凸版印刷、フルカラー有機ELディスプレイの開発に向け、
英国オプシス社と共同開発契約を締結すると共に、英国CDT社の株式を取得
2002年10月29日


 凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)は、このたび、新しいナノ材料として注目されているデンドリマー(*1)を用いた有機ELの開発を進めている英国オプシス社(以下、オプシス社)とフルカラー有機ELディスプレイの開発に向けた共同開発契約を締結いたしました。それと共に、凸版印刷は、オプシス社の経営権を取得したポリマー(*2)EL開発のパイオニアである英国ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー社(以下、CDT社)の株式も取得しました。
 本共同開発では、デンドリマーを用いた有機EL材料をウェットコーティングで塗布し、モニター仕様の高精度でパターニングする新規な材料と方式を開発することにより、大画面のフルカラー有機ELディスプレイを高品質、低価格で実現することをめざします。
 3社はさらに、ポリマー/デンドリマーを用いた有機ELディスプレイの開発および事業化に向けて戦略的な提携を強化することで合意しています。

(1) CDT社/オプシス社および材料メーカーとの協業による長寿命の材料開発
(2) ウェットコーティングとインクジェット、印刷、フォトリソなどの手法による低コストな有機EL層塗りわけ技術開発
(3) 業界トップシェアのカラーフィルタ製造技術を活用した生産技術開発
(4) ディスプレイメーカーとの積極的協業による有機ELディスプレイの早期事業化


<背景>
有機ELは、自発光であること、高速度の発光が可能であり動画の表示に最適であること、素子構造が簡単で超薄型ディスプレイが実現可能であることなどから、次世代のテレビあるいはモニターとして、大きな期待を集めています。
昨今、低分子ELディスプレイの商用化が進んでいますが、フルカラー有機ELディスプレイの本格的実用化には、(1)さらなる素子の長寿命化と、(2)高収率な発光層パターニング方法の開発が求められています。
特にCDT社が開発したポリマーELは、ウェットコーティングで塗布可能であること、インクジェットなどの印刷方法に適することなどから、最も実用化に近い材料として採用を進める企業が増加しています。
オプシス社は、新規な材料であるデンドリマーを用いた有機EL材料の開発を行なっている世界唯一の企業であり、本年5月の国際ディスプレイ学会(SID)においてはウェットプロセスによる最高輝度の素子を発表しています。デンドリマー有機EL材料は、ウェットプロセスによる塗布適性が非常に優れていること、高い効率が可能であることなどから、急速に注目を集めています。なお、CDT社は2002年10月25日、オプシス社の経営権を取得しました。
凸版印刷は、印刷および製版のコア技術をもとにした、大画面に対応できる色材の塗布パターニングの高い技術を有しています。

<ねらい>
CDT社の持つポリマーEL材料技術およびプロセス技術、オプシス社が持つ最新のデンドリマー有機EL材料技術と凸版印刷の持つ強みを組み合わせた補完的なパートナーシップにより、フルカラー有機ELディスプレイ実現のため基盤となる発光材料・パターニング技術を開発します。
電機メーカーの製造するアクティブ・マトリックス基板に、発光層を塗布・パターニングして素子化することにより、フルカラー有機ELディスプレイの実用化をめざします。

 凸版印刷生産・技術・研究本部長の河合英明常務取締役は、次のように語っています。
「デンドリマー有機ELディスプレイの発光素子製造工程は、我が社が培ってきた印刷と製版の技術、および液晶ディスプレイ用カラーフィルタの高精細パターニング技術と高い親和性がある。有機ELディスプレイ市場は、2005年度には2,300億円、2007年度には4,000億円に成長するものとみられており、我が社のエレクトロニクス分野における新事業領域の一環として注力していく。この共同開発で実現した技術・商品を、我が社のお客様である電機メーカー、ディスプレイ・パネルメーカーに提供することによって、高品質で低価格なディスプレイの早期実用化、有機ELモニター・TVの実現に貢献したい」

 一方、CDT社のデビッド・ファイフ社長兼最高経営責任者(CEO)は次のように語っています。
「CDTは、凸版印刷を戦略的な株主として迎え入れることができ、大変光栄である。この提携によって進化を続けるポリマーELディスプレイ業界において、凸版印刷がビジネスチャンスを的確に判断できるよう我々も貢献していきたい。CDTはこれまで、ポリマーEL技術の供給の拡充に努めてきたが、業界における高い信頼とリソースに富んだ凸版印刷が、今回のポリマーEL技術の供給を受けることによって重要な役割と存在を担っていくと確信している」

<今後の展開>
3社はさらに、ポリマー/デンドリマーを用いた有機ELディスプレイの開発および事業化に向けた広範な戦略的提携に向けて協力していくことで合意しています。

<ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー社(CDT社)について>
ポリマーEL分野のリーダー的な存在
本分野の基本構造特許を有する
会社概要
 
設 立 1992年
資本金 194,979千 USドル
社員数 120人
所在地 Greenwich House, Madingley Rise, Madingley Road, Cambridge CB3 OTX,UK
名 称 Cambridge Display Technology Limited
代表者 David Fyfe(デビッド・ファイフ)、CEO(社長兼最高経営責任者)
株 主 ベンチャーキャピタル、Cambridge大、デュポン、住友化学など
事業内容 ポリマーELの技術の開発とライセンス供与

<オプシス社について>
有機ELディスプレイ向け素材の開発企業
デンドリマーを用いた新規EL材料がコア技術
向こう3〜4年間で低コスト、高性能のOLEDディスプレイの市場導入をめざす
会社概要
 
設 立 1997年
資本金 18,864千ポンド
社員数 71人(Oxford:33人、Fremont:38人)
所在地 8 Begbroke Business & Science Park, Sandy Lane, Yarnton, Oxford, OX5 1PF, UK
名 称 Opsys Limited
代表者 Michael Holmes(マイケル・ホームズ)、CEO(社長兼最高経営責任者)
株 主 ベンチャーキャピタル4社、Oxford大など
事業内容 有機EL材料の開発と商用化


以  上


*1 デンドリマーEL
デンドリマーは規則的分岐構造を持つ樹脂状の分子。Opsys社が初めてOLED用として開発しました。同一分子中に発光機能と塗工特性の両方を組みこむことで、単純な構造で高機能を有する有機ELディスプレイが実現できます。

*2 ポリマーEL
ポリマーは高分子量の分子。CDT社はポリマーを用いた有機ELディスプレイの製造に関する数多くの特許を有しています。ポリマーはインキ化が容易でありコーティング特性に優れるため、大面積、低コストの有機ELディスプレイが実現できます。