ニュースリリース

2009年07月06日

凸版印刷、ステレオカメラによる三次元計測システムを開発 〜文化財などの立体形状を計測可能に〜 東大寺法華堂・戒壇院内部で、東京文化財研究所と実証実験を実施

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:足立直樹、以下 凸版印刷)は、ステレオカメラ(※)で撮影した映像データから、対象物の立体的な形状データを計測する三次元計測システムを開発しました。

 凸版印刷はこれまで、仏像などの立体形状を持つ文化財を対象に、レーザーレンジスキャナなどを用いた三次元計測を行ってきました。計測されたデータは、デジタルアーカイブとして活用したり、バーチャルリアリティ(VR)やCG技術を用い、映像としての可視化を行ってきました。しかしながら、文化財は通常計測するには難しい場所に設置されていることが多く、計測そのものが難しかったり、計測するための準備に多くの時間を要することがありました。
 本システムは、凸版印刷が独自に開発した画像処理技術を応用し、ステレオカメラからの映像のみを用いて、対象物の立体的な形状を計測するものです。従来のレーザーなどを用いる計測方式と比較して、計測装置が小型軽量であることが特長で、通常の計測装置では設置ができないような狭い場所などにおいても、形状計測を行うことが可能になります。

 凸版印刷は本システムを用いた計測方式の有効性検証のため、独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所(所在地:東京都台東区上野公園13-43、所長:鈴木規夫、以下 東文研)と共同で、2009年1月より、東大寺法華堂安置仏像群および塑像(そぞう)四天王立像(東大寺戒壇院安置)の形状計測実証実験を行っており、2009年6月末より、2度目の形状計測実験を行いました。そして今回得られたデータについて、東文研が文化財の保護などに活用できるかどうかなどを今後検証していきます。
(※) ステレオカメラ とは
2つのレンズ機構を持つカメラで、人間が視差によって物を立体的に認識することと同じ原理により、対象物の映像だけでなく対象物までの奥行きの情報も同時に記録できます。

■計測風景


Copyright 2009 TOPPAN PRINTING CO., LTD.


Copyright 2009 TOPPAN PRINTING CO., LTD.

【開発の背景】
・CGや計測技術の進歩により、文化財をデジタル化し活用するデジタルアーカイブの試みが盛んに行われています。
・凸版印刷では、三次元形状計測技術や、色彩計測技術を用い、文化財の持つ形や色の情報を正しくデジタルアーカイブ化することに取り組むと共に、同デジタル情報を用いてCGやVR技術を駆使し、効果的に分かりやすく、多くの人々に文化財の情報を伝える事業を行っています。
・文化財などの表面形状をデジタル化する手段として、三次元レーザースキャナなどが多く活用されています。しかし、計測精度が高い反面、計測装置が大型で重量があるものとなっていました。そのため、文化財が設置されているような、装置を設置することが困難な場所においては、装置によるデータが取得できないなどの問題点がありました。
・この課題を解決するために、凸版印刷では軽量で小型なステレオカメラに着目し、高い安全性と高い自由度で対象物を計測できる三次元計測システムを開発しました。

【本システムの概略】
 本システムは、PCと、PCに接続されたステレオカメラによって構成されます。計測時には、ステレオカメラを対象物に向けて保持し、PCの画面上に映し出される撮影範囲を確認しながら、カメラの要領でリモコンのシャッターを押すことで、その撮影範囲に含まれる三次元形状が取り込まれます。ステレオカメラを少しずつ動かしながら対象物を全周囲から撮影することで、対象物の全体の三次元形状を取得することができます。

【実証実験の概略】
・これまで、東大寺法華堂では、仏像群が安置された場所が不安定であること、仏像群が極めて密集していることなどの理由から、計測装置が大型である従来の三次元レーザースキャナなどによる計測が困難な状況となっていました。
・新たに凸版印刷において開発されたステレオカメラによる三次元計測システムを用いることにより、これまで困難であった仏像郡の三次元形状計測をすることが可能となりました。
・そのため、周囲に影響を与えずに計測を行いたい東文研と、新しい三次元計測システムの有効性を検証したい凸版印刷が共同で実証実験を行いました。

・計測場所 : 東大寺法華堂
・計測対象 : 上記内にある仏像7体 (全て国宝および、重要文化財)
・第2回計測実施日: 2009年6月30日〜7月2日

【今後の展開】
 凸版印刷では、今回開発した三次元計測システムを、凸版印刷が取り組むバーチャルリアリティのコンテンツ制作などにおける、安全で効率的な形状入力のためのソリューションとして活用していく予定です。
 また、文化財のデジタルアーカイブを活用したバーチャルリアリティコンテンツの制作および公開を通じた事業を展開しており、今後もより多くの人々に高品質でリアルな映像体験を提供していくことを計画しています。

以上