2013/09/27

日本海事協会、新来島どっく、凸版印刷が
衝撃に強く、450℃の高温に耐える超高耐熱ICタグを共同開発
~真空断熱を活用し、めっき処理などの高温環境下でのICタグ活用を可能に~
一般財団法人 日本海事協会
株式会社新来島どっく
凸版印刷株式会社
  一般財団法人 日本海事協会(以下 日本海事協会)、株式会社新来島どっく(以下 新来島どっく)、凸版印刷株式会社(以下 凸版印刷)は、真空断熱を活用し450℃の高温下で10分間の使用に耐える超高耐熱ICタグを共同開発しました。
  今回、めっき処理などの高温の環境に耐えるとともに、外装の金属ケースで高い耐久性を実現。作業中の激しい衝撃や振動などの過酷な環境下でのICタグ活用を可能にしています。
  今後、船舶の建造現場において本ICタグを活用した作業効率化の実証実験を行う予定です。
  新来島どっくは日本海事協会とともに、同協会の「業界要望による共同研究」のスキームにより研究支援を受け、「耐熱無線通信タグ(溶融亜鉛めっき適用可)に関する研究」として、船舶の建造現場へ適用可能な作業性と、耐久性・耐熱性をあわせ持つIC タグを開発する共同研究事業を推進。凸版印刷は2010 年6 月から開発協力のため参画しています。今回の衝撃に強い超高耐熱IC タグは、この共同研究事業の成果の一つとなります。

  凸版印刷は以前から本研究事業のため、ICチップを限りなく真空に近いガラスの中に封止加工する技術を確立、真空断熱を活用して、450℃の耐熱性を実現したガラス製ICタグの検証を続けてきました。一方、実際に製造現場でガラス製ICタグを使用するには、激しい衝撃に耐える必要があります。様々な素材や形状、厚みの外装ケースでの耐久性や機能性の評価・検証は日本海事協会と新来島どっくが行いました。これにより、作業中の激しい振動や衝撃からガラス製 ICタグを保護し、さらにICタグの読み取りにも影響しない、対象物に効率よく取り付けられる金属ケースを付加した、超高耐熱ICタグの開発に成功しました。

  超高耐熱ICタグは、2013年9月25日~27日の「第15回自動認識総合展」(会場:東京ビッグサイト東4ホール、主催:一般社団法人日本自動認識システム協会)のトッパンブースで参考出品されます。
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【開発の背景】
  昨今、様々な業界において、部材管理や作業効率化を図るためにICタグの利用ニーズが高まっています。特に造船業界では、パイプなどの部材の品質管理と効率的な運用のために、高い耐久性と耐熱性のICタグが求められています。
  新来島どっくが建造する船舶には、1隻あたり数千本のパイプが使われており、その半数以上に防食を目的とした「溶融亜鉛めっき処理(めっき処理)」が施されています。めっき処理前までは、印字や刻印による造船パイプの固体識別ができます。しかし、めっき処理後は、表面がめっきで覆われるため、部品名(固体識別番号)が不明となり、作業者は形状・寸法などを手がかりに、目視による仕分けをしている状況です。
  この仕分け作業が煩雑で時間がかかること、また効率的な作業に必要な作業場所の確保が困難なこと、そして人為的ミスの発生が、建造作業の効率化の妨げとなっています。
  一方、ICタグはもともとメーカーの保証温度が100℃程度であることから、チップを耐熱保護加工しても約200℃程度の耐熱が限界でした。そのため、これまでは450℃近い温度になるめっき処理の環境下でICタグを利用することはできませんでした。
  今回開発した超高耐熱ICタグの利用により、効率的に仕分け作業を行うことができ、人為的ミスも大幅に削減できる見込みです。


【本ICタグの特長と仕様】
・真空断熱を利用したICタグ。
・450℃の溶解亜鉛めっき工程に10分間耐えることが可能。
・外装の金属ケースでカバーし、対象物に装着。作業中の激しい振動や衝撃にも耐える。
・周波数:13.56MHz(ISO15693準拠)
・通信距離:近接

以上

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