TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 3.トライアル2-阿部拓也
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トライアル2
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「黒の領域」を探る

「人は、どこからどこまでを“黒”と呼ぶのでしょうか。“黒”という色に拡張性を持たせたら、その領域も広がるかもしれません。今回は、黒インキの黒さを超える“黒”をつくることと、黒インキを使わずに“黒”をつくることに挑戦したいと思います。黒い紙を使って黒より黒い“黒”を目指す、紙地の色を利用して黒をつくる、色の線や面で黒に見せる、などなど…。さて、期待通りに黒の領域は広がってくれるでしょうか」
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黒い紙で「黒」を表現する
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原稿
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チャート状のデータ。9種類の印刷を試すためのもの。
@グロスニス/Aマットニス/Bマットスミ/Cパールニス/DC/EM/FY/GK/HCM Y各80%の平網※
※“リッチブラック”と呼ばれ、深みのある黒の表現に使用される掛けあわせ。
用紙/インキ

さまざまな質感の黒の用紙を選択。
インキはレギュラーのプロセス4色と希釈用のメジウム、ニスなど。

用紙

スーパーコントラスト(スーパーブラック)/ミランダ(黒)/ルミナカード(黒)/ウーペケーナス(ブラック)

インキ

プロセス4色/グロスニス/マットニス/パールニス/マットスミ

刷り上がり
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用紙:スーパーコントラスト(スーパーブラック)

【ディテール】

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左から、スーパーコントラスト(スーパーブラック)、ミランダ(黒)、ルミナカード(黒)。全体的な傾向として、CMYKはそれぞれの色が、パールは白濁した光沢が強く表れた。またマットスミが赤みを感じさせる仕上がりとなった

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色紙を使って「黒」を表現する
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原稿
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【黄色の紙タイプ】CMYのYを紙で補完するとイメージして作った、CMのチャート状のデータ。
※青い紙タイプではMYのチャートを使用
用紙/インキ

原色に近い色の用紙を選択。インキはレギュラーのプロセス3色。

用紙

イルミカラー(黄)/イルミカラー(青)

インキ

プロセス3色(スミを除く)

刷り上がり
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用紙:イルミカラー(黄)
黄(Y)×紫(CM)でのトライアル。M100%+C100%ではボールペンのような質感の紫がかった黒になった。

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用紙:イルミカラー(青)
青(C)×オレンジ(MY)のトライアル。M100%+Y100%でかなりの濃度の黒が表現できた。

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透明の紙を透かして「黒」を表現する
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原稿
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チャート状のデータ。
用紙/インキ

黄色の透明な用紙を選択。
インキは黄色の補色である紫系の特色2色と銀。

用紙

NTパイル(イエロー)

インキ

特色紫(2種)/銀/ニス

製版/校正刷り

用紙を透かすことを想定し、裏から用紙の反対色である紫を印刷。それ以上の情報を不透明にする役割として銀版も作成した。また、さらに黒を強調する効果を狙い、表からうす紫も刷り重ねた。

刷り順

裏:特色紫1→特色紫2→銀

表:特色うす紫(メジウムで20%に希釈)

刷り上がり
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表面
裏面

【ディテール】
黒というより“暗い”イメージになった。

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表から見たもの
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細線で「黒」を表現する
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原稿
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チャート状のデータ。線の太さは0.2pt刻みで0.2〜1pt。左は平行線、垂直線、左右45度の斜線を組み合わせたもので、右は平行線のみで構成している。

用紙/インキ

標準的なコート紙を選択。
インキは通常のプロセス4色ではなく、色相をふった特色を使用した。

用紙

オーロラコート

インキ

特色紫/特色茶/特色緑/特色藍

刷り上がり
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用紙:オーロラコート

【ディテール(拡大)】

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拡大さらに拡大

粗いと色がはっきりわかるが、細かいと全体的にグレイッシュなイメージになった。

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暗いインキで「黒」を表現する
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原稿
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カラーの写真画像
用紙/インキ

標準的なコート紙と、黒い紙を選択。
インキはレギュラーのプロセス4色を調肉した特色を使用。

用紙

オーロラコート/スーパーコントラスト(スーパーブラック)

インキ

特色シアン(C50%+K50%)/特色マゼンタ(M50%+K50%)/特色イエロー(Y50%+K50%)

製版/校正刷り

3色分解した写真画像を黒系の特色インキで印刷した。

刷り上がり
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用紙:オーロラコート

【ディテール】
白い紙では手前の赤い花のように強い色味のある部分にかすかに色を感じるが、ほぼモノトーンのような仕上がり。黒い紙では白い紙より色みを感じさせる仕上がりとなったほか、全体的にはソラリゼーションのような効果が見受けられた。

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用紙:オーロラコート 用紙:スーパーコントラスト(スーパーブラック)

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トライアルを終えて
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阿部氏のコメント
「成功と失敗の差がはっきり出た実験でしたね。色紙を使った実験ではしっかり黒が出た一方、細線や加法・減法混色の実験では黒に近づけませんでした。面白かったのは、「暗いインキで『黒』を表現する」の実験の黒い紙で、ネガ反転のような効果が出たこと。インキが乗るとかえって明るく見え、しかも色が予想以上に強く出たことに驚きです。インキを乗せて明るくなるなら、光を刷るという逆転の発想も可能かもしれません。予想外の可能性が見えてきました」

担当PDのコメント
全体として次に繋がる実験ができたように思う。面による黒表現はバランスを調整すれば良い結果が出せそうだし、色紙の実験では、紙色にインキを超える強さがあることを改めて実感できた。なにより興味深かったのは、阿部氏同様、3色分解した写真をダークトーンで刷った実験だ。これまで色の原理を応用して科学的にアプローチしてきたが、これは見せ方を工夫するという新しい取り組みで、またひと味違う闇と光の出し方が見つかりそうな気がする。

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次に向けて
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「これまで黒を巡ってトライアルを続けましたが、次は純粋に光の表現を実験します。最終的には明暗のコントラストで“暗闇の中の光”を表現したいので、暗さを引きたてる明るさと、明るさを引きたてる暗さを、今度は光の側から探していこうと思います」

プロフィール
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阿部拓也 ABE TAKUYA
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阿部拓也
ABE TAKUYA

アートディレクター
1982年秋田県生まれ。日本デザイナー芸術学院卒業。凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 トッパンアイデアセンター 東日本TIC部に在籍。アートディレクターとして、主にポスターやカレンダー、VIなどビジュアルコミュニケーションの分野に携わっている。主な実績に「みやぎの環境保全米」ロゴマークなど。2009年デザイングランプリTOHOKU最優秀賞受賞。翌年から審査員を務める。2011年東日本大震災発生後、復興プロジェクト「緑の太陽」の立ち上げに関わる。社団法人日本グラフィックデザイナー協会会員。
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