凸版印刷及び中国・故宮博物院共同プロジェクト
故宮デジタル研究所を竣工
研究成果第一弾として故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》を発表

2003年10月29日


 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:足立直樹)と中国・故宮博物院(北京、院長:鄭欣ビョウ)は、故宮の文化財保存と公開にデジタル技術を応用する共同プロジェクトをすすめていましたが、去る23日に故宮博物院内に「故宮文化資産デジタル化応用研究所(略称:故宮デジタル研究所)」を竣工し、開所させるとともに、共同開発による大型VR(バーチャルリアリティ)コンテンツ「故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》」を発表致しました。
 研究所開所翌日より、中国政府要人である国務院メンバー陳至立国務委員(科学・教育担当)、唐家セン国務委員(外交担当)などの方々が見学をされ、中国国内において高い関心を得ています。
 同研究所は、故宮最大の宮殿「太和殿」の西側、清朝内務府跡に、およそ2千平方メートルの敷地を割いて、往時の外観を再現して新築されたもので、高さ4.2m、幅13.5mの曲面スクリーンを配した高精細VRシアターを設置した「シアター棟」、「研究開発棟」、「事務棟」の3棟で構成されています。凸版印刷と故宮博物院では、この研究所を拠点とし次の研究活動を進めていきます。

・建築物及び文物の3次元計測とそのデータの蓄積
・建築物及び文物の立体視
・デジタル故宮の実現
・研究と実践を通した人材の育成
 
〜故宮博物院と凸版印刷の共同研究へのあゆみ〜
   故宮博物院は、明・清両朝の王宮である紫禁城78万平方メートルの古建築群と100万点の宮廷コレクションを擁する中国最大の国立博物館です。しかし、建築物、収蔵品の公開は、保護・管理の観点から大幅に限られ、また老朽化が進むなか、保存・公開は重大な課題です。その大規模な歴史文化資産を広く世界の文化交流に役立てデジタル化をすることで後世に残すべく、凸版印刷と故宮博物院は共同で、デジタル技術応用研究機関である「故宮デジタル研究所」を設立しました。
 これまでの経緯では、まず2000年6月凸版印刷と故宮博物院は共同研究に基本合意し、意向書を締結、同年10月研究所発足を定めた協議書に調印しました。
2001年8月には、研究所組織を発足し、故宮博物院事務棟に設置した準備室で凸版、故宮双方のスタッフによる活動を開始。同年11月、研究所建設起工式を行いました。その後、日中国交正常化30周年の2002年「日本年」「中国年」参加事業として、研究活動の第1のテーマである故宮VRの開発に着手しました。同年7月には、映画監督篠田正浩氏*1を総合アドバイザーに迎え、東京の中国大使館で「故宮VR制作記者発表会」を開催、11月に「故宮VR《太和殿》」を故宮博物院で発表しました。また12月には北京の日本大使館で「故宮文化資産デジタル化応用展」を約1ヶ月にわたり開催しました。2003年には、研究所建築をすすめる一方、清朝康煕乾隆帝時代の故宮を再現する「故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》」の開発をすすめ、今回の研究所施設の竣工及び、発表にいたります。
 
〜「故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》」〜
   「故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》」は、中国清王朝の全盛期といわれる康煕乾隆帝時代(1660−1790年代)の、金碧に輝く華やかな紫禁城の姿を再現したものです。VRならではの視点移動で、紫禁城宮殿の建築構造や彩画をじっくり観賞したり、独特の空間秩序を体感できるなど、ケースに応じた様々なシナリオによって異なるコミュニケーションの場を創り出すことができます。
 「故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》」では、紫禁城の中心にあり至高無上の存在である太和殿を詳細に再現し、これを中心に、皇城の入口となる天安門から、紫禁城の中心的存在である太和殿にいたる広い範囲と遠大な道のりと、紫禁城全域にわたる広大な空間を収めました。さらにその全体を俯瞰する位置に視点を移すと、紫禁城を取り囲む周囲の環境まで望むことができます。内部には、長年にわたり故宮の研究に取り組んできた研究者の考証を経て、絵画や3次元処理された多数の文物も配置され、高精細VRとしてはこれまでにないスケールをもつ、世界最大級のコンテンツとなっています。またこの開発にあたっては、古建築の学術分野においては晋宏逵副院長、表現・演出については篠田正浩監督が監修を担当しています。
 

(左)総合アドバイザーをつとめる映画監督篠田正浩氏   (右)故宮文化資産デジタル応用研究所の全景
 
〜凸版印刷のデジタルアーカイブへの取り組み〜
   凸版印刷は、このほかにも文化資産デジタルアーカイブ化における共同研究開発として、早稲田大学国際情報通信研究センター(Global Information and Telecommunication Institute 略称GITI 東京都新宿区 所長:富永英義)*2と「平城宮跡(奈良県奈良市)」をテーマとした屋外型展示システム(フィールドミュージアム)の研究開発をすすめており、本年5月にその第1期の研究成果を発表しました。
 今後は、凸版印刷、故宮デジタル研究所、GITIの3者による3次元計測を中心としたデジタルアーカイブ技術の共同研究を予定しており、日中両国における産学共同の研究開発の基盤整備をはかっていきます。

以  上
 
*1 早稲田大学国際情報通信研究センター(GITI)
早稲田大学国際情報通信研究センターは、国内外の研究・教育機関等と連携し、情報通信を軸とした学際的研究課題を設け、国際協同研究を行うとともに、情報通信を通じて国際社会に貢献しうる人材の養成を図り、情報化社会の発展寄与することを目的として、1998年6月に設立されました。情報通信システム、マルチメディア、社会科学の各研究分野において未来社会に向けた先導的研究開発を展開しています。
*2 篠田 正浩氏
映画監督として、数多くの作品を手掛けられている篠田正浩氏は、日本中国文化交流協会代表理事として、長く日中文化交流に携わるなど中国文化への造詣が深く、また早稲田大学特命教授として、デジタル映像の技法、表現分野においても最先端の研究をリードしています。故宮VR総合アドバイザーとして2002年7月以来故宮VRの監修に携わっています。