2013/11/20

凸版印刷、特色に対応した高精度なカラーマネジメント技術を確立
~世界初、特色DDCPと特色カラー分解製版に対応、生産効率の向上に貢献~

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、世界で初めて、プロセスカラー(※1)だけでなく、特色(※2)にも対応した高精度なカラーマネジメント技術を確立。特色DDCP(Direct Digital Color Proofing、※3)と特色カラー分解製版の両方に対応することで生産効率の向上が期待できます。

 

 カラーマネジメントとは、ディスプレイやデジタルカメラ、プリンタ、印刷物など異なるデバイス間で色の調整を行い、表示色の統一を図るためのものです。
 印刷の工程では、本製品の印刷の前に、カラー印刷のための製版を終えた段階で、実際の印刷インキでの試し刷り(校正刷り)を行います。近年のデジタル化に伴い、製版用のデータを用いて高精細なカラープリンタで直接用紙に出力するDDCPによる色校正技術が確立されてきました。DDCPで用いるプリンタと、オフセット印刷など実際の印刷で用いる印刷機とでは、使われる基本色や色域(※4)が異なるため、カラーマネジメントシステム(CMS)を用いて表示色を統一します。従来、その組み合わせパターンが有限なプロセスカラーを用いたDDCP技術は確立されていました。しかし、指定される色がその都度変わる特色の場合には、中間調や刷り重なったときの印刷の仕上がり色を事前に予測することが難しく、DDCPによる色校正が困難でした。

 

 凸版印刷はこのたび、色彩工学技術に基づき、使用する特色の色見本をもとに印刷で再現されるすべての組み合わせ色を予測できる高精度なカラーマネジメント技術を確立。使用するインキや印刷機の特性情報も加味することにより、実際に印刷される色を高い精度で予測することを可能にしました。これにより、従来の校正刷りと比較して生産効率の向上が期待できます。

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指定特色と紙色の情報をもとにCMS用プロファイルを作成
© Toppan Printing Co., Ltd.

 ■ 開発の背景
 近年、生活者の暮らしが多様化するにつれ、求められる商品も多様化しています。これにより、企業や製品のブランディングが重要となっており、企業ロゴ色や製品のイメージ色を印刷物で正確に再現することが重視されるようになっています。
 印刷工程のデジタル化により、DDCPによる校正が主流となっていますが、DDCPで用いるプリンタと実際の印刷機では、使われる基本色だけでなく、表現できる色域も異なります。そのため、カラーマネジメントを用いた色調整が必要です。しかし、企業ロゴ色や商品のイメージ色に使用されることの多い特色はDDCP化が難しく、その色調整をオペレータのスキルに頼るしかありませんでした。
 このたび凸版印刷では、任意の色見本をもとに印刷の仕上がり色を高い精度で予測し、特色DDCPとカラー分解製版に対応したCMS用プロファイルを作成する技術を世界で初めて確立。精度の高い色予測と色の再現を可能にしました。

 

■ 本技術の特長
・色彩工学に基づく色予測により、高精度な色再現が可能
色彩工学に基づいた定量的な推計手法により印刷の仕上がり色の予測を行うため、オペレータのスキルに頼らない、高精度な色再現が可能になりました。
・特色対応のDDCPにより、製版工程を標準化
特色を含む印刷物のDDCPを実現したことにより、従来の印刷機による校正刷りと比較して製版工程の標準化や作業の効率化が可能となります。
・特色を含むカラー分解も即時に対応
プロセスカラーのみならず特色を含むカラー分解についても、即時に正確な分解を実現しました。
・使用する用紙やインキ、印刷機の特性情報により、精度の高い色再現が可能
色味や発色などの用紙やインキの特性だけでなく、印刷機やデジタル出力機といった自社の生産設備の特性情報を用いることによって、精度の高い色再現が可能になりました。

 

■ 今後の目標
 凸版印刷は本技術の精度をさらに向上させ、特色を用いることが多い紙器やポスターなどを取り扱う自社の製版工程への導入を推進していきます。さらに2014年度末までに全国の生産拠点にも本技術を導入し、適地生産に対応した高品質な印刷物の生産体制を確立していきます。 

※1 プロセスカラー
カラー印刷に使う基本の色で、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色。
※2 特色
インキ会社や印刷会社が独自の配合で作った色。企業や製品のブランドカラーなどとして指定されている色など、特定の色を美しく確実に出したい場合やプロセスカラーの掛け合わせでは作れない色表現のために、プロセスカラーに加えて用いる色。
※3 DDCP(Direct Digital Color Proofing)
高精細な専用カラープリンタで直接、出力する色校正手法。
※4 色域
使われるインキや紙、印刷機により表現可能な色の範囲。


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以上

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