍の歴史をさかのぼると、最初にブームらしい兆しがあったのは1990年代のことです。1990年にソニーがCD-ROMを利用した「データディスクマン」、1993年にNECがフロッピーディスクを利用した「デジタルブックプレーヤー」を発売し、そのほか複数のメーカーが電子書籍リーダーを発売しました。また、1998年には大手出版社が中心となって電子書籍の実証実験を行う「電子書籍コンソーシアム」が発足しました。
「データディスクマン」は初年度こそ2万台以上を売り上げましたが、大きなブームになることはなく、2000年頃までには、どの電子書籍リーダーも販売を終了しています。電子書籍コンソーシアムも発足からわずか2年足らずの2000年1月には役目を終えています。

2000年代の挑戦

2000年代に入り、本格的なインターネットの時代に突入し、今の原型のようなダウンロード型の電子書籍が誕生します。2004年に松下電器産業(現パナソニック)とソニーが相次いで電子書籍リーダーを発売。松下の「Σブック」とソニーの「リブリエ」。パソコンからインターネットを経由して購入し、ダウンロードした電子書籍を電子書籍リーダーに転送するしくみで、以前のものと比べると格段に便利なものになりました。
しかし、コンテンツが少なかったことや電子書籍リーダー自体の価格、環境が整わなかった背景もあり、数年の間で販売を終了しています。

電子書籍ブームは米国からやってきた

それでは、2010年「電子書籍元年」の礎はどこで生まれたのでしょうか。答えは、米国です。2007年11月にアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル」が発売されました。スタート時点からコンテンツが豊富であったことと価格の安さ、「キンドル」自体の魅力もあって、瞬く間にブームとなり、米国では電子書籍市場が拡大していきました。
その後、2010年4月に米国で待望の「iPad」が発売、翌5月には日本でも発売されたことで、日本にも本格的な電子書籍ブームがやってくることになります。

日本では携帯電話向けコミックが電子書籍のけん引役

では2000年代、日本ではどうだったのでしょうか。電子書籍リーダーが振るわなかったことは先にも取り上げたとおりですが、日本では独自の進化がありました。携帯電話向けコンテンツ、特にコミックが若者の間で流行したのです。2009年度でみると、売上げ全体の約9割が携帯電話向けコンテンツで占めており、その4分の3をコミックが占めていました。
そこにやってきたのが「iPad」です。

■日本の電子書籍市場規模の推移
表:日本の電子書籍市場規模の推移

「電子書籍元年」経て、次へ

そうした流れを経て、ようやく2010年の「電子書籍元年」につながります。2010年、電子書籍リーダーでは「iPad」はもちろん、ソニーが「リーダー」、シャープが「ガラパゴス」を発売。スマートフォンも続々と発売されていきました。
また、大手書店、印刷会社、家電メーカー、携帯電話会社などがプラットフォーム事業を立ち上げていきます。そのほか、「日本電子書籍出版協議会」や「電子出版制作・流通協議会」などの団体も次々と設立されていきました。
まさしく「電子書籍元年」にふさわしい1年となったのです。

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