日本画を高精細デジタルデータで後世に伝える文化事業
「トッパン日本画家アートアーカイブ」事業を開始
芸術作品の永久保存が可能に
1999年7月12日

 凸版印刷株式会社は超高精細・カラーマネジメントシステムを駆使した画像データベース技術を基に、高品位な印刷を可能とするデジタルデータとして日本画を収録し、一元管理・運営する体制を構築しました。これに伴い、日本の貴重な文化財である日本画を、デジタル化した記録として正しい色彩を再現し、制作意図を後世に正確に伝えるための長期的な文化事業と位置づけた「トッパン日本画家アートアーカイブ」事業を7月1日より一部開始しました。現在、(故)東山魁夷画伯をはじめ文化勲章受章および文化功労者を中心に日本画家10作家と契約の締結を完了しており、契約した画家の全作品を登録します。



<背景>

  • 近年、美術館・博物館等の収蔵品をデジタル保存し、文化財を後世に残す動きが活発化しています。これは、画像のデジタル化技術を活用して保存、利用する方法が大幅に進歩を遂げたことが大きな要因です。
  • 凸版印刷では永年にわたる印刷・製版技術のノウハウを活用して、絵画等を超高精細デジタル情報として蓄積活用する技術を確立しています。
  • 絵画作品は画集、図録、カレンダー、カード、ミュージアムグッズ等を中心とした高級美術印刷に複製されますが、なかでも日本画は国内での人気が高く、複製利用する頻度が高くなっています。しかし、印刷会社をはじめ出版社や作家本人が所有している複写フィルム(印刷原稿)は現在、日々劣化が進んでおり、退色した複写フィルムも数多いため、その再現に苦労しているのが実状です。
  • また、原画に対する配慮や所蔵家変更などの理由により、再撮影が不可能になるケースが増加しつつあります。保存環境などの事情によって、当然、原画そのものも年月とともに変化します。
  • 当社は、作品の現存状態および制作意図など、作家の業績を正しく後世に伝えることの社会的意義は大きいと考えました。
  • また、現在の複写フィルムから作家の校正を受けた高精細なデータと校正刷を、同時に保管・運営するアーカイブ事業は印刷会社としての社会的使命と考えました。 
<アーカイブ事業内容>

  デジタルデータ化
  • 日本画家の作品を複写カラーフィルムより高精細デジタルデータ化し、データベース化して蓄積
  • デジタルデータより印刷物を制作し、作家本人または作家指定の監修者による校正を受け、カラーマネジメントを行うことにより高品質な画像データを作成
  保管・蓄積
  • 作家が校正・修正した印刷物は、凸版印刷と特種製紙(株)が共同開発した永年保存用特殊紙を使用し、作家より色調校正を受けた作家承認済みの色調参照用印刷物として、デジタルデータとともに保存
  • 作品の制作記録、出展経歴、作品解説等のテキストデータも同時収録
  • 作成したデータ及作家の了承を得た印刷物は震災等に備え、国内複数箇所にて保管
  • 社内に保存室等の環境も整備
  • アーカイブデータは印刷用(CMYK)データと校正刷およびRGBデータで永年保存
  使用
  • デジタル化されたデータの貸出に関しては作家および著作権管理者の許諾を得たものに限定
  • 直接印刷データやカラーフィルムに再出力(4000×5000pixel)して印刷原稿として使用
  • 電子映像用などには、蓄積データよりメディア特性を生かした編集データを再出力
<効果>
  • 作家・著作権管理者にとっては、全作品の記録が永久に保存、活用されることが可能となるため、作品を発表する機会が後世まで広がります。
  • 作品の使用者にとっては、高品質な画像データを最良の状態で使用できます。また、作家各々の作品の高精細デジタルデータとして集中管理されるため、出版編集などにおいて作品取材活動の効率化が図られ、短時間で質の高い編集が可能です。
  • この事業で蓄積したノウハウは、今後の美術館・博物館などのアーカイブ事業に対しサポートを展開していくための礎となります。また作家の全作品・資料等のデータベースはさまざまな検索システムや研究にも幅広く活用できるものと思われます。
<売上目標>
  • 関連受注も含めて、5年後80億円見込み
<今後の予定>
  • 対象に若手作家も含め、順次拡大していきます。将来的には洋画版画作家へ拡大していく計画です。
  • 将来的にはこのアーカイブ事業の運営費を、データの貸出しによる使用料収入で賄う計画です。
  • このアーカイブへの大部分の各作家作品のデータ化に約5年を予定しており、完成すると最高品質の日本画の印刷アーカイブとなります。

以上