ニュースリリース

2006年10月04日

凸版印刷とヴァチカン教皇庁図書館の「キケロ・プロジェクト」 古文書に隠された文字や画像のデジタル解析システムを増強

凸版印刷株式会社 ヴァチカン教皇庁図書館

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:足立直樹、以下 凸版印刷)は2006年7月10日、ヴァチカン教皇庁図書館にパリンプセスト解読の共同研究プロジェクト「キケロ・プロジェクト」の解析システム一式を贈呈しました。
 今回、新たに贈呈されたシステムは2005年4月に既に納入されているパリンプセスト研究用の専用機器と、画像識別ソフトウェアを改良したものです。第2号機が加わったことにより、同図書館所蔵のパリンプセストの文字、画像の解析、解読、デジタルアーカイブ化など一連の調査効率は大幅に向上することとなります。

 パリンプセスト(Palimpsest)とは、何度か上書きされた羊皮紙(特殊処理された動物の皮)の写本のことです。紙が普及する以前は、羊皮紙が一般的に使われていましたが、羊皮紙は動物の皮から作るため、非常に貴重で高価なものでした。そのため不要となった書き文字を洗い流したり削ったりして、その上に新たに文字を書き、新しい文書を上書きしていました。 元に書かれた文字は大抵肉眼では解読し難いものですが、そこには何百年あるいは何千年も前に消された重要な古文書がある可能性があります。凸版印刷とヴァチカン教皇庁図書館は、凸版印刷が独自に開発した紫外線を用いたスキャナでパリンプセスト解読を試みています。

ジャン=ルイ トーラン 聖ローマ教会尚書長 枢機卿(左) と 凸版印刷株式会社 代表取締役社長 足立直樹(右)
Copyright 2006 TOPPAN PRINTING co.,ltd.

<キケロ・プロジェクトについて>
 このキケロ・プロジェクトは、ヴァチカン教皇庁図書館が所蔵するおよそ200冊ものパリンプセストの復元を目指しています。凸版印刷はこのプロジェクトのパートナーとして、同図書館の専門的知識をもとに、優れた画像識別技術・デジタル化技術を駆使し、写本に負担をかけることなく古文書の復元を行うことができる専門機器を独自に開発しました。
 この専門機器と画像識別ソフトは2005年4月にキケロ・プロジェクト・システムとしてヴァチカン教皇庁図書館へ既に納入されています。このたび2006年7月10日に専門機器第2号機が追加されました。
 凸版印刷が開発した紫外線を用いたスキャナは、貴重な古文書を傷めることなく操作できるように、紫外線走査部分を上に配したことが大きな特長のパリンプセスト解読専用機器です。また、画像識別ソフト、デジタル化技術については、何度も上書きされたパリンプセストの文字も極力解読できるよう、消された文字が持つ微細な色調の差を、波長別に層分けして表示するなど、これまでの方法とは違ったものでデジタルデータ化できるソフトを開発しました。
 キケロ・プロジェクトは、凸版印刷の製版やデジタルアーカイブといった固有の技術を通じた国際的な文化貢献活動となっています。

<背景>
 凸版印刷は創立100周年記念事業の一環として東京都文京区に「印刷博物館」を設立し、その展示としてヴァチカン教皇庁図書館が所有するグーテンベルク42行聖書の高精細デジタル画像を2000年に共同で完成させました。ここから両者の文化的交流がはじまり、印刷博物館が開館後も、2002年春には「ヴァチカン教皇庁図書館展」を開催するなど、文化的・学術的交流を深めてきました。キケロ・プロジェクトは、2003年秋より共同研究の協議を開始し進めてきたものです。

以上