2015/11/04

凸版印刷と故宮博物院、故宮プロジェクト15年目を迎え
第4期5ヶ年の共同研究契約を調印
~2020年に向けて故宮文化資産デジタル化応用研究を継続・発展~
 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)と、中国・故宮博物院(所在地:北京市、院長:単霽翔)は、2000年より15年にわたり共同で進めてきた「故宮文化資産デジタル化応用研究(略称:故宮プロジェクト)」を2020年まで継続発展させる第4期故宮プロジェクトの調印を、2015年11月2日に故宮博物院内で実施しました。
 調印者は、故宮博物院の院長である単霽翔(ぜん せいしょう)と、凸版印刷の代表取締役会長である足立直樹となります。
 今回、中国伝統建築における芸術性や技術力、また豊富な収蔵品などの文化的価値をより多くの人々に理解してもらうため、デジタル技術の活用に力を入れる故宮博物院と、文化財のデジタル化とその活用による文化財との新しい関わり方を提供したい凸版印刷が、第4期の継続を判断。このたびの調印となりました。
第4期故宮プロジェクトでは、複雑な質感や微細な工芸技法による文物のデジタル記録や、表示デバイスの高精細化や色域拡大を見据えたデジタル表現など、より先端的な技術開発をすすめ、共同研究20年の集大成として、新旧の成果を積極的に一般に向けて公開します。
 具体的には、故宮博物院が2015年10月より公開中の東華門区域での映像展示や、続く11月には、端門に開設予定の展示施設「デジタル故宮」に導入されるVR(バーチャルリアリティ※)シアターでのVR作品『故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》』シリーズの上映、スマートフォンやタブレット端末などのパーソナルデバイス向けのアプリケーション化などを計画しています。
 今後も、貴重な古建築群や文物のデジタル化による研究/保護活用手法の開発や、それらのデータを元にしたVR作品などのデジタルコンテンツの一般公開を国内外で推進していきます。
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第4期故宮プロジェクト調印式
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第3期にて製作した「霊沼軒」(左)と、故宮デジタル研究所内VRシアター(右)
製作・著作:故宮博物院/凸版印刷株式会社

■ 「故宮プロジェクト」について
 凸版印刷が故宮博物院に導入した文化財のデジタルアーカイブ化による可視化システム「トッパンVR」にて、故宮博物院の管理する紫禁城などの宮廷建築群と文物を、デジタル技術で保存・公開する共同研究プロジェクトです。中国の博物館では初めてとなる国家認定の国際共同プロジェクトとして2000年にスタートしました。2003年、故宮博物院内の内務府跡地(非公開エリア)に、およそ3年の歳月をかけて清朝時代の宮殿を模した「故宮文化資産デジタル化応用研究所」を設立。研究所内に、高さ4.2メートル、幅13.5メートルの大型3面カーブスクリーンを用いたVRシアターを設置しました。ここを研究拠点として、故宮最大の宮殿「太和殿」を皮切りに、紫禁城空間・文物のデジタル化を進め、清王朝全盛期の姿で再現する『故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》』の共同制作を進めてきました。
 第1期(2000~2005年)、第2期(2005~2010年)、第3期(2010~2015年)にわたるプロジェクトを通じ、紫禁城を代表し個性的な特徴を備えた宮殿を中心テーマに据えて、故宮の持つ多様性に対応したデジタルアーカイブのあり方を追求してきました。デジタルアーカイブ全体の空間は78万平方メートルの紫禁城空間全域を納め、さらにその周囲を包み込む皇城区域をふくめた空間に拡大しています。15年間を通じて先駆的に取り組んできたVRによるデジタルアーカイブは、その規模において、世界に類例のないものになっています。


■ これまでの取り組み
・第1期 (2000年~2005年)
太和殿などの大型建造物を中心に、皇帝のまつりごとの空間である「外朝」をデジタル化した故宮VR「《紫禁城・天子の宮殿》第一部『太和殿』」、「第二部『三大殿』」を共同発表。日中両国内外で高い評価を得ました。
・第2期 (2005年~2010年)
皇帝の生活の場であり多様な文化が重層された「内廷」を初めてデジタル化した「第三部『養心殿』、「第四部『倦勤斎』」を完成させました。「内廷」の宮殿の各部屋には多数の文化財が配置されていますが、「外朝」とは対照的に小さな空間であること、また文化財保護の観点から宮殿内部は公開されていません。こうしたことから、故宮博物院の宮廷部や古建部とのジョイント、三次元形状計測によるより精確な形の情報を活かした故宮VRの公開など、さまざまな活用が期待されています。
・第3期 (2010年~2015年)
紫禁城の中で唯一の西洋建築物を題材に「第五部『霊沼軒』」を開発。一般公開されている宮殿ですが、完成前に清朝が終焉を迎え建設途中のままの姿で残されています。故宮の古建築研究成果を基に、完成後の姿をVR技術で想定復元しました。また、城郭の四隅に建ち紫禁城を守る「第六部『角楼』」など、多彩な建造物とVR技術を組み合わせたコンテンツ開発を進め、国内外の美術館や博物館での活用を実施しました。


■ 凸版印刷のVR・デジタルアーカイブへの取り組み
 凸版印刷では印刷テクノロジーで培った高精細・大容量のデジタル画像処理技術やカラーマネジメント技術、立体形状計測技術を核に、文化財の高精細デジタルアーカイブに取り組み、これまでに、マチュピチュ(ペルー)、国宝「陽明門」(日光東照宮)、国宝「檜図屏風」(東京国立博物館所蔵)、など、国内外で数々の貴重な文化財や世界遺産をデジタルアーカイブ化しています。
 また、文化財のデジタル展示手法としてVR技術の開発に取り組み、「ナスカの地上絵」、「東大寺大仏」など、著名な文化財をテーマにしたVR作品を1997年から40本以上製作しています。
 さらに、大型スクリーンを用いたVRシアターの導入を進め、海外では中国・故宮博物院やホンジュラス共和国博物館、国内では東京国立博物館の「TNM&TOPPANミュージアムシアター」や日光東照宮 東照宮シアター、堺市博物館 百舌鳥古墳群シアターなど20拠点にトッパンVRシステムを導入、文化財VR作品を上映・上演しています。
URL: http://www.toppan-vr.jp/bunka/



※ VR(バーチャルリアリティ)
コンピュータで生成された三次元コンピュータ・グラフィックスの映像の中を自由に移動しながらその三次元空間にいるかのような感覚を体験することができる技術です。



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以上

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