2014/02/28

凸版印刷の収蔵資料・書籍管理サービス
「Toppan Document Solution SAI-CHI」が京都府立総合資料館で採用
~国宝「東寺百合文書」の全資料をデジタル化、Webサイトでの一般公開を実現~

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、資料や書籍のデジタル化から保管・管理、公開までをトータルで支援するサービス「Toppan Document Solution SAI-CHI(トッパン・ドキュメント・ソリューション さいち)」(以下 SAI-CHI)を提供しています。
 このたび「SAI-CHI」が、京都府立総合資料館(所在地:京都府京都市、館長:伊藤秀一)が所蔵する国宝「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」のデジタル化、並びにホームページでの公開手法として採用されました。今回デジタル化された画像は、京都府立総合資料館の公式ホームページ「東寺百合文書WEB」(http://hyakugo.kyoto.jp/)で2014年3月3日より一般公開されます。

 

 国宝「東寺百合文書」とは、奈良時代から江戸時代にかけて約1,000年もの間、京都の教王護国寺(きょうおうごこくじ)東寺に伝えられてきたとされる約2万5,000通の文書のことです。その中身は寺院運営に関する議事録やさまざまな法会に関する文書、さらに東寺が各地に領有していた荘園に関する文書など多岐に渡ります。これまで分からないことの多かった中世の政治、経済、社会、風俗などを解明する上で大変重要な資料であるとして、1967年に京都府が文化財保護を目的に購入しました。1997年には国宝に指定され、さらに日本ユネスコ国内委員会による国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産への推薦が決まり、2015年の登録を目指しています。

 

 凸版印刷は今回、「東寺百合文書」の約2万5,000通の文書すべてにおいて、世界最高水準のスキャニング技術による高精細デジタル化と資料データの管理、ホームページでの公開作業を実施。全文書の横断検索を可能にしたほか、子供向けに解説した「Kid’sひゃくごう」や、ブログ形式で紹介した「百合百話」など、多くの人が「東寺百合文書」を理解できるようなコンテンツも制作しました。また、今回デジタル化を行った「東寺百合文書」は、全国の文化財画像で初めて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC-BY)(※)を採用。デジタル画像は、京都府立総合資料館所蔵の旨を明示した上で、改変を含め自由な利用を可能にしました。

画像1
京都府立総合資料館「東寺百合文書WEB」のトップ画面
© Kyoto Prefectural Library and Archives / Toppan Printing Co., Ltd.
画像2
デジタルアーカイブ作業風景(左)と、「東寺百合文書」の一部である「天下布武」の印が押された織田信長の禁制(右)
© Kyoto Prefectural Library and Archives / Toppan Printing Co., Ltd.

■ 開発の背景
 これまで、美術館や博物館が所蔵する貴重な資料や書籍は、唯一の資料であることから、その公開を控えている場合が多くありました。一方で、利用者からは、これらの貴重な資料や書籍を検索・閲覧したいというニーズが高まっています。このため、美術館や博物館では所蔵資料や書籍の公開・活用方法について検討を重ねてきました。
 「東寺百合文書」は、従来はその利用を、マイクロフィルムに撮影された画像を紙出力したものを、館内での閲覧にとどめており、その利用に制限がありました。また、モノクロ画像だったため、墨の色や紙の繊維など、資料の詳細を確認できませんでした。
 凸版印刷では、資料のデジタル化や著作権処理、検索機能や閲覧機能の構築、データ保管や情報共有化をワンストップで提供する収蔵資料・書籍管理サービス「SAI-CHI」を提供しており、国立国会図書館での収蔵資料のデジタル化など、数多くの実績があります。
 このたび、凸版印刷のこれらの実績が評価され、京都府立総合資料館の国宝「東寺百合文書」のデジタル化や資料データの管理、ホームページでの公開を実施。高精細カラーデータでの公開により紙の質感など墨文字以外の情報も閲覧できるようになりました。また、ホームページで公開したことにより、見たい資料をいつでも、どこでも、だれでも、調べたい項目で自由に検索できるようになりました。


■ 「東寺百合文書」のデジタル化について
・すべての文書をデジタル化、全文書の横断検索を実現
「東寺百合文書」の約2万5,000通の文書すべてをデジタル化。全文書の横断検索を可能にしました。
・白紙の資料も丁寧にデジタル化
資料の一紙一紙を丁寧に扱うことはもちろん、文字が記載されていないことを証明するため、墨が付いていない白紙の資料もデジタル化を実施しました。
・原紙の色に近い台紙を使用
資料は国宝ではあるものの、デジタル化にあたってなるべく実用的な画像とするため、資料の背景も工夫。寸法が分かるよう目盛りの入った、なるべく原紙の色に近い台紙を使用しました。
・資料に関連したデジタルコンテンツも制作、公開
子供向けの解説コンテンツである「Kid’sひゃくごう」や、ブログ形式でその特徴などを紹介した「百合百話」など、資料に関連したデジタルコンテンツも制作、公開しました。

 

■ 「Toppan Document Solution SAI-CHI」の特長
・資料・書籍の電子化をトータルサポート
資料の劣化を防止するため、資料形態に応じたスキャナーを使用し、これまで培ってきた製版・印刷技術をもとに美しい画像データを多様なデータフォーマットで作成します。また、必要に応じて、著作権者への電子化と公開の確認、その結果に応じたデータ管理までを行います。
・検索機能と閲覧性の向上
図書館や自治体の既存データベースとの連動が可能なほか、情報の公開範囲を自由に変更できます。
・管理情報の共有化を実現
国立国会図書館など他機関との検索連携が可能です。また、書籍や資料の情報をもとに閲覧者が情報を書き込めるソーシャルリーディング機能を搭載、閲覧者同士の情報交換も可能です。

 

■ 今後の目標
 凸版印刷は、「SAI-CHI」を図書館や自治体向けに拡販、2018年度に150館(団体)での採用を目指します。また、国内外の貴重な文化財や史料、記録資料のデジタルアーカイブ化を推進。資料の恒久保存と情報公開に貢献していきます。

※ クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
インターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指し、さまざまな作品の作者が自ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良い」という意思表示をするためのツールです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどができます。

 

* 本ニュースリリースに記載された会社名および商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以上

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