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GRAPHIC TRIAL 2013 ギャラリートーク 成田 久×大宮エリー×辛酸なめ子

「GRAPHIC TRIAL 2013―燦―」に参加した成田 久氏と、ゲストとして大宮エリー氏、辛酸なめ子氏を招いたギャラリートーク。(於:印刷博物館P&Pギャラリー、2013年7月4日)

「GRAPHIC TRIAL 2013」の作品に囲まれた会場内に椅子を並べて開催するギャラリートークは、参加クリエーターの話を身近で聞けるまたとないチャンスです。2013のギャラリートーク第二弾は、成田 久氏が二人のゲストを迎えてにぎやかに開催。それぞれ独自のジャンルで活躍する三人の、自由奔放なトークが炸裂しました。

GRAPHIC TRIAL 2013 ギャラリートーク 成田 久×大宮エリー×辛酸なめ子

グラフィックトライアルは、思いきり自分らしくやっちゃいました♥

二人のエッセイが大好きで、出版されればすぐに買って読んでいるという成田氏。それぞれプライベートでおつきあいはあったものの、こうして三人で話をするのは初めてとか。ひとしきり出会いのエピソードなどを披露してから、今日の本題、成田氏のグラフィックトライアル作品の話になりました。

成田  :2年前に銀座7丁目に資生堂が新しいスペース「SHISEIDO THE GINZA」をつくりました。僕はそこで配っているフリーペーパー「ギンザドキドキ」の編集長をしています。実はグラフィックトライアルも「ギンザドキドキ」の表紙のようにニュースペーパーっぽくやろうかなって、最初は考えてたんです。そしたら「成田さんは成田さんっぽいのをぜひやってほしい」と言われて、こういうことになったの。

辛酸  :これは成田さんが出したいものを出し切ったものですか?

成田  :そうですね。自由にと言われたので、すごく派手で、すごく狂っているものがやりたいなって思って。それで、アートっぽくというか、作品っぽくやろうと思って、五連でつなげちゃうことにしました。ふだんは仕事上ではあまり使えない蛍光ピンクとかも思いきり使っちゃいました。

大宮  :でもすごいよ、これは。お金もかかったでしょ?

成田  :わかんな〜い。でも今回のなかで一番だって聞きました。

大宮  :「ギンザドキドキ」を見てこの作品を見ると、この人、どういう頭してるんだろうって思っちゃうよね。いったいどっちのタイプだよ!って。(笑)

辛酸  :成田さんのこの顔は、いつ、どうやって撮影したんですか?

成田  :社内にカメラマンがいるので、仕事の撮影が終わった後にぱぱっとヘアメイクしてもらって撮影しました。

大宮  :いい笑顔するなあ。かわいいよね。一休さんみたい。

成田  :(笑)この写真は、今日着ているアロハもそうですが、JAGDAの展覧会のためにつくった時に撮影したんです。だから、このデザインは布のプリントではやったことがあったんだけど、紙でどこまでできるかやって比べてみたいとも思ったんですよね。それと、ちょうど“キュキュキュカンパニー”という自分のお店をオープンすることになったので、それとコラボレーション的な意味もあるんです!

GRAPHIC TRIAL 2013 ギャラリートーク 成田 久×大宮エリー×辛酸なめ子

基本はポジティブ!

学生時代のこと、浪人時代のことなど、話がたくさん飛び交いながら、話題は成田氏の「仕事ぶり」に。成田氏がどんな風に仕事しているのか、お二人はかなり興味があったようです。

大宮  :ところで、キューちゃんはつくっている時に悩んだりすることってありますか?

成田  :あんまりないです。

大宮  :そっかあ…。つくるときって思い浮かばなかったり「どうしよう!」って悩んだりして、苦しみが伴うじゃないですか。でもキューちゃんはそういうこと、ないでしょ? いつもルンルンル〜ン♪ とか言いながらつくっているんじゃないの?

成田  :どっちかと言えばそうかも。

辛酸  :いつも脳内でつくっている感じなんですかね。

成田  :いつも妄想してるからかな。(笑)

大宮  :悩みとかありますか? ないでしょ?!

成田  :ありますよ!

大宮  :へえ〜、あるんだ!

成田  :あるある。

大宮  :たとえば?

成田  :最近はキュキュキュカンパニーをつぶれないようにやらなくちゃ、とか。

大宮  :…まあ、基本はポジティブってことですね?

成田  :でも僕、もともとはポジティブじゃなかったんですよ。四浪して、暗黒時代を見ているから。

大宮  :そういう時があったんだ。

成田  :友だちは受かるし、後輩にはどんどん追い抜かれるし、才能ないのかな、って…。

大宮  :その時どうしたの? あるある、って自分に言いきかせてたの?

成田  :だってそうじゃないと生きていけないもの。

大宮  :そういう時代があったから今のキューちゃんがあるのかもしれないね。

成田  :だから超プライド高いとか見られるけど、けっこうコツコツ型なんです!

大宮  :仕事ぶりは見てないですけど、でもけっこうバーンと言うほうでしょ? 「こうしてください!」って。

成田  :基本は「皆がいいようにやりましょ」と言うほうです。ただ…、企画決めるときはすごく怖いかも。

大宮  :やっぱりそうでしょ。怖そうだよ!

辛酸  :怒ったりする?

成田  :超する!

辛酸  :え〜! ちょっとそれ、動画で見てみたいなあ。

成田  :会社ではかなり怒ってるかな。

辛酸  :パワハラだ、パワハラ。

成田  :え〜…そう? パワハラ? …わかんない!

大宮  :「これヤダ!」って怒るでしょ。

成田  :「ヤダ!」と「カワイイ」しか言わない。

大宮  :うそ! 二択なの?

成田  :うん、二択。

大宮  :いいなあ。私も「ヤダ」と「カワイイ」だけで生きていきたいな。

成田  :え? 二人ともそんな感じじゃないんですか?

大宮  :どうかなあ。私、お二人みたいに「こういうのが好き」というのがあんまりないんですよね。

ビビりながらも、ガッツでね!

映画、演劇、コラム執筆と幅広いジャンルで活躍中の大宮氏。「人生がそれなりに転がっていく」という氏のエピソードでしばし三人で盛り上がります。

成田  :そう言えばエリーさんは、意外と何事も自分で決めていないって言っていましたね。来たものを拒まずやってる感じだ、って。

大宮  :そうなの。どうしてもやりたくてやってきたわけじゃなくて、人生はそれなりに転がっていくというか。映画なんて撮ったことなかったのに映画を撮ることになったりね。スピッツのプロモーション用に20曲まとめて15秒のCMをつくれと言われたんだけど、ならショートムービーにしたほうがいいなって脚本書いたら70分になっちゃったんです。スタッフに見せたら、当然だけど全員にムリだムリだ!と言われちゃって、でもそしたらだんだん腹が立ってきて、「やるんです!」って言っちゃって、20回くらい「やる!」って言い続けたら、そのうち皆も「やるぞ〜!」っていう気になってきて。

成田  :洗脳しちゃったんだ。言った者勝ちだね。

大宮  :それでババッと2日で撮って1日で編集して公開したの。公開前日は怖くて朝まで飲んでたな。(笑)

辛酸  :2日でできるってすごいですよね。

大宮  :それをたまたま映画会社の人がネットで見て、「面白いから、大人の遊び感覚で放映しよう」と言ってくれて、それを見たところがまた放映してくれて成功したんだよね。それから映画の仕事が12本くらい来たんだけど、自信がなかったし、100%の気持ちで頼んでくれてる人には120%で返したいけど私は60%くらいしか力がないと思って「今は無理です」って全部断っちゃった…。

成田  :正直に言ったんだ?

大宮  :そしたら仕事が一本もなくなっちゃって。あ〜…やばい、と思って最後に来た仕事を引き受けたら、それが演劇の脚本と演出。まあ、そういう感じ。でもすべてのことに意味があると思っているし、誠心誠意やっていれば何かきっと得るモノもあるだろうし、自分なりにできることもあるだろうと思っているんです。

成田  :エリーさん、ビビりながらもガッツありますもんね。

GRAPHIC TRIAL 2013 ギャラリートーク 成田 久×大宮エリー×辛酸なめ子

40過ぎると楽になる? かも…

仕事するまで友達がいなかったという大宮氏に、「友達は学生時代と30過ぎで二分している」との辛酸氏。どうやら40過ぎると楽になるのでは…、という説で意見は一致を見たようです。

大宮  :頼まれると嬉しいんだよね。もともといじめられっ子だったし、「絶対、私のこと嫌いでしょ」って思ってるタイプだから、頼まれると嬉しいんです。学生時代も友達いなかったし。だから「え? 私のこと嫌いじゃないんだ! 嬉しい!」って引き受けちゃう。

辛酸  :じゃあ仕事でどんどん友達が増えていったんですか?

大宮  :仕事で増えたとは思ったことはないけれど…。なんだろうな、30過ぎてやっと友達ができたって感じ、ないですか?

辛酸  :確かに、友達って学生時代や予備校の時と30過ぎの友だちで二分されるかもしれないですね。

大宮  :それにこういう仕事を始めたら、信じているものが自分と似ている人がすごく多かったような気がする。小学校のころは皆と話が合わないのは自分がおかしいからだ、世界が正しくて自分だけ間違っているんだってずっと思っていたけれど、似た人に会っていなかっただけなんだ、ってわかったの。友達もできたし、やっと人生が拓けてきたという感じがしてるんです。40歳になったらもうちょっと楽になるんじゃないかな。どうですか?

成田  :僕、40になって楽になりましたね。

大宮  :ほんと?

成田  :40になって自分を認めようと思いました。(笑)

辛酸  :ということはそれまで認めていなかったんですか?

成田  :うーん、でもやっと自分で「こういう方向性だ」って決められるようになった感じ。

辛酸  :権力を持ったとか?

大宮  :なるほど。

成田  :権力なんて持ってないです。カッコつけるのやめたからですよ。自分はもう自分しかない、自分にしかなれない、って。

大宮  :いつから?

成田  :40歳。

大宮  :え? 最近じゃないですか?

成田  :最近です♥

大宮  :そうなんだあ。うわあ、長いことお疲れさまでした〜。

成田  :ちょっとちょっと、僕、そんなに好き勝手にやってるように見える?

大宮  :見える!

成田  :まあ、ある意味では嘘つけないし。子どもなのかなあ。

大宮  :そこが好きなところです、私は。

成田  :会社に入って思ったけど、大人って全然大人じゃないんですよね。大人のフリしてるけど、すごい「子ども?」みたいな。皆大人ってまともだと思っているけれど、大人のほうがまともじゃないじゃない? 意外と大人げないんだよね。

本は気合いで書いてます!

多くの連載を抱えるお二人に、最近「書くのも表現だ」と開眼したという成田氏から質問が。まずは大宮氏の答えから。

成田  :最近、好きが高じて舞台のプレビューを書いたりしているんです。実は小さい時は書くのがすごく好きで、読書感想文ではクラス代表で読んで発表したりしていたんです。1+1=2というものより、答えがないもののほうが好きだったんだと思う。この前、久しぶりに書いてみたら「あ、好きかも」と気がついて、書くのも表現なんだということにちょっと目覚めながら書いています。なめ子さんはけっこう僕が知らない世界を書いていたりするし、エリーさんは日常のことを書いてることが多いけれど、そういうテーマはどうやって見つけているんですか? 日常にアンテナを張っていたりするんですか?

大宮  :私はアンテナは全然張ってないです。ノーアンテナって感じ。人に「こんなことあってさ」とか話してて、「それ、面白い!」って言われると「あ、面白いんだ、じゃあ次に書こう」ってなったり。(笑)

成田  :エリーさんは面白いと思っていなくても、相手が面白いと思ったものを書くんだ?

大宮  :自分で面白いと思ったことはないの。

成田  :気づかないの?

大宮  :うん。「これ面白い?」って思うものを書いてる。自分に自信がないのも、客観性になっていいのかなと思うし。だって「私って面白いでしょ? 面白いでしょ!」って思ってたら、気持ち悪いじゃないですか。(笑)

成田  :書くのはいつ?

大宮  :〆切に迫られて止むを得ず。

成田  :でも連載を持っていますよね。どうするの?

大宮  :それは毎週書いているけど、たいてい編集者に言い訳して〆切伸ばしてる。「おなか痛いよ〜」とかなんとか。

辛酸  :それで大丈夫なんですか?

大宮  :きっとだめでしょ。(笑)

成田  :でも、書くのは好きなんですよね?

大宮  :う〜ん、好きじゃないです。でも選択肢を出されて選べと言われたら好きだって答えるかも。いちばん好きなのは寝ることとお酒を飲むこと。あとは自然の中で遊ぶこと。書くのは好きじゃないですよ、だって仕事ですもん。本は一冊を一日で書きます、気合いで。

成田  :えっ?! 一日で一冊書いちゃうの?

大宮  :明日〆切だ、やばい!って、気合いで書くんです。ポテトチップスとノンアルコールビールをちびちびやりながら家のデスクのパソコンで書きます。企画を考えるときのように余裕がある時はカフェでフワーッとしながら書きますね。

GRAPHIC TRIAL 2013 ギャラリートーク 成田 久×大宮エリー×辛酸なめ子

興味があるものに流されながら…

「書く」ということについて聞きたいという成田氏に、続いて辛酸氏が答えます。

成田  :なめ子さんはいつもどうやって書くんですか? なめ子さんじゃないと書けないテーマが多いと思うんだけど。

辛酸  :その時に興味があるものに流されていますね。

大宮  :いろんなものに興味があるところがすごいですよね。

辛酸  :そんなにないですよ。

大宮  :だって心霊スポットとかセレブとか…

成田  :皇室とか。

辛酸  :ああ、それはありますね。

大宮  :ほら、いっぱいですよ。毎日楽しいじゃないですか。

成田  :毎日お出かけしてるし。

辛酸  :家にこもって仕事している時もあります。

成田  :規則正しく生活しているイメージがあるけど?

辛酸  :そうですね、普通に。

大宮  :何をしている時が楽しいですか?

辛酸  :最近は関東連合に興味がありますね。関東連合の見立容疑者は今どこにいるんだろうなあと思ったりとか。

成田  :え〜〜! なめ子さんは〆切守るほう?

辛酸  :どちらかと言えば早めに出すほうですね。

大宮  :えらいっすね!

成田  :二人とも毎日書いてるんですか?

大宮  :書いてないです。メールは書いているけどね。でも毎週〆切があるのは困るんですよ、今日は書くことないよ、どうしよう!って困ってる。

成田  :でも読者の人はいつも待っているじゃないですか。

大宮  :でも別に目の前に見えているわけじゃないから、本当に読んでくれてるのかなって思っちゃうよね。でもたまにツイッターで「面白かった」「励みになった」と書いてあるのを見ると読んでる人がいるんだってわかって、頑張って書こうという気になるのね。

成田  :僕って結構女性の本をよく読むんですけど、お二人の本は大好きで、いつかお話してみたいと思っていて今回、ラブコールしちゃったんです。

大宮  :ありがとうございます。次にまたこの出会いが繋がっていったらいいなと思います。

辛酸  :楽しかったです。

成田  :今日はお話できて嬉しかったです。ありがとうございました。

GRAPHIC TRIAL 2013 ギャラリートーク 成田 久×大宮エリー×辛酸なめ子

日常の一ページのような軽やかで楽しいおしゃべりは、学生時代やバイト、果ては心霊スポットなど、話はあちらへこちらへと思いきり飛躍しながらも、それぞれの仕事ぶりや生き方の片鱗が伝わってきた1時間半となりました。

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