2012/10/01

凸版印刷、熱殺菌後の酸素ガスバリア性が世界一の透明ハイバリアフィルム
「PRIME BARRIER レトルトグレード」を開発

 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、熱殺菌後の酸素ガスバリア性が世界一の透明ハイバリアフィルム「PRIME BARRIER(プライムバリア) レトルトグレード」を開発しました。熱殺菌が必要な流動食や点滴用輸液といった栄養摂取(ニュートリション)関連製品など、高い酸素ガスバリア性や耐熱性が求められる包材・部材向けとして、2012年10月より本格的な販売を開始します。

 本製品は、凸版印刷の新しい透明ハイバリアフィルムシリーズ 「PRIME BARRIER(※1)」の第1弾として開発した、耐熱性と耐屈曲性に優れ、アルミ箔に匹敵する高い酸素ガスバリア性を持つ透明ハイバリアフィルムです。透明ハイバリアフィルムとして世界最高レベルの酸素ガスバリア性と水蒸気バリア性を持つ「GLフィルム(※2)」に、高い酸素ガスバリア性を持ち、耐屈曲性に優れたハイバリアフィルム「ベセーラ(※3)」の技術を融合。熱殺菌後の酸素ガスバリア性が世界トップだった当社従来品の約2倍となる高い酸素ガスバリア性を実現しました。これにより、熱殺菌後に高い酸素ガスバリア性が求められる流動食や点滴用輸液包材などへの対応が可能になりました。

 なお本製品は、2012年10月2日(火)~5日(金)まで開催される「2012東京国際包装展」(会場:東京ビッグサイト)のトッパンブースにて紹介します。

「PRIME BARRIER レトルトグレード」を用いた製品サンプル
Copyright 2012 TOPPAN PRINTING CO., LTD.

■ 開発の背景
 超高齢社会が進む現在、医療費の削減を進める上で、ニュートリション関連製品が高い注目をあびています。流動食や点滴用輸液の市場は堅調な伸びを見せており、流動食の市場規模は2012年に約800億円と推定されています。また、中国やインドなど海外でもその需要が伸びており、特に中国における点滴用輸液の市場規模は、日本の8倍と推定されています。
 点滴用輸液包材は、高い保存性要求から、以前はガラスびんが多く用いられていました。しかし、ガラスびんは破損しやすい上に重いので扱いにくいといった課題がありました。そのため国内では、軽量な上に柔軟性があるフィルム包材(ソフトバッグ)が主流となっています。しかし中国やインドなどではまだガラスびんが多く、ソフトバッグへの代替が求められています。
 また、流動食や点滴用輸液包材には、透明性やシール性、耐ピンホール性、吸収吸着が少ないなどの特性が要求されます。さらに、殺菌処理に対する耐熱性や、内容物の劣化防止のための酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性も要求されます。しかし、バリアフィルムのバリア性だけでは劣化を防ぎきれず、包装内部に乾燥剤や脱酸素材を同梱している製品も多いため、異物混入や誤飲などのリスクが問題になっていました。
 これらの課題に対し、高い酸素ガスバリア性を持ち、耐屈曲性などその他の特性も兼ね備えた透明ハイバリアフィルム「PRIME BARRIERレトルトグレード」を開発。流動食や点滴用輸液包材のソフトパックとしての展開が可能になりました。

■ 本製品の特長
・高い酸素ガスバリア性を実現
酸素ガスバリア性が高い「GLフィルム」と、熱水処理により酸素ガスバリア性が向上する「ベセーラ」を融合したことにより、従来製品の約2倍となる高い酸素ガスバリア性を実現しました。
・折り曲げストレスに強い
屈曲によるストレスを与えても酸素ガスバリア性が劣化しにくい「ベセーラ」の特性を活かし、従来の約10倍(*)の耐屈曲性を実現しました。
 * 耐屈曲試験100回後、水を充填し121℃・30分でレトルト処理した場合。
・透明なため、目視確認が可能
フィルム自体が透明なため、内容物を見せて商品をアピールすることができます。また、充填後も目視確認が可能なため、シール不良やピンホールチェックなど品質検査の際にも有効です。
・燃やしても有害ガスが発生しない
素材にはPETフィルムを使用、燃やしても有害ガスが発生せず、残渣もほとんど残りません。

■ 今後の目標
 凸版印刷は、本製品を流動食や点滴用輸液向けなど、高い酸素ガスバリア性や耐熱性が求められる包材・部材向けに、国内はもちろん、海外市場へも積極的に拡販していきます。 また本製品は、卓越したバリア性能や優れた機能性を誇る凸版印刷の透明ハイバリアフィルムシリーズ「PRIME BARRIER」の製品の1つと位置づけ、本製品単体で2015年に80億円の売上を目指します。
 さらに、拡大する透明バリアフィルム市場に対し、より一層のバリア性や長期信頼性に優れた製品の開発を推進し、透明ハイバリアフィルム事業全体で2015年に500億円の売上を目指します。

※1 高機能透明ハイバリアフィルムシリーズ「PRIME BARRIER」
 透明ハイバリアフィルムの世界トップブランドである「GLフィルム」をさらに進化・発展させ、卓越したバリア性能や優れた機能性を付加した、凸版印刷の新しい高機能透明ハイバリアフィルムブランドの総称です。
※2 透明ハイバリアフィルム「GLフィルム」
 凸版印刷が独自に開発した透明蒸着ハイバリアフィルムの総称です。独自の蒸着加工技術による世界最高水準のバリア性能と用途に応じた豊富なバリエーションによって、国内だけでなくアジアを中心に海外市場でも高い評価を得ています。今日では透明ハイバリアフィルム市場のトップブランドとして、30の国と地域、1000社約10,000点の商品に採用されています(2011年12月時点)。
※3 ハイバリアフィルム「ベセーラ」
 基材のポリエステルフィルムに、アクリル酸系の樹脂(プラスチック)を塗工した、屈曲によるバリア性が低下しにくいラミネート用ハイバリアフィルムです。各種レトルト食品、農産物、調味料、各種ソース等に採用されています。


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以上

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