2015/10/20

唐招提寺と凸版印刷、延べ83mの重要文化財「東征伝絵巻」(全5巻)を
完全デジタル化。
絵巻全体を一度に鑑賞できるデジタル絵巻コンテンツ
『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』を10月21日から
唐招提寺新宝蔵にて特別公開
律宗総本山 唐招提寺
凸版印刷株式会社
 律宗総本山 唐招提寺(奈良県奈良市、長老:石田智圓、以下 唐招提寺)と凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、唐招提寺の開祖、鑑真和上の半生を描いた延べ83メートルにも及ぶ重要文化財「東征伝絵巻」を完全デジタル化しました。このデータを用いて、絵巻全5巻を一度に鑑賞することができるデジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』を製作。2015年10月21日(水)から11月3日(火)まで、唐招提寺新宝蔵にて特別公開します。
 今回、日本に仏教の戒律をもたらし、唐招提寺を建立した唐の名僧 鑑真和上の半生を描いた、同寺が所蔵する重要文化財「東征伝絵巻」(2004年から2010年に修復)を、凸版印刷が開発した文化財専用の大型オルソスキャナー(※1)を用いて高精細にデジタルアーカイブ化を実施しました。本スキャナーを用いることで、精確な色彩で歪みのない正射投影画像を取得できるため、97分割してアーカイブしたデータを正確につなぎ合わせることができます。この取得データを用いて、凸版印刷のVR(バーチャルリアリティ※2)技術を活用したデジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』を製作。絵巻をデジタルコンテンツ化することにより、通常の展示では難しかった絵巻全体を一度に鑑賞することができるだけでなく、場面を選択したり、拡大するなどして鑑賞できます。また、テキスト情報や地図情報などを重ねて表示することで、デジタルならではの絵巻鑑賞手法を提案します。
 なお、本デジタルコンテンツ公開期間中には、同寺僧侶のナビゲートによる上演を予定しています。
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重要文化財「東征伝絵巻」第4巻 鑑真和上一行が日本に向けて遣唐船に乗り込む場面
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(左)文化財専用大型スキャナーでデータ取得 (右)デジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』

■ 重要文化財「東征伝絵巻」について
 重要文化財「東征伝絵巻」は、日本からの要請を受けた唐の名僧 鑑真和上が、5度の失敗を乗り越えて日本に渡航し、多くの日本人僧に仏教の戒律を授けた半生を伝える絵巻です。奈良時代に書かれた大和上の伝記「唐大和上東征伝」を元に、鎌倉時代、鎌倉・極楽寺の僧、忍性が制作を発願、唐招提寺に奉納しました。以来、自らの生命の危険を顧みずに、日本の仏教発展のために渡来した大和上の業績を世に知らしめるものとして、大和上が自ら創建した唐招提寺に大切に伝えられています。


■ デジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』について
 唐招提寺と凸版印刷はこれまで、唐招提寺の金堂や御影堂を鑑賞するVR作品の製作に取り組み、また奈良国立博物館の監修のもとに国宝「鑑真和上坐像」のデジタルアーカイブ化を実施してきました。今回、両者は同館の協力により「東征伝絵巻」の内容を読み解くためのデジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』を製作しました。絵巻物は横長の和紙を巻き軸に巻いた特殊な形態のため、その全体を一度に公開することは非常に困難です。今回、精確な画像情報と色彩情報を持つデジタルアーカイブを活用してデジタルコンテンツ化することにより、貴重な文化財にダメージを与えることなく、誰でも絵巻全体を詳細に鑑賞することができるようになりました。さらに日本の仏教発展に努め、唐招提寺を建立するに至った「東征伝絵巻」が伝える大和上の半生と功績をより深く知ることを目的とし、テキスト情報や地図情報などを重ねて表示することで、デジタルならではの絵巻物の新しい鑑賞方法を提案します。さらに、映画やTV番組と異なり、インタラクティブな操作による上演にも対応しています。


■ デジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』
特別公開について
 期間: 2015年10月21日(水)~11月3日(火・祝)  9時~16時30分 (予定)
 場所: 唐招提寺境内 新宝蔵
 上映方法: 140インチスクリーンに超短焦点4Kプロジェクタで投影
 入蔵料: 大人・大学生 200円、高校生・中学生・小学生 100円
       ※入蔵には以下の唐招提寺拝観料が必要です。
       大人・大学生 600円(480円)、高校生・中学生 400円(320円)、小学生200円(160円) 
       (*カッコ内は30人以上の団体料金)


■ 凸版印刷のVR・デジタルアーカイブへの取り組み
 凸版印刷では印刷テクノロジーで培った高精細・大容量のデジタル画像処理技術やカラーマネジメント技術、立体形状計測技術を核に、文化財の高精細デジタルアーカイブに取り組み、これまでに、マチュピチュ(ペルー)、国宝「檜図屏風」(東京国立博物館所蔵)、など、国内外で数々の貴重な文化財や世界遺産をデジタルアーカイブ化しています。
 さらに、文化財のデジタル展示手法としてVR技術の開発に取り組み、『ナスカ』や『唐招提寺~金堂の技と鑑真和上に捧ぐ御影堂の美~』、『洛中洛外図屏風 舟木本』など、著名な文化財をテーマにしたVR作品を1997年から40本以上製作しています。
 また、大型スクリーンを用いたVRシアターの導入を進め、海外では中国・故宮博物院やホンジュラス共和国博物館、国内では東京国立博物館の「TNM&TOPPANミュージアムシアター」や日光東照宮 東照宮シアター、堺市博物館 百舌鳥古墳群シアターなど20拠点にトッパンVRシステムを導入、文化財VR作品を上映・上演しています。
URL: http://www.toppan-vr.jp/bunka/



※1 大型オルソスキャナー
一般的なデジタルカメラで撮影した画像を使った文化財のデジタル化では、被写体の位置により取得される像が異なるほか、距離や形状の凹凸により像の大きさが変化し遠近感が生じてしまう課題がありました。本スキャナーは、特殊なレンズ(テレセントリックレンズ)を用いることで正射投影を実現。被写体と光学系の距離が変化しても像の大きさは変化せず、得られた画像からは文化財の精確な形や大きさを知ることができます。
また、精確な色彩情報を取得するために、文化財に対して熱などのダメージを与えずに均一な照明を行うことが可能な照明システムを採用しています。
※2 バーチャルリアリティ(VR)
コンピュータで生成された三次元コンピュータ・グラフィックスの映像の中を自由に移動しながらその三次元空間にいるかのような感覚を体験することができる技術です。




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以上

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