TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

EVENT REPORT イベントレポートGACからのお知らせや関わったイベントをレポートします

デザイントーク in TOPPAN vol.2 「オフセット印刷表現の可能性」(第2回)

グラフィックトライアル2006とオフセット印刷の可能性について語っていただきました。

6月から凸版印刷の印刷博物館P&Pギャラリーにて開催されている「GRAPHIC TRIAL 2006」の後期展の企画イベントとして、2006年7月15日(土)、「デザイントーク in TOPPAN vol.2」(第2回)を開催しました。柏本郷司氏、田中竜介氏、谷口広樹氏の3名の参加クリエイターをゲストに迎え「印刷表現の可能性」と自らのトライアルについて語っていただきました。

まずはゲストの3名の代表的な仕事を紹介しました。柏本氏は、これまで数多く手がけてきたリクルート社の広告の中でも特に作品性が高いポスターを紹介。田中氏は広告、ブランドのロゴマーク、本の装丁からカレンダーまで幅広い領域からの仕事を。谷口氏はイラストレーションをベースにした雑誌の表紙や装丁・カレンダーなどデザイナーとしての仕事と、アーティストしての創作活動の双方から選んでいただきました。それぞれ異なるものづくりへのアプローチが実際の作品を通して伝わってきました。

▲ 左より、柏本郷司氏、田中竜介氏、谷口広樹氏

そして本日のテーマ「グラフィックトライアル2006」へ。それぞれの制作過程と作品を見ながらトークが展開していきました。
最初は柏本氏。
「仕事が広告なので、いつも説明的な表現が多いのですが、今回は日常と違うことをしたい、せっかくの機会だから普遍的なものをやろうと決めました。テーマは水平線とブルー。水とブルーは、たぶん無意識のうちにも僕がこだわっているもののひとつでした」
作品は、いろいろな場所で水平線を撮影した写真をモチーフに、原稿のブルーを人工的なターコイズブルーに調整し、独特の世界を表現したものです。
「絵画のように象徴的なブルーを現出させたかったんです。これが難しかった。でも、いつもなら面倒くさいこと、難しいことを注文すると嫌がられるのに、今回は逆に無理なことを言えば言うほど喜ばれる。僕にとってはほんとうに幸せな時間でした」

▲ 今回のトライアルについて語る柏本氏

▲ 今回のトライアルについて語る田中氏

続いて田中氏。
「オフセット印刷という枠の中でどれだけ幅を広げることができるかにトライしました。たとえばシルクスクリーン印刷と活版印刷とオフセット印刷で見られるような差異を、オフセット印刷だけでつくれないかと考えたんです」
そこであえて5枚を1枚のイラストとして仕上げ、製版や色の掛け合わせによる変化がはっきりとわかるような仕掛けを考えたと言います。
「ところが、僕が考えていた以上にオフセット印刷はソツがない。きれいに仕上がってしまって、思ったほど暴れてくれないし、差が出ない。つまらないんです。それで1度、全部の校正刷りが出た段階から考え直した結果が今回の作品になりました」
まだまだ「ここはこうしたい」という思いがいっぱいあるとのこと。
「やりたいことはあるけれど、自分が思っていたことはしっかり表現できました。自分の気持ちがちゃんと表面に現れてきたからこれでOKです」

そして谷口氏。
「色として認識されていない金ですが、光が反射するその変化が面白くて、いつか金だけで印刷して作品をつくってみたいとずっと思っていたんです。それがやっと実現しました」
学生時代、装飾や文様に触れてからずっと金に対して熱い思いを抱き続けてきた谷口氏にとって、今回のトライアルは格好の場だったようです。
「いろいろ発見がありました。金の紙に金のインキをのせると、金ではなく茶色に見えたという発見。金色の紙で、紙地を生かして印刷で箔らしく見せる方法。今までは頭の中で考えるしかなかったことが、実際に印刷で確かめられました」
絵具で描いたものと、パソコン上で確認したもの、印刷されたもの、それがそれぞれどの程度違ってくるのかの実験にもなったようです。
「今回の作品は印刷をしてはじめて完成する作品でした。原画ではなく、印刷物がオリジナルという考え方で発想した作品です。時間もあったので何度も試行錯誤を繰り返せたこともあり、なかなか面白いものになりました」
それぞれ作品づくりとしては手ごたえを感じてもらえた様子です。

▲ 今回のトライアルについて語る谷口氏

今回のトライアルで、これからの作品づくりでヒントになるものが発見できたかという質問に対しては、
「これまではプロセス4色にせいぜい特色1色という枠内でしか発想していませんでしたが、たとえコストや時間の制約があったとしても『まだまだやれることがあるんだ!』と実感」(柏本氏)
「カタログやパンフレットのように写真の再現性に注力する表現もあるけれど、一方では印刷のワザがそのまま味になる表現もある。印刷は時には表現の武器となり、アイデアの源にもなるんだとあらためて感じました」(田中氏)
というように、どうやらオフセット印刷の可能性の広がりを実感でしていただけたようです。

「今回試したことが引き金になって、やりたいことがたくさん出てきてしまった」(谷口氏)
といううれしい悲鳴も聞くことができました。

「印刷会社の営業さんは、僕らにとっては印刷技術の先生でもあるんです。相談できたり、一緒に企んだりできる関係が欲しい」(柏本氏)
「今の印刷は飛躍的に質が向上して効率が上がった一方で、職人さんの個性が見えなくなっている気がする。機械に頼るほうがいいこともあればそうでない部分もある気がする。できれば技術の人たちからアイデアをもらえるような機会をもうけて欲しい」(田中氏)
「たとえば学生たちがもっとオフセット印刷を実感できる場づくりを考えて欲しい」(谷口氏)
など、印刷会社へのリクエストも多々出てきました。

最後に、この道を目指している学生の方々に向けて、それぞれがグラフィックデザインの道へ進むことになった経緯を披露。さらに「参加したきっかけは?」「イメージと完成品のギャップは?」など会場からの質問に答え、トークショーは幕となりました。

  • ご意見・ご感想・お問い合わせ 
  • 著作権について 
  • 個人情報保護方針
© 2002 TOPPAN PRINTING CO., LTD.