2009年12月14日
〜 薄型で曲げられる次世代ディスプレイの実現をめざして〜
透明アモルファス酸化物半導体を用い、低温での塗布型薄膜トランジスタ(TFT)試作に成功
凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:足立直樹、以下 凸版印刷)は、透明アモルファス酸化物半導体を用い、製造工程を低温に抑えた塗布型薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を試作、電気泳動方式のE Ink電子ペーパーを駆動することに成功しました。
今回の試作では、酸化物半導体層を印刷法の塗布することにより形成し、その他の層は、現在一般的なTFT(アモルファスシリコン)と同様の製造工程で成形しました。
材料メーカー(※1)と共同で透明アモルファス酸化物半導体の素材を改良し、酸化物半導体を塗布する工程における湿度や温度などの条件を管理することにより、TFT製作工程における最高温度を従来の研究成果より100℃以上低い温度(270℃)に抑え試作に成功しました。
これにより、TFTの基材として従来のガラス素材ではなく、柔軟性がある樹脂(耐熱フィルム)の使用が可能となり、フレキシブルな次世代ディスプレイが実現できる可能性が高まります。
さらに、製造工程に塗布を使用したことにより、従来の真空成膜による工程と比較し、生産設備を簡素化できるとともに生産効率の向上が見込め、低コストでの製造が可能となります。
今後凸版印刷では、薄型、軽量でフレキシブルなディスプレイの実用化を目標に簡素化・低コスト化へ向けたTFTの研究開発を強化するとともに、ディスプレイ関連事業で協業関係にある株式会社カシオ計算機のもつ高いTFT(アモルファスシリコン)技術や駆動技術との融合・連携を図り、製造プロセスの早期確立を目指します。
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【背景とねらい】
・軽量でフレキシブルな次世代のディスプレイが注目を集めています。特に電気泳動方式に代表される電子ペーパーの製品化が進む中、軽量で耐衝撃性にも優れたプラスチック基材にフレキシブルTFTを作製するニーズは非常に高まっています。
・また米国をはじめとする電子ブックリーダーの普及により、フレキシブル電子ペーパー市場は、2017年には6000億円近い規模になるとの予測もされています。(出典Displaybank)
・酸化物半導体は、“高移動度、高安定性、低プロセス温度、大面積均一成膜可能、塗布形成可能、透明”という従来のシリコン系半導体や有機半導体にない特徴をもつ材料です。2004年11月に東京工業大学の細野秀雄教授グループからα-InGaZnO TFTが、報告されたことで産業界から高い注目を浴び、国内外の多くの企業が研究開発、試作に取り組んでいます。
・凸版印刷でも、この酸化物半導体の低プロセス温度に着目したフレキシブル電子ペーパーを、また透明性に着目した新規ディスプレイ構造を提案する、などの研究開発を行ってきました。
その成果は、
◇2005年12月
世界で初めて酸化物系半導体を用いたディスプレイの試作例として“フレキシブル電子ペーパーを発表”。
◇2006年12月
酸化物半導体の透明性に着目した新規ディスプレイ構造“フロント・ドライブ構造”を提案
(酸化物半導体の透明性をディスプレイに活かした世界初の報告例)。
◇2008年12月
フレキシブルディスプレイとしては世界最高精細となる400ppiの高解像度フレキシブル電子ペーパーを発表
などがあり、高い反響を呼んできました。
・今回の試作は、低温による製造を可能にし、塗布(スピンコート)による成膜工程を取り入れた低コストでの製造プロセスを取り入れた点が特長です。
【試作品の仕様】
・ディスプレイサイズ : 対角2インチ(画素数80×60)
・TFT基材 : ガラス
・半導体材料 : 透明アモルファス酸化物半導体
・特性 :
ガラス基材上に作製されたTFTは移動度0.5cm2/Vs以上、
オン・オフ比は10^5以上(※一般的なアモルファスシリコンTFTと同等の特性)
・TFT作製方式:
アモルファス酸化物半導体膜をスピンコート塗布で成膜し、フォトリソ法でパターニング
その他、TFTを構成するゲート電極、ソース・ドレイン電極,ゲート絶縁膜層などは通常の製造工程(真空成膜などによる成膜後にフォトリソ法でパターニング)
(※1)
塗布用半導体材料は、エボニック インダストリーAGの戦略的研究開発部署の「クレアビス テクノロジーズ&イノベーション」で開発されたものです。
以上
