TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

EVENT REPORT イベントレポートGACからのお知らせや関わったイベントをレポートします

デザイントーク in TOPPAN Vol.20 「GRAPHIC TRIAL 2017 -Fusion-」

 グラフィックトライアルのオープン初日の7月2日、「グラフィックトライアル2017」のトークイベントが開催されました。会場のグーテンベルグルームに集まった95名の受講者を前に、参加クリエイター4名と担当PDが今回の作品を巡ってトークを展開しました。
 このトークイベントの大きな特徴の一つとなっているのが、参加クリエイターと担当PDが一緒にステージで語り合うというスタイルです。それぞれのチームがどのようにトライアルを進めたか、どんなやりとりがあったのかをお互いに披露しあい、普段は知ることのできないようなリアルな制作現場でのやり取りが生まれます。また、個性的なクリエイターが揃った今回のトライアル、それぞれがどう作品づくりに向き合ったのか非常に興味深い内容となりました。

 第一部のクリエイターとPDによるトークセッションで、仲條さんは、印刷技術の基本中の基本「抜き合わせ」をテーマに、逆光で撮影された愛猫の毛なみを背景に溶け込ませることに挑戦。「これはデザインと印刷の闘いだ」と課題を投げかけられたPD田中は、仲條さんの言葉の端々から見出したキーワードを手掛かりに、作品の世界観をどこまで印刷表現によって拡大できるかトライアルしていきました。

 ドイツから参加したジャンピン・ヘさんは、「印刷技術を駆使しながら可能性を一緒に探求するという例はあまりない」「デザイナーにとっては夢のような企画」だとグラフィックトライアルを評価。ヨーロッパと日本の言語的解釈や文化的相違に悩みながらもテーマの「Fusion」を「融合」と捉えて自身のインスピレーションの源を作品に展開しました。トライアルでは意図や背景について次々と質問を投げてくるPD山口への返信に多くの時間を使ったとか。「山口さんは私よりもドイツ人っぽく仕事をする人でした」と笑顔で付け加えました。


(左から)仲條氏、PD田中氏


(左から)ジャンピン氏、ドイツ語通訳岡本氏、PD山口氏

 吉田ユニさんは、昔からやってみたかったというスクラッチ印刷を用いた作品づくりにトライアル。PD冨永も初めての試みだったという絵柄をスクラッチするための印刷技法を見つけ出すために、印刷の現場をも巻き込みながら何度も何度も実験を重ね、まさにトライアルとなりました。終盤になってようやく実現への手ごたえをつかみ、一気に仕上げた吉田さん、「今回は思いきり楽しみたいと思って取り組んだ」と話しました。

 澤田さんはグレーの表現を追求し、通常のモノトーンの域を超える豊かな表現を目指しました。PD尾河との緊密なコミュニケーションを武器に、熱いセッションを重ねながらトライアルを一歩ずつ着実に積み上げたその作品は、深みと奥行きに満ちたものになりました。「今まで試されたことのないモノトーン表現を見つけて、誰が見ても美しいと思える作品を目指した」(PD尾河)、「印刷とグラフィックの関係性が想像を超える表現を作り出した」(澤田さん)という二人のトークは息もピッタリで、会場を大いに沸かせました。


(左から)吉田氏、PD冨永氏


(左から)澤田氏、PD尾河氏

 クリエイターとPDによるトークセッションの後半戦は、フリートーク形式で行われました。今回のトライアルについてのエピソードや感想に加え、印刷やグラフィックという表現に対するそれぞれの強い思いも伺うことができました。

「デジタル媒体というのは万能ではない、ポスターアートはしっかり生きづいていると、この展覧会は証明してくれました」(ジャンピン・ヘさん)

「トライアルを経験して、印刷にはまだまだ可能性があると感じました。これからはもっと印刷についていろいろ考えてみたいなと思います」(吉田さん)

「人が手にとって味わいたいと思う限り、印刷メディアは意味があると思います。その魅力をデザイナーとしてどう考えるのかが大切だと思います」(澤田さん)

「技術がどれだけ進んでも最後の拠り所はやっぱり人間の技術や手、そして心だと思います。芸術も文化も「これでいい」ということはあり得ませんし、勝手に成長して進歩していくものですし、それで良いのだと思います」(仲條さん)

 第二部は、ドイツ・エッセンのポスターミュージアムのレネ・グロナート館長による特別公演が実現。近代ポスターの発展の歴史と、ヨーロッパと日本の相互の影響について、さらにクリエイターと印刷会社の関係性などを豊富なポスター資料を提示しながら語ってくださいました。「印刷技術者とクリエイターが互いに影響しあい、今までになかった特別なものを生み出す可能性は大いにありますし期待しています」との言葉は、会場に集う人々に大きな勇気を与えてくれるものでした。

2時間半にわたり行われた、グラフィックトライアルに関するトークセッションと特別講演。印刷表現の明日につながる可能性が髄所に感じられる意味深いものとなりました。

  • ご意見・ご感想・お問い合わせ 
  • 著作権について 
  • 個人情報保護方針
© 2002 TOPPAN PRINTING CO., LTD.