私たちの哲学

私たちの哲学

企業を取り巻く経営環境の変化とともに、新たに多様な課題が生じています。前例のない課題に取り組んでいくには、企業はまず自らの持つ3つの価値、すなわち、本来持っている「企業価値」、顧客や市場から求められる「顧客価値」、地域社会や自然環境とのかかわりを含めた「社会価値」を再認識し、そのうえで、新しい時代にふさわしい企業としてブランド価値を高めるための施策を推進しなければなりません。

企業では、その活動を通して、文書、メール、写真、映像、音声など、さまざまな資料が生み出されます。これらの中には経営情報や業務指示など、将来の経営判断において指針となる情報が含まれますが、その多くは放置され、短期間で破棄されてしまいます。企業価値を高めるためには、こうした企業史資料を体系的に保存し、未来の財産としていかに役立てるかを戦略的に考え、企業活動につなげていくコーポレートアーカイブが不可欠です。

コーポレートアーカイブの意義は、3つに要約できます。
1つ目は「企業文化・企業アイデンティティの継承」です。企業を形成するのも、動かすのも人間です。しかし、企業が継続していても、企業を形成する人間は入れ替わります。コーポレートアーカイブは、創業の精神などの企業文化・企業アイデンティティを共有し、的確に次の世代に伝えていくうえで有用です。
2つ目は、「社会的責任」「企業のブランドづくりとその向上」です。企業史資料を公開することによって、自らの経営成果や経験を社会や業界に還元することができ、社会や市場、顧客からの信頼が深まります。「IR」「サステナビリティ」の観点からも、コーポレートアーカイブの構築、そして公開はますます重要になってきています。
3つ目は、「顧客満足の獲得」など経営施策への活用です。時代の変化に的確に対応した経営方針や経営戦略を打ち出すため、また、自らのコアコンピタンスを明確にするためには、有形・無形の過去の知識や経験を活かすことが重要です。コーポレートアーカイブで歴史を体系化することで、経営施策に活用しうる資産が構築されます。

以上のように、コーポレートアーカイブは、企業が新たな課題に取り組むにあたって重要な役割を果たすものですが、この資産を活用し、体系的かつ戦略的にまとめた結果が「年史」であると言えます。年史編纂のプロセスは、企業史資料を活かし、企業の経営戦略を効果的に立案・実施していくことと同義です。コーポレートアーカイブの成果として、年史編纂が新たな課題に取り組む企業活動と結びついたとき、企業は未来をひらく大きな力を得ることができるのです。