TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL FILE 2 中野豪雄
画像
FILE 1

FILE 2

FILE 3

SPEC

FIN.

FILE 2

3つの指標を視覚情報に置き換える

中野:
情報を構成しているのは3つの指標です。指標1は「話題性の強い言葉」。2011年3月11日から2015年3月11日までの4年間に配信されたニュース記事に出現した固有名詞から、上位にランクされたものを1日ごとに抽出しました。「対象期間内に多く出現し、対象期間外にあまり出現しないこと」を定量的に分析し、導き出した値を元にしています。この値が高ければ話題性もそれだけ高いことになります。
PD:
元になるデータベースが先日のお話しに出た「日々の重要度キーワード 東日本大震災ニュース分析」ですね。
スタッフからのコメント

FILE1でもご紹介しましたが、作品で使用したデータの出典は、「日々の重要キーワード 東日本大震災ニュース分析」というデータベースを構築している国立情報学研究所准教授の北本朝展さんにデータを提供していただき、プログラミングは武蔵野美術大学教授の古堅真彦さんにご協力をいただいています。

スタッフからのコメント
中野:
これを元にしてさらに2つの指標を設定しています。指標2が「東日本大震災との関連度」。このヴィジュアルの中で表示される様々な言葉と「東日本大震災」という言葉が一つのニュース記事の中で共に登場した頻度を指標とし、割合で示しています。割合が高ければそれだけ東日本大震災と強いつながりを持っていることになります。
そして指標3が言葉の「出現回数」です。純粋にニュース記事の中にどれだけ出てきたかという数値です。
PD:
「話題性の強さ」「東日本大震災との関連度」「出現回数」の3つですね?
中野:
はい。この3つの指標それぞれに配置、色、大きさを割り当てていきます。すると、東日本大震災とそのほかのさまざまな言葉がどのような話題をつくってきたかが見えてきます。
指標1:話題性の強さ=中心〜外縁からの距離
●指標1:話題性の強さ=中心〜外縁からの距離
指標2:「東日本大震災」との関連度=配色
●指標2:「東日本大震災」との関連度=配色
指標3:言葉の出現回数=円の大きさ
●指標3:言葉の出現回数=円の大きさ
中野:
この考え方で時間軸へと落とし込みます。時間軸を円形に組んだのは、震災発生という始まりの地点から、対象期間の終わりの地点でどのくらい収束していったかが見えやすいので面白いだろうと思ったからです。そうするとこのようなイメージになります。
時間軸
中野:
このように徐々に時間軸を圧縮するかたちで5枚のポスターに展開すると、1カ月間から4年間までマクロ的に俯瞰もできるしミクロ的に見ることもできるようになります。見る人は視点を自由に行き来させながら「東日本大震災」とその他の言葉がどのような話題をつくり、時間とともにどう推移したかを俯瞰することができるわけです。視覚要素でデータを読むという感じですね。
PD:
なるほど…!完成したらじっくり読みたいですね。楽しみです。

情報の構造と印刷の設計を連動させる

中野:
イメージとしては、無重力で限りなく漆黒の空間に、重力から解放されたかのようにポコポコと情報の円が浮いていて、ずっと動き続けているという感じです。あるパラメーターに則って円が浮き沈みしているというように見えたらいいのですが。
PD:
だとすると、黒の深みは絶対に欲しいですね。
中野:
そうですね。そこに色や大きさが異なる円が浮いている。値の低いものはブルーで、数値が増えるにつれて色も暖色系になり発色も強くなっていくようになれば。
PD:
色は全部で11種類ですね?強さを出すとなると特色がいいでしょうね。
中野:
データと版がイコールの関係を持っているという考え方にしたいので特色がいいですね。
PD:
場所によってはかなり円が重なってくると思いますが、それをどう表現するかも問題ですね。
中野:
そうなんです。印刷の原理を無視して言えば、集合するほどに光が増すという感じがわかりやすいのですが…。印刷は減法混色なのに、ヴィジュアルのイメージは加法混色に近いんです。
PD:
う〜ん …、重なると明度は落ちるし色も濁りますからね。それをどうするか …。色の鮮やかさと、重なった部分の表現はかなり難題ですね。
スタッフからのコメント

ここは今回、かなりの悩みどころでした。中野さんもマスク版のデータなどを工夫されていましたが、それを受けてあとは印刷サイドがどう答えを出すか。さらにこれだけ版数が多いと抜き合わせもかなり大変そうです。

スタッフからのコメント
中野:
あとは時間軸の変化を背景でわかるようにしたいのと、各円がどんな言葉かわかるように、文字も載せたいです。目盛の出し方も重要ですよね。… 山口さん、何かいいアイデアはありませんか?
PD:
そうですね。課題要素もたくさんありますし、まずは僕なりの表現の仕方を考えてテストしてみます。

刷り上がり

中野:
感動しました!!円の重なりの部分が想像以上にうまくできて、僕としてはガッツポーズ!という感じです。一歩大きく前進したと思っています。
PD:
インキは蛍光を混ぜたものと、ノーマルのものと2種試してみました。また、円の重なり具合に関しても、円の背景に段階的にスミの平網を入れたものと、円の背景にスミを全く入れないものと2種試してみました。比較してみると、前者は円の発色自体は若干弱いですが重層感は出ましたね。後者は発色が強い一方、重層感は弱く感じるかもしれません。どうでしょうか?
中野:
確かにスミの平網を入れた方が重なり具合を明るさで感じられるから自然ですね。蛍光色については配色の強弱が見えにくく感じるので、少し考えてみます。
円の背景にスミの平網が入ったもの
◇円の背景にスミの平網が入ったもの
円の背景にスミの平網が入らないもの
◇円の背景にスミの平網が入らないもの
中野:
でも本当に良かったです。想像以上にちゃんと出ていました。すごくうまくいっていると思います。後は背景や文字の調整という感じですね。今までひたすらデータと向き合っていたので …ようやくゴールに向かっている感じがしてきました!(笑)
次回予告

細部の精度もさらに上げていきます!

プロフィール
中野豪雄 NAKANO TAKEO

中野豪雄
NAKANO TAKEO

グラフィックデザイナー

1977年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。勝井デザイン事務所を経て、2005年中野デザイン事務所設立。情報の構造化と文脈の可視化を主題に、様々な領域でグラフィックデザインの可能性を探る。日本タイポグラフィ年鑑グランプリ、同ベストワーク、造本装幀コンクール経済産業大臣賞等受賞。世界ポスタートリエンナーレトヤマ、ラハティ国際ポスタービエンナーレ等入選。国際タイポグラフィ・ビエンナーレ「タイポジャンチ・ソウル2011」に招待作家として出展。書芸博物館(韓国)パーマネントコレクション。武蔵野美術大学、多摩美術大学講師。

FILE 1

FILE 2

FILE 3

SPEC

FIN.
  • グラフィックトライアル twitterはじめました

PDFファイルをご覧になるには、下のボタンから最新のプラグインをダウンロードし、インストールしてご覧ください。

Get Adobe Reader

  • ご意見・ご感想・お問い合わせ 
  • 著作権について 
  • 個人情報保護方針
© 2002 TOPPAN PRINTING CO., LTD.