2013/04/19

凸版印刷、NHK、NHKプロモーションと共同で、
VR映像作品『貴婦人と一角獣へのオマージュ』を製作
~タピスリー《貴婦人と一角獣》の高精細デジタルアーカイブデータを活用、
国立新美術館と国立国際美術館の「貴婦人と一角獣展」で初公開~

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、NHK、NHKプロモーションと共同で、VR(バーチャルリアリティ※1)映像作品『貴婦人と一角獣へのオマージュ』を製作、このたび完成しました。
 本VR映像作品は、2013年4月24日から国立新美術館で開催される『貴婦人と一角獣』展で初公開します。

 

 本VR映像作品は、フランス国立クリュニー中世美術館が所蔵する6面の連作タピスリー(※2)《貴婦人と一角獣》の高精細デジタルアーカイブを実施し、VR映像で再現するものです。最新のデジタル撮影による約204億画素におよぶ膨大なタピスリーの高精細デジタルアーカイブデータを活用することで、肉眼では見ることができないほど細部まで拡大し鑑賞できます。
 また、展示室では作品保護を目的に、明るい照明環境での鑑賞を控えていますが、本VR映像作品では、通常では難しい明るさでの鑑賞が可能です。さらに、高い位置にある図柄を正面から鑑賞できるほか、貴婦人の顔や装飾品など6面のタピスリーに描かれる同じ図柄を比較します。デジタル映像ならではの演出を施し、通常の展示では観ることが難しい細部やモティーフの鑑賞を可能にしました。
 国立新美術館の展覧会場に設置されるシアターでは、6台のハイビジョンプロジェクターを用い、幅約11m、高さ約3mの大型スクリーンで本VR映像作品を上映します。臨場感あるシアターでタピスリーの世界を大画面でじっくりと観ることができます。
 本VR映像作品は、同展覧会が巡回する大阪・国立国際美術館でも公開します。

07.画像1
VR映像作品『貴婦人と一角獣へのオマージュ』
制作・著作:NHK、NHKプロモーション、凸版印刷株式会社
撮影協力:Musée de Cluny、RMN-GP
09.画像2
高精細デジタルシアターのイメージ
Copyright 2012 TOPPAN PRINTING CO., LTD

■ 本VR映像作品の見どころ
1)実際の展示では困難な、明るい環境の実現や正面からタピスリーを鑑賞
通常の展示では作品保護のため難しい明るい照明環境や、タピスリーに描かれた貴婦人の顔を正面から観るなど、実際では難しい方向から展覧会場に設置された大画面シアターで鑑賞します。大画面に映し出された映像でタピスリー《貴婦人と一角獣》の世界をじっくりと体感することができます。

2)高精細デジタルアーカイブデータを活用して細部までタピスリーを拡大
6連作のタピスリー《貴婦人と一角獣》の高精細デジタルアーカイブデータを活用し、肉眼では見ることが難しい細部まで拡大しながら鑑賞できます。貴婦人と侍女の表情や衣装・装飾品の繊細な表現、一角獣と獅子の顔や手足が生み出す表情や、紋章のディテールなどを、拡大・比較して観ることが可能です。また、貴婦人や一角獣の周りに小さく描かれた動物たちを抜き出して大きく表示することで、その表情を再構成して表示します。

3)大画面スクリーンで感じるタピスリーの世界観
シアターでは、タピスリーに描かれるそれぞれのモティーフを6つのスクリーンに並べて比較します。さらに、タピスリー1面をすべての大画面スクリーンを使って大きく映し出し、タピスリーテーマである五感「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」と「我が唯一の望み」について、迫力ある映像で解説します。
(国立新美術館では幅約11m、高さ約3mの大画面スクリーンを予定)

 

■ タピスリー《貴婦人と一角獣》デジタルアーカイブについて
 6連作のタピスリー《貴婦人と一角獣》は、1面で最大縦3.77m×横4.66mの大きさがあります。今回、1面ずつ、それぞれの大きさに合わせ、最大約160カットに分割撮影し、1面で最大約49億画素、6面で約204億画素の撮影データを取得しました。今回、壁面がカーブした展示室にタピスリーが展示されている状態で撮影を実施したため、展示室の三次元計測を行い、曲率を取得することで、より精確なアーカイブデータを生成しています。

■ 「貴婦人と一角獣展」について
 フランス国立クリュニー中世美術館の至宝《貴婦人と一角獣》は、西暦1500年頃の制作とされる6面の連作タピスリーです。19世紀の作家プロスペル・メリメやジョルジュ・サンドが言及したことで、一躍有名になりました。
 千花文様(ミル・フルール)が目にも鮮やかな大作のうち5面は、「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」と人間の五感を表していますが、残る1面「我が唯一の望み」が何を意味するかについては、“愛”“知性”“結婚”など諸説あり、いまだ謎に包まれています。
 本作がフランス国外に貸し出されたのは過去にただ一度だけ、1974年のことで、アメリカのメトロポリタン美術館でした。本展は、この中世ヨーロッパ美術の最高傑作の誉れ高い《貴婦人と一角獣》連作の6面すべてを日本で初めて公開するもので、タピスリーに描かれた貴婦人や動植物などのモティーフを、関連する彫刻、装身具、ステンドグラスなどで読みといていきます。
 クリュニー中世美術館の珠玉のコレクションから厳選された約40点を通して、中世ヨーロッパに花開いた華麗で典雅な美の世界を紹介します。

<東京展>
会期:2013年4月24日(水)~7月15日(月・祝)
会場:国立新美術館
主催:国立新美術館、フランス国立クリュニー中世美術館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社


<大阪展>
会期:2013年7月27日(土)~10月20日(日)
会場:国立国際美術館
主催:国立国際美術館、フランス国立クリュニー中世美術館、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿、
朝日新聞社

 

■ 凸版印刷のVRへの取り組み
 凸版印刷は、1997年から文化財の展示映像手法としてVR技術の開発に取り組み、「ナスカ」「マチュピチュ -太陽の聖地」や「東大寺大仏の世界」「DOGU 縄文人が込めたメッセージ」など、国内外の貴重な文化財をテーマとしたVR作品を積極的に製作しています。
 また、大型スクリーンを用いたVRシアターの展開を進め、海外では、中国の故宮博物院やホンジュラス共和国博物館にシアターを納入しています。国内では 2007年に、東京国立博物館と共同で、東京国立博物館に「TNM&TOPPANミュージアムシアター」を開設しました。
URL: http://www.toppan-vr.jp/bunka/


※1 VR(バーチャルリアリティ)とは
 バーチャルリアリティは、現存しない建造物や文物の内部構造など、通常では見ることができない空間の再現や、セキュリティや作品保護の観点から直接公開することができないものを公開することが可能な技術です。ビデオ映像のようにストーリーを自動再生できるほか、ゲームコントローラーを用いて任意に空間を動き回ることができる対話性が大きな特徴の一つです。

※2 タピスリーとは
 フランス語でタピスリー(tapisserie)、英語でタペストリー(tapestry)、そして日本語では綴織(つづれおり)と呼ばれる大型の織物は、西欧の城や教会などのむき出しの石壁を装飾し、居住性を高めるために用いられました。基本的には単純な平織の織物で、カルトンと呼ばれる原寸大の下絵を参照しながら、丈夫な麻の経糸(たていと)に、染めた毛や絹の緯糸(よこいと)を杼(ひ)という道具で通していくことで、少しずつ図柄が生み出されていきます。フランドルから北フランスにかけての地域で主に制作されました。
 西欧中世においては、この技法特有の平面性が下絵の様式と調和して、14世紀後半から16世紀初めにかけて、特に優れた作例が数多く生み出されており、《貴婦人と一角獣》タピスリーはその代表作です。

 


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以上

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