2014/06/03

東京国立博物館と凸版印刷、超高精細デジタルアーカイブデータを活用した
VR作品『伊能忠敬の日本図』を製作、
TNM & TOPPANミュージアムシアターで6月4日より初公開
東京国立博物館
凸版印刷株式会社

独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館(所在地:東京都台東区、館長:銭谷眞美、以下東京国立博物館)と凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、VR(バーチャルリアリティ※1)作品『伊能忠敬の日本図』を製作しました。東京国立博物館・東洋館内「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で、2014年6月4日(水)より初公開します。

 

今回、東京国立博物館が所蔵する重要文化財「日本沿海輿地図(中図)」を、凸版印刷が独自に開発した電動分割撮影架台(※2)を活用して分割撮影。約115億画素に及ぶ超高精細デジタルアーカイブデータを取得しました。そのデジタルアーカイブデータを活用し、下絵を清書する際に空けられた微細な針穴や細かく書かれた町や村の名前など、地図の細部まで見ることができる高精細なVR作品を製作しました。 

 

VR作品では、東京国立博物館所蔵の「日本沿海輿地図(中図)」を中心に、56歳で地図製作を志した後17年間かけて日本各地を測量し、それまでより格段に精度の高い日本地図を作った伊能忠敬の偉業を解説します。また、伊能忠敬は日本地図をどのように作ったのかを、バーチャル空間の中で実際に確かめながら学びます。

 

さらに、超高精細なアーカイブデータを活用することにより、細部にわたる書き込みまで拡大して見ることができるとともに、その特長でもある絵画的な美しさも堪能することが可能です。

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VR作品『伊能忠敬の日本図』より
(上左) 日本沿海輿地図(中図)全体  (上右)日本沿海輿地図(中図)現在の関東付近 
(下)電動分割撮影架台を利用した「日本沿海輿地図(中図)」の撮影
監修:東京国立博物館 制作:凸版印刷株式会社

■「大日本沿海輿地全図(伊能図)」について
 伊能忠敬を中心に、江戸幕府の事業として作成された「大日本沿海輿地全図(伊能図)」。科学的実測に基づく日本全土の地図で、1821年(文政4年)に完成しました。縮尺が異なる「大図」「中図」「小図」のほか多くの種類があります。東京国立博物館は、現存する中でできばえが優れている副本である重要文化財「日本沿海輿地図(中図)」(縮尺1/216,000、全8枚)を所蔵しています。

 

■重要文化財「日本沿海輿地図(中図)」デジタルアーカイブについて
 今回、重要文化財「日本沿海輿地図(中図)」8点の超高精細デジタルアーカイブデータを取得しました。今回のデジタルアーカイブでは、最大247.3センチ×162.8センチの地図を、凸版印刷が開発した電動分割撮影架台を活用し、およそ50ほどの分割撮影を実施。大きな絵図を精確に接合することができるよう分割して撮影し、地図1点あたり最大27億画素、全体で約115億画素の超高精細なアーカイブデータを取得しました。これにより、制作する際につけられた微細な針穴や書き込まれた地名などを確認できるほど拡大することが可能なため、研究活動や修復のためのデータとしても活用できます。

 

■VR作品『伊能忠敬の日本図』について
上演期間 : 2014年6月4日(水)~9月28日(日)
上演時間 : 水・木・金・土・日曜、祝・休日 12:00、14:00、16:00
         ※所要時間は約40分です。
料金 : 高校生以上 500円   中学生・小学生 300円
      未就学児、障がい者及び介護者1名 無料
      *7月16日(水)~8月31日(日)のみ、中学生・小学生は無料
      *総合文化展当日券(一般620円/大学生410円)とセット購入で一般1000円/大学生800円
      *鑑賞には当日の予約が必要です。

 

■東洋館「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」について
 「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」は、VRによる文化財の新しい鑑賞方法を体験できる施設です。「バーチャルリアリティで時空を超える」をコンセプトに、東京国立博物館の収蔵品を中心とする文化財デジタルアーカイブをVR技術で可視化。専属のナビゲーターのライブ上演で、あたかもコンピュータが生成する三次元空間の中にいるかのような感覚で文化財を鑑賞できます。文化財の往事の姿の再現や肉眼では鑑賞することが難しい細かなディテールの拡大など、デジタルならではの文化財との新たな出会いと楽しみ方を提供する空間です。
・超高精細4K(※3)プロジェクタによるVR映像投映
・スクリーンサイズ : 300インチ(横幅6.6m、高さ3.7m)
・座席数 : 98席
・シアターウェブサイト : http://www.toppan-vr.jp/mt/

※1 バーチャルリアリティ(VR)
コンピュータで生成された三次元コンピュータ・グラフィックスの映像の中を自由に移動しながらその三次元空間に居るかのような感覚を体験することができる技術です。
※2 電動分割撮影架台
大型の文化財を精確に分割撮影を行うために凸版印刷が開発した撮影用の架台。稼動域は縦300センチ、横180センチで、カメラが架台を移動する際に、カメラと対象物との距離がほぼ一定に保つことができるため、精度よく接合できる精確な分割画像の取得が可能です。それにより、従来の撮影より撮影時間が短縮でき、文化財にかかる負担を軽減することができます。
※3 4K
米大手映画会社7社を中心とするデジタルシネマ標準化団体「DCI」(Digital Cinema Initiatives, LLC)が提唱するフォーマットで、フルハイビジョンの4倍以上の885万画素(4096×2160ピクセル、4K×2K)の解像度です。
以上

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