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たとえ紙の本がすべて電子データに置き換わる時代が訪れたとしても、これまで書籍や雑誌を支えてきたプレイヤーの存在は不可欠である。ただ、実際の作業や完成品は変わる。トッパンが果たそうとしているのは、出版社と書店、そして読者との新しい関係づくり。米国で主流の、コンテンツ管理・配信から端末販売まで垂直統合して提供するだけではなく、出版社や書店もそれぞれの能力を発揮できる水平分業型のビジネスモデルの構築だ。
トッパンは多くのプレイヤーが電子書籍市場でビジネスができるように、汎用性の高いプラットフォームの構築に着手している。どんな読書環境(端末)でもコンテンツを利用可能にするために、あらゆるデータフォーマットを変換・表示できる環境の提供と運営を目指しているのである。
同時に、既存のメディアも一定の存在価値を維持し続けるはずだ、とも考えている。そのため、トッパンは一つのコンテンツを、電子書籍として配信することと従来の紙のメディアとして出版することとが同時に行える効率的な出版体制を築き上げようとしている。
そこで、トッパンのデジタルコンテンツソリューションセンター(DCSC)技術担当である、江幡たちの出番である。ここでは、従来の印刷で使用するデータを、電子書籍のフォーマットに変換するシステムを開発。読者のニーズ動向や出版社の戦略に柔軟に応じる対策を次々と打っている。
以上のように、トッパンは電子書籍の出現をチャンスと捉え、電子書籍が一般化した後のマーケットを見据えて、出版業界全体の流れをリードしているのである。
実は、日本には電子出版先進国とも言える実績がある。数年前から広がりを見せている携帯小説や携帯コミックがそうだ。トッパンはここでも主導的な立場を担った。実際に、コンテンツ配信会社としてトッパンから分社した株式会社ビットウェイは、電子書籍の取次事業において、大きなシェアを担っている。このビットウェイ、現状までは携帯コミックが中心だったが、デバイスの多様化に伴い事業領域の拡大を図っている。
そして、電子書籍のリッチコンテンツ化による可能性の追求。これをさらに先鋭的に進めているのが、DCSCで企画を担う亀井や松方だ。電子雑誌は電子書籍以上にインタラクティブな要素やリッチなコンテンツ表現が期待される。広告やマーケティングとの連動などは、より強まっていくに違いない。そうなると、さらに期待されるのが電子カタログだ。カタログ画面からそのまま購入・決済ができるようになれば、提供企業主導で一気に普及する可能性があるのだ。他にもサイネージ用途や企業のインナーツール用途など、DCSCは電子出版プラットフォームを活用した様々なマーケット開拓・企画を進めているのである。
以上のようなトッパンによる出版イノベーションは、確かな技術開発と事業化ノウハウの蓄積によって裏打ちされたもの。それだけに、出版各社などからの期待は大きく、トッパンは国内の電子書籍化の流れをリードする存在と目されている。
だが、江幡たち3名をはじめ最前線で活躍する者たちは、気を引き締めている。自分たちは、まだまだスタートダッシュで先行したに過ぎない、と。江幡は言う。「マルチデバイス-マルチフォーマットの流れはつくれたが、電子書籍の特性を存分に引き出すコンテンツの制作環境は、これから手をつけなければならない課題だ」と。
他方で、亀井はこう言う。「全てのプレイヤーが『走りながら構築している』市場であるだけに、一瞬たりとも気を抜けない緊張感がある」と。先行者であることに油断していると、すぐに勢力図が変わってしまうのは、まだ形成途上の段階にある市場では珍しくないと、強く認識しているからだ。松方も同様だ。「トレンドに流されることなく、電子書籍や電子雑誌がどのようなものに落ち着くのか自分たちなりに構想していく必要がある」と語る。
彼らが進めている一つ一つのアクションの成功は、出版の未来型を着実に引き寄せ、トッパンの存在感をさらに高めていくと言えるだろう。

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「iPadやキンドル以外にも、これからどんどん新しいデバイスが出てくるはずです。多くのユーザーに向け、そのすべてに対応していく責任があることを感じています」

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「トッパンは電子書籍のフォーマットを、BtoCにもBtoBにもさらにはBtoBtoCにも展開していきます。マーケティングや購買誘導の仕組みを考えていきたいですね。」

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「今、出版社を訪問すると、とても熱く期待されていることが伝わってきます。一般企業からの打診も急増していますよ。」
*本文中の商号および製品・サービス名称は、各社の商標または登録商標です。
















