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12 東京ミッドタウン「Midtown Blossom 2009」ポスター

12 東京ミッドタウン「Midtown Blossom 2009」ポスター

 六本木にある複合商業施設「東京ミッドタウン」のキャンペーンポスター「Midtown Blossom 2009」。この作品の持つ透明感や空気感を表現するためのポイントとして、あさぎ色の淡いトーンによるやわらかな雰囲気をいかに表現するかということが挙げられる。それを実行するためには、この色の濁りを抑え、鮮やかに発色させることが必要であり、設計の裏側には、「特色」による印刷の工夫が隠されている。そこで、この作品を担当したプリンティングディレクター(以下PD)の田中氏に制作についてのお話を伺った。

先方の要望

 ポスターの写真部分の製版設計にあたり、アートディレクターの水野学氏からは、基本的に原稿通りに、但し、要望は大きく以下の2点があった。

バレリーナと背景の奥行き感の表現

背景のあさぎ色のやわらかな調子表現(空気感と透明感)

設計の方向性

 まずは通常のプロセスインキ4色でより原稿に近い表現を目指したが、4色では背景の色が弱く浅い色調になってしまった。そこで、さらに完成度を上げるために、特色のあさぎ色の使用を決めた。また、初回のテスト校正の際に、水野氏より、「もっと写真のもっている強さをポスターでより魅力的に表現するためになにかできないか」という言葉がヒントになり、通常のプロセスインキ4色のうちシアンのみPANTONEに変更するという設計とした。

特色とPANTONEの使用

特色

 補色版として特色を使用する効果の一つとして、「色のボリュームと彩度を上げることができる」ということがある。プロセスインキ4色でボリュームを上げようとすると、明度の高低でしか調整ができず、どうしても限界があり、濁りも出てきてしまう。「デザイナーやクライアントの要望として、『強く』『鮮やかに』という表現がよく使われるが、特に『鮮やかに』という要望に応えるためには彩度の高い特色インキによる補色版を使用することでコントロールすることができる」(田中)。今回の淡いあさぎ色の表現の場合、プロセスインキ4色でシアンやイエローの濃度をあげて濃く、強くするとどうしても濁りが出てしまった。そこで透明感にもつながる「鮮やかさ」を表現するために補色版として特色を使用した。

 また、最終的な仕上がりサイズはテスト校正の約4倍のサイズとなるものもあるため、「面積比から、プロセス4色のみだと濃度が弱い印象となってしまう恐れがある」(田中)といったことへの配慮があった。特色による補色版の使用により、微妙な調節が可能となり、より原稿に近いあさぎ色の表現を実現した。

プロセス4色で印刷
予想以上に忠実な再現ができたが、あさぎ色の強さに欠ける

補色版(特色:あさぎ色)
シアン版をもとに、強さ、鮮やかさを補う版を追加

プロセス4色+補色版
補色版を追加することで、濁りのない、強さのあるあさぎ色を表現した

PANTONEのプロセスシアン

 PANTONEのインキの特性として「赤みが少なく、彩度が高い」ということがあげられる。通常のプロセス4色のうち、今回のメインの色相であるシアンにのみこのインキを使用することで、原稿に近づけつつ、奥行きや透明感を出すことが可能となった。「実際に見た目としては微妙な差で、好みによるところもあるが、PDの視点からみてPANTONEがよいと判断した。水野さんも見た瞬間にPANTONEを使用した方が濁りもなくてよいとおっしゃっていました。この設計がクリエーターのこだわりの部分にうまく合致したと言えると思います」(田中)。

【通常のプロセス4色】


色玉


4色


4色+補色版

【シアンをPANTONEプロセスシアンに変更】


色玉(シアン:PANTONEプロセスシアン)


4色(シアン:PANTONEプロセスシアン)


4色(シアン:PANTONEプロセスシアン)+補色版

 PDの仕事に関して、田中氏はこう語る。「クリエーターと作品を意識してよく見ることで、表現したいことと設計ポイントがわかってくる」(田中)。今回のポスターは、PDがクリエーターの意図を丁寧に汲み取るとともに、これまでの経験を反映させることでより質の高い作品となったと言えるだろう。

特色

通常のプロセス4色(シアン・マゼンタ・イエロー・スミ)以外の色。一般的に、プロセス4色以外の基準色(CMY系の近似色がおよそ20種類ある)の混合によるものと、金、銀、パール、蛍光色など基準色とは異なる顔料で製造されているものがある。
特色がよく使用されるのは女性誌などの表紙のタイトルロゴ、企業のオリジナルコーポレートカラーなどで、特色単色ベタとして使用される場合が多い。その他に、今回のように特色を掛け合わせることで理想の色を表現する場合などにも用いられ、その使用方法は様々である。

東京ミッドタウン
「Midtown Blossom 2009」

サイズ
B1ほか

インキ
・マゼンタ/イエロー/スミ(東洋インキ製造株式会社)
・シアン(PANTONE)
・特色(あさぎ色)(東洋インキ製造株式会社)

用紙
ヴァンヌーボV(ホワイト) 四六判 135kg(日清紡株式会社)

スクリーン線数
175線

アートディレクター
水野 学(good design company)

写真
藤井 保

デザイナー
酒本康平(凸版印刷)

プリンティングディレクター
田中一也(凸版印刷)
村上祐大(凸版印刷)

製版
株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ

クライアント
東京ミッドタウンマネジメント株式会社

制作年
2009年

田中一也
凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部
グラフィック・アーツ・センター

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