2015/12/03

凸版印刷、大阪大学懐徳堂研究センターと共同で
梅花女子大学が所蔵する関連資料のデジタルアーカイブ化を実施
~懐徳堂学主の子孫、中井終子が保管していた日記や写真をデジタルコンテンツ化、
12月5日に実施するシンポジウムにて初公開~
 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、大阪大学文化研究科懐徳堂研究センター(所在地:大阪府豊中市、センター長:湯浅邦弘、以下 懐徳堂研究センター)と共同で、大阪大学が所蔵する貴重資料「懐徳堂文庫(※1)」の総合調査とデジタルアーカイブ化を実施しています。
 今回、梅花女子大学(所在地:大阪府茨木市、学長:長澤修一)が所蔵する、懐徳堂学主を勤めた中井家の子孫、中井終子(なかい しゅうこ)が保管していた日記や写真のデジタルアーカイブ化を実施しました。本コンテンツは、2015年12月5日(土)に開催されるシンポジウム「梅花女子大学所蔵 中井終子日記を通して探る 懐徳堂研究と女子教育の揺籃期」(会場:グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル「The Lab.」2階アクティブスタジオ)にて初公開する予定です。

 懐徳堂は、享保9(1724)年に大坂町人によって創設され、江戸時代の後半約140年にわたって大坂学術の発展と商道徳の育成に貢献した学問所です。
 中井終子は、この懐徳堂の学主を歴代勤めた中井家の子孫で、懐徳堂の再建に貢献した兄・木菟麻呂(つぐまろ)とともに、梅花女学校の教員として女子教育に尽くしました。この中井終子が保管していた懐徳堂に関わる明治・大正期の貴重な写真や日記は現在、梅花女子大学に所蔵されています。

 今回のデジタル化では、凸版印刷が提供する、資料や書籍の電子化から保管・管理、公開までをトータルで支援するサービス「Toppan Document Solution SAI-CHI(トッパン・ドキュメント・ソリューション さいち)」を活用。梅花女子大学が所蔵する資料の中から、懐徳堂にゆかりの深い明治37年2月から大正9年8月までの日記約3,000ページ、ならびに写真資料約50点のデジタルアーカイブ化を実施しました。本データを用いることで、中井終子の日記や写真資料の細部を鮮明に閲覧できるほか、懐徳堂文庫に所蔵されている同時代の資料との比較検証も可能です。本コンテンツをお披露目するシンポジウムでは、懐徳堂の新たな一面と、中井終子にいたる梅花女子大学の女子教育の歴史を紐解きます。

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中井終子『楓幃日記』(左)、デジタルコンテンツ「中井終子日記」(右)

■ 背景
 現在、梅花女子大学に保存されている中井終子関連の資料類は、明治37年から大正7年にわたって書きつづられた『楓幃(ふうい)日記』をはじめ、その後昭和27年までの間の日記数十巻にのぼります。また、ギリシャ語単語帳や年表などの貴重なものもありました。梅花女子大学では、これまでこれらの資料は学外へ公開されることがないまま大切に保管されていました。
 凸版印刷では、梅花女子大学との連携事業を進める中、懐徳堂ゆかりの人物であり、梅花で教鞭を取っていた中井終子の日記の存在を知りました。10年以上にわたって大阪大学より「懐徳堂文庫デジタルアーカイブ化」を受託・推進する中で、梅花女子大学の所蔵資料の貴重性に着目し、懐徳堂研究センターならびに梅花女子大学へデジタルアーカイブ化を提案。一般財団法人懐徳堂記念会、および日本学術振興会科学研究費による共同研究(代表者:島根大学 竹田健二教授)の支援も得て、日記と写真集の一部についてデジタルアーカイブ化を行いました。


■ 今回デジタルアーカイブ化したコンテンツの詳細
<コンテンツ構成>
・中井終子日記
明治37年から大正九年までの最も古い日記です。明治2(1896)年に一旦閉校した懐徳堂は、大正5(1916)年に再建され、昭和20(1945)年の大阪大空襲によって焼失するまで、大阪の市民大学・文科大学として多くの市民に親しまれました。その時期とも重なる貴重な歴史が綴られています。
  『楓幃日記』首巻・第一巻・第二巻・第三巻・第四巻・第六巻・第七巻・第八巻・第九巻・第十巻
  『孤松軒』前記・後記
  『うば玉の闇夜の記』上巻・下巻
・中井終子アルバム
兄である中井木菟麻呂や懐徳堂の発展に影響を与えた日本ハリスト正教会のニコライほか、懐徳堂時代や梅花での教員時代の中井終子の写真資料など、当時を知る貴重な資料となっています。


■ 「Toppan Document Solution SAI-CHI」の特長
・資料・書籍の電子化をトータルサポート
資料の劣化を防止するため、資料形態に応じたスキャナーを使用し、これまで培ってきた製版・印刷技術をもとに美しい画像データを多様なデータフォーマットで作成します。また、必要に応じて、著作権者への電子化と公開の確認、その結果に応じたデータ管理まで行うことが可能です。
・検索機能と閲覧性の向上
図書館や自治体の既存のデータベースとの連動が可能なほか、情報の公開範囲を自由に変更できます。クラウドサービスで提供するため、WEBブラウザを通じて自由に閲覧が可能になります。
・管理情報の共有化を実現
本サービスは、国立国会図書館など他機関との検索連携が可能です。書籍や資料の情報をもとに、閲覧者が情報を書き込めるソーシャルリーディング機能を搭載、閲覧者同士の情報交換を実現しました。


■ 今後の目標
 凸版印刷は本コンテンツを、懐徳堂研究センターが運営するWebサイト「WEB懐徳堂(http://kaitokudo.jp/)」にて2016年4月から一般公開する予定です。
 凸版印刷は今後も、懐徳堂研究センターと共同で貴重資料「懐徳堂文庫」の総合調査 とデジタルアーカイブ化を進めるとともに、一般公開の実現による研究の推進に貢献していきます。



※1 懐徳堂文庫
江戸時代の大阪学問所「懐徳堂」に由来する約5万点の貴重資料の総称で、現在、大阪大学附属図書館に収蔵されています。書籍や書画、屏風や印章などといったさまざまなジャンルの資料を備えています。

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以上

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