2012/02/29
鑑賞体験プログラムを実施
〜実物の土偶と同じ形状・重量の複製に触れることで文化財への理解を深める〜
東京国立博物館(所在地:東京都台東区、館長:銭谷眞美)と凸版印刷株式会
社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、
実物展示とVR(※1)作品の上演、複製に触れる体験を組み合わせた文化財の新た
な鑑賞体験プログラムの提供を東京国立博物館にて、2012年3月3日から4月1日
までの土曜日と日曜日の12時と16時のVR作品上演回に行います。
東京国立博物館と凸版印刷は、三次元計測技術によりデジタルアーカイブした
重要文化財を含む土偶3体、通称「遮光器土偶」「みみずく土偶」「ヤマネコ土
偶」(いずれも東京国立博物館所蔵)の三次元計測データを活用し、精確な形状
と実際の重さを再現した複製を制作しました。同三次元計測データを活用し制作
したVR作品「DOGU 縄文人が込めたメッセージ」の上演と土偶の複製に触れ
る体験を組み合わせ、鑑賞体験プログラムを提供します。
この体験により、土偶に対する理解が深まり、人と文化財の新たなコミュニ
ケーションが生まれることを狙います。
(左)制作した3体の実物大の複製 左から通称「みみずく土偶」、「遮光器土偶」、「ヤマネコ土偶」 |
【背景】
これまで、文化財の展示では、360度自由な角度で作品を鑑賞することは困難
でした。また、作品保護の観点から来館者がそれらに直接手で触れることも不可
能でした。この課題を解決するため、凸版印刷は、三次元計測技術を用いて形状
を精確にデジタル化したデジタルアーカイブデータを活用、最新の立体デジタル
造形技術を応用して、東京国立博物館の研究員の監修のもと、実物大の複製を制
作しました。工業製品のデザイン検討や試作に使われている最新の三次元プリン
ター技術を文化財複製に適用し、土偶の精確な形状を再現するとともに、手に
とって体験することを想定して実物と同じ重量で制作しています。
今後も東京国立博物館と凸版印刷は、デジタル技術を活用した、文化財の新た
な公開手法の研究、検証を進めていきます。
【開催概要】
日程 : 2012年3月3日(土)から4月1日(日)までの土曜日と日曜日
時間 : VR作品の上映時間12:00または、16:00 (10日で計20回開催)
会場 : VR作品上演/東京国立博物館資料館「TNM&TOPPANミュージアムシアター」
実物展示/平成館1階考古展示室
複製に触れる体験/東京国立博物館資料館内ロビー
参加料金 : 無料(当日の東京国立博物館入館料が必要です)
※当日、上演開始10分前までに本館1Fエントランスにて予約が必要です。先着順
のため、定員になり次第受付を終了します。
【VR作品「DOGU 縄文人が込めたメッセージ」について】
縄文時代のはじまりであるおよそ13000年前にさかのぼり、様々な土偶との対
話を通じて縄文時代への理解を深めながら、その造形に込められた縄文人のメッ
セージを読み解きます。
また、全国各地で出土した50体以上の土偶を年表上に配置し、縄文時代の各時
期の流れの中で、土偶の大きさや形がどのような変遷をたどってきたのかわかり
やすく解説します。
本VR作品に登場する土偶の中で、東京国立博物館所蔵の通称「遮光器土偶」
「ヤマネコ土偶」「みみずく土偶」3体は、三次元計測データをもとに、土偶の
微細な造形まであらゆる方向から鑑賞できる高精細な映像でお楽しみいただけます。
■ご利用案内
・上演日:金・土・日曜日、祝日
・上演期間:2012年1月2日(月・休)、1月3日(火)、1月6日(金)~4月1日(日)
・受付締切:9:50/10:50/11:50/13:50/14:50/15:50
※当日予約制です。上記時間までに以下の受付でご予約下さい。
・上演開始:10:00/11:00/12:00/14:00/15:00/16:00
※所要時間は約30分です。
・シアター受付:本館1Fエントランス
・観覧料:無料(当日の東京国立博物館入館料が必要です)
・ウェブサイト: http://www.toppan-vr.jp/mt/
【東京国立博物館と凸版印刷の取り組みについて】
東京国立博物館と凸版印刷は、2007年より文化財の新しい公開手法を検証する
共同プロジェクトを行っています。
1.文化財情報のデジタルアーカイブ化による蓄積
2.VRなどを活用した新しい公開手法の開発
3.来館者向け事業の創出
この3項を目標とし、「TNM&TOPPANミュージアムシアター」でのVR作品公開、
「国宝 聖徳太子絵伝」、「国宝 灌頂幡」をテーマとしたVR作品の共同制作や、
株式会社はとバスとの連携事業などを行っています。
【TNM&TOPPANミュージアムシアターについて】
「TNM&TOPPANミュージアムシアター」は、2007年11月2日、東京国立博物館と
凸版印刷が共同で東京国立博物館資料館内に開設しました。通常では容易に鑑賞
できない文化財や文化遺産を、VR技術を活用してナビゲータが案内するシアター
です。240インチの大画面スクリーン上で、フルハイビジョンの約4倍という超高
精細の映像を投影します。
開設以来、金・土・日・祝日を中心に一般向け公開を行っており、現在までに
9万5千人以上の入場者にお楽しみいただきました。90%を超えるお客様満足度を
記録し、作品をご覧になったお客様からは、「文化財を大きく拡大して見られる
のが良い」「生で解説してもらえるので分かりやすい」「普段見られない作品を
見られる良い機会」等の感想をいただいています。
■シアター仕様
・4K(※2) 対応プロジェクタによるVR映像投影
・スクリーンサイズ 240インチ(幅約5m、高さ約3m)
・席数 30席
※1 VR(バーチャルリアリティ)
バーチャルリアリティでは、コンピュータで生成された3次元コンピュータ・
グラフィックスの映像の中を自由に移動しながら、その3次元空間に居るかのよ
うな感覚を体験することができます。要素となるのは、空間を構成する高精細3
次元データ(形状、質感、光など)と、そのデータを操作に応じてリアルタイム
に描画生成する技術です。生成された高精細映像を展示するのに大型スクリーン
を用いると、鑑賞者はまるでその空間にいるかのような没入感を一層深く体験す
ることができます。
※2 4kとは
米大手映画会社7社を中心とするデジタルシネマ標準化団体「DCI」(Digital
Cinema Initiatives, LLC)が提唱するフォーマットで、フルハイビジョンの4倍
以上の885万画素(4096×2160ピクセル、4K×2K)の解像度のことです。