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第7回 教育ITソリューションEXPO 展示会レポート

講演レポート

主体的な学びにつながる授業設計

主体的な学びには、「学ぶ意志」、自らの認知活動を俯瞰し、学びの見通しをもつことができる「メタ認知」、自ら学び方を工夫できる,「学習方略」の3要素が不可欠です。この3つについて、ICT活用の可能性についてお話ししていきます。

①「学ぶ意志」を高める――ARCSモデルとICT

教育心理学者ジョン・M・ケラー教授は、学習意欲向上のため、次のようなモデルを提案しています。

Attention(注意):「面白そう」と注意をひきつける

Relevance(関連性):「役に立ちそうだな」とやりがいを感じさせる

Confidence(自信):「自分にもできそうだ」と思わせる

Satisfaction(満足感):「学んで良かった」と感じさせる

これを、ICT活用に当てはめると、次のような授業展開が可能になります。

  • A:導入で映像や写真を見せる/現実の問いを投げかける
    NHKのコンテンツなど映像を活用して、子どもの生活実感に即した疑問を投げかけるのは興味づけの方法として有効です。
  • R:問題やテーマの自己選択/自分の経験との重ね合わせインターネット情報を活用し、自分の関心に沿ってテーマを見つける。
    自分で選ぶ機会をつくることが、関連性を高めることにつながります。
  • C:個人に合わせて出題レベルを調整/先輩のモデルを示す「やるKey」は、習熟度に合わせて適切なレベルの問題を出してくれるため、自信がつきます。また、前年度の児童の達成具合を示すことで「自分にもできそう」「先輩を超えたい」といった気持ちを引き出すことができます。
  • S:成果の公表とフィードバック学びの成果を、WebやSNSで発信し、共有化することで満足感を得られます。

「S」について印象的だったのは、福島県の新地小学校で行った、震災の記憶を動画で残すプロジェクトです。「悲しかった気持ちを残したい」と真剣に話し合っていた子どもたちの姿は忘れられません。「満足」という言葉は当てはまらないかもしれませんが、非常に深い学びになったと感じました。

②「メタ認知」――ICTによるモニタリング

自分の学びを客観的に見つめ、できていることとできていないことを把握する(=モニタリング)ために、ICTは有効です。体育の授業などで、自分のフォームを動画で撮影しておいて振り返るといった手段があげられます。
また、「やるKey」では、自分でドリルに取り組む量や時間の目標を設定できます。目標と成果の履歴を見える化することで、自分の学びを振り返り、今後の学習への見通しを立てやすくなります。そこがICTならではの、主体的な学びにつながる特性だと考えます。

③「学習方略」――自ら学び方を決める

2014年度からいくつかの公立小学校で、「まなみっけ」というプロジェクトを行っています。これは、児童が家庭で紙のノートなどに行った自主学習の様子をタブレットで撮影してアップし、一人ひとりの学習法を共有化しあうというものです。その結果、お互い学習方略についての気づきが生まれ、自主学習に取り組む児童が増えたという結果が出ています。ICTを授業中だけでなく、家庭学習と絡めることで、さまざまな成果が生まれるのです。

まとめ

ICTの特性として、個々の履歴をもとに課題のレコメンドやプランニング支援を行うといった「個別化」、一人ひとりの学びを伝え合う「共有化」という両方の側面があります。
「個別化」と「共有化」を組み合わせて、どう効果的な学びにつなげていくのか。主体的な学びに関する理論を生かし、さまざまな実践を行っていただきたいと思います。

「やるKey」を用いた小学校での実践を通して

小学校3年生を対象に、「やるKey」を使いました。本校は、1人1台の環境はなく、2人に1台iPadを渡して、教えあいながら算数のドリルに取り組むという形になりました。
驚いたのは、ほとんどの子がiPadに触れたのが初めてだったにも関わらず、20分ほど使い方を説明した後は「使い方がわからない」「動かなくなった」といった声が一つも出なかったことです。友だち同士で話し合ったり、紙で検算をしたりしながら、没頭した様子で取り組んでいました。算数が苦手な子も、一生懸命問題を解き続けていたようです。
また、ドリルを早く終わらせて、ほかのことを始めようとする子はほとんどいませんでした。紙のドリルの場合は、先生に言われたところまでさっさと終わらせて、読書やお絵かきなど、別のことに取り組む子が多いのですが、「やるKey」の場合は出題される問題を、飽きる様子もなく延々とやっています。理由を聞くと、正解すれば「ここが大事、だから正解だったんだね」といったコメントが返ってくるし、間違えたら、正解できるようになるための問題を勧めてくれるので、「自分で勉強している」実感があったといいます。身近なスパンでの見通しが得られれば、子どもはその見通しを積み重ね、主体的に学習を進めていけることが、今回の実践でわかってきたと思います。
今後は、子どもたちの利用履歴を活用したり、より具体的に話を聞いたりしながら、さらに実践を重ねていきたいと考えます。

出展後記

今年は、ご来場いただいたお客さまの数が前年比10%増と、会場全体が例年以上に盛り上がりをみせておりました。当ブースでは、現役の小学校の先生による実践事例、著名な大学の先生による講演などを中心に、トッパングループの教育ソリューションをご紹介し、全国からお越しいただいた多くの教育関係者の皆さまから、貴重なご意見やご感想をいただくことができました。これからも、私たちトッパンは、教育現場や人の成長を願う自治体、学校、地域、家庭、企業…さまざまな立場の方々にICTだからこそできる新しい学びのかたちを提案してまいります。

凸版印刷株式会社 教育ICT事業開発本部

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