凸版印刷株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：金子眞吾、以下 凸版印刷）は、バッテリーレスでカード内の情報を表示できる非接触ICカードを開発しました。まずはセキュリティ性が求められる各種会員向けポイントカードやアミューズメント業界向け表示カードなどでの利用を想定し、2012年末からサンプル出荷を行う予定です。

　本製品は、リーダライタにかざしてカード券面のボタンを押すと、カード内の情報を券面表示部に表示できるFeliCa通信規格対応の非接触ICカードです。ICチップには電子マネーにも対応可能なデュアルインタフェースセキュアチップを搭載しており、高いセキュリティ性を有しています。また、リーダライタからの供給電力のみで読み書きが可能なため、カード内にバッテリーを搭載する必要がありません。さらに、表示部には電子ペーパーを用いているため、一度表示した内容をバッテリーレスでそのまま保持することが可能です。

＜背景＞
　ICカードの普及に伴い、電子マネーやポイントカード、各種会員カードなどその利用範囲が広がっています。
　しかし従来のICカードの場合、記録されている情報を確認するには、紙へ出力するほか専用端末のディスプレイ上への表示などカード以外の表示機器が必要であり、カード単体では確認できないといった課題がありました。
　本製品は、非接触ICカード内部の情報をリーダライタからの供給電力のみで表示させる仕組みを実現しました。券面のボタンにより、情報の表示・非表示の選択も可能です。

＜本製品の特長＞
・セキュアチップによる情報表示
ICチップはソニー株式会社が開発した、電子マネーにも対応可能なデュアルインタフェースセキュアチップを搭載。非接触通信ならびにディスプレイ表示ともに高いセキュリティ性があります。
・残高やポイントなど、非接触ICカード内の情報をバッテリーレスで券面に表示
リーダライタにより非接触ICカードとしての通信ができるだけでなく、リーダライタ上で券面のボタンを押すと、非接触ICカード内に記録されている残高やポイントなどの情報を表示できます。
券面のボタンにより、情報の表示・非表示の選択も可能です。
電池を搭載していないため、電池寿命にカード寿命が左右されることがありません。
・バッテリーレスで表示を維持
表示部には電気泳動方式のセグメント型電子ペーパーを使用しているため、バッテリーレスでも表示を維持できます。
・既存インフラとの親和性を意識した設計
凸版印刷独自の回路・アンテナ設計、ファームウェア開発技術により、低消費電力での駆動を実現。ICカードへの供給電力が少ない小型サイズのリーダライタにも多数対応しており、国内で普及している既存インフラとも親和性があります。
・従来のカードと同程度の携帯性を実現
従来の一般カードと同程度の縦横寸法ならびに厚さを実現、高い携帯性があります。

＜仕様＞
・カードサイズ：　縦54.0mm×横85.6mm×厚さ約0.8mm
・表示画面：　モノクロ電子ペーパー（電気泳動方式）
・画面サイズ：　縦6.0mm×横26.2mm（7セグメント8ケタ表示）
・表示仕様：　0～9までの数字8ケタ
・通信方式：　ISO/IEC18092（212kbps Passive Communication Mode）に準拠
・駆動電源：　リーダライタ供給電力
・ICチップ：　電子マネーにも対応可能なデュアルインタフェースセキュアチップ

＜参考価格＞
サンプルカード出荷価格：2000円／枚～

＜今後の展開＞
　凸版印刷では本製品を各種会員向けポイントカードやアミューズメント業界向け表示カードなどとして製品化を進めます。また、アジアや欧米で主力となりつつあるデュアルインタフェース機能付きICカードとして、海外の交通事業者や金融事業者など幅広い業界に向けて展開を図ります。さらに、スイッチ非搭載で自動表示可能なモデルを開発した上で2012年末にサンプル出荷、2013年夏に本格的な生産を開始する予定です。またNFC対応端末での読み取り、書き込みにも対応することでその利便性を向上させ、新たな付加価値提供を目指します。

※ 本製品は、2012年3月6日（火）から9日（金）に開催される「リテールテックJAPAN 2012」（会場：東京ビッグサイト、主催：日本経済新聞社）のトッパンブースにて展示されます。

＊FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です
＊FeliCaは、ソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です
＊NFC（Near Field Communication）は、13.56MHz帯の周波数を利用した近距離無線通信規格です。
＊記載されている会社名・製品名は各社の登録商標または商標です。