2016/04/05

凸版印刷、電源不要で夜間に光る、防災・減災用蓄光フィルムを開発
~屋外での使用も可能な耐水性・耐候性を保持、約12時間の発光が可能~
 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、電源が不要で夜間に光る防災・減災用蓄光フィルムを開発しました。避難誘導サインや防災グッズの包装材などの用途を想定し、2016年6月中旬よりサンプル出荷を開始します。

 本製品は、太陽光や屋内光などの光エネルギーを蓄えることで、約12時間の自己発光が可能な蓄光フィルムです。具体的には、凸版印刷独自のコーティング技術により、基材となる耐候性フィルムに高輝度な蓄光顔料を積層。これにより、従来の屋外向け蓄光フィルムと比較して約2倍の発光時間を実現しました。またロール原反での提供が可能なため、加工適性が高いことはもちろん、有事に備えての備蓄など、幅広い用途での活用が可能です。

 なお本製品は、2016年4月6日(水)から8日(金)まで開催される「第7回高機能フィルム展」(会場:東京ビッグサイト)のトッパンブースにて展示します。

image1
image2
蓄光フィルムのサンプル(上)とその展開例(下)
© Toppan Printing Co., Ltd.

■ 開発の背景
 災害などの非常時においては、さまざまな社会インフラが寸断されることにより、被災後の避難・救助活動や復旧・復興活動に影響が出るなどの問題が起こっています。特に夜間に被災し電力供給が断たれた場合を想定した避難誘導の安全性確保について、喫緊の対策が求められていました。
 これらの課題に対し、凸版印刷はこのたび、電源が不要で夜間に光る蓄光フィルムを開発。蓄光後約12時間発光できるため、サインなどに使用することで夜間被災時にも避難場所まで安全な誘導を可能にしました。フィルム形状のため加工適性も高く、包装材などさまざまな用途展開も可能です。


■ 本製品の特長
・約12時間の長時間発光を実現
津波避難誘導標識システムの規格であるJIS Z9097(※1)に準拠した方法で60分間蓄光すると、12時間後に3mcd/㎡の残光輝度を実現。文字の確認が可能と言われる2mcd/㎡を上回っており、12時間後にも十分に視認可能です。
・屋外での長期使用が可能
凸版印刷独自のコーティング技術により、耐水性・耐候性に優れているため、屋内はもちろん、屋外での長期使用が可能です。
・幅広い用途展開
フィルム形状のため、ロール原反での提供はもちろん、印刷加工や成形品など幅広い用途への展開が可能です。


■ 製品の仕様
・製品寸法: 最大200㎜幅、厚さ約800μmのロール形状 (※仕様により変動)
・構成部材: PET樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂 ほか (※仕様により変動)
・残光性能: キセノンランプ400μw/c㎡で60分照射時、12時間後に3mcd/㎡
・発光色: 青色
・耐水性能: 水中に500時間放置後も発光
・耐候性能: メタルハライドランプによる超促進試験7年相当で変化なし


■ 今後の目標
 凸版印刷は今後、サンプル提供により実証評価を行うとともに、用途開発を進めていきます。本製品をまずは自治体向けに拡販、2020年に約20億円の売上を目指します。



※1  JIS Z9097
津波が発生した時に備え、人々が安全な場所へ避難する際に利用する津波避難誘導標識システムについて規定されています。
この中で津波が夜間に発生した場合の暗闇対策として標識に蓄光機能、再帰性反射機能、ソーラー電源機能などを備えていることが望ましいとしており、津波避難暗闇対策として蓄光材料を用いる場合の要求性能や試験方法等が明記されています。


* 本ニュースリリースに記載された会社名および商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以上

ページの先頭へ戻る

Newsroom Search