TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 2.トライアル1-阿部拓也
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トライアル1
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さまざまな「黒」をつくってみる

「“黒”と言っても、質感や色み、深さや濃度によって表情は大きく変わってきます。トライアル1では、インキや紙、刷り方や表面加工など、印刷技術を使ってどんな黒が表現できるかを実験します。スミ100%の黒が下地やコーティングでどれだけ変わってくるのか、インキの掛け合わせでどんな色みを帯びた黒が生まれてくるのか。いろいろな方法をPDと一緒に考えて、その結果をチャートに整理してみようと思います」
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黒の色み
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原稿
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チャート状のデータ
用紙/インキ

用紙は色の差異を確かめるため、標準的なコート紙を選択。
インキはレギュラーのプロセス4色と蛍光インキを使用。蛍光シアンと蛍光マゼンタは、より発色の強い蛍光グリーンと蛍光ピンクに差し替えている。

用紙

オーロラコート

インキ

プロセス4色/蛍光グリーン/蛍光ピンク/蛍光イエロー

製版/校正刷り

レギュラーインキと蛍光インキの2パターンを出校。また、通常どおりスミを最初に刷ったものと、スミを最後に刷ったもので刷り順違いのパターンも出校した。

版の校正

A: スミ→シアン→マゼンタ→イエロー
B: シアン→マゼンタ→イエロー→スミ

刷り上がり
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プロセス4色
用紙:オーロラコート

【ディテール】
スミの上にベタで色が乗ると、黄色は緑、マゼンタはオレンジというように、本来のインキ色とは異なる色みになった。 スミを最後に刷ると、逆に本来のインキ色に近い印象となった。

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【ディテール(蛍光インキ)】
蛍光インキは不透明なため、レギュラーインキより色みが強い。

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黒の質感1
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原稿
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チャート状のデータ
表面加工部分では、1度刷り、2度刷り、3度刷りが確認できる。
用紙/インキ

用紙は標準的なコート紙と非塗工紙を選択。
インキはスミのほか、表面加工としてのニスやコーティング剤を使用した。

用紙

オーロラコート/HSホワイトハミング

インキ

スミ
表面加工用: グロスニス/マットニス/パールニス/蛍光メジウム※/テクノフ※
※蛍光メジウム: 偽造防止用インキ
※テクノフ: コーティング剤

製版/校正刷り

表面加工としてのインキは3度刷り重ねている。

版の校正

スミ→表面加工インキ1→表面加工インキ2→表面加工インキ3

刷り上がり
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プロセス4色
用紙:オーロラコート

【ディテール】
手前から1度刷り、2度刷り、3度刷り。
それぞれまったく異なる質感に仕上がった。パールニスはひんやりした印象に、蛍光メジウムは強い群青色になるなど、予想外の効果も見られた。

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黒の質感2
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原稿
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チャート状のデータ
特色をスミの先・後で刷るテスト。
用紙/インキ

用紙は標準的なコート紙と非塗工紙を選択。
インキはスミと金、銀を使用した。

用紙

オーロラコート/HSホワイトハミング

インキ

スミ/金/銀

製版/校正刷り

同版で特色は2パターン出校した。

版の校正

特色1(金or銀)→スミ→特色2(金or銀)

刷り上がり
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金を使用したもの
用紙:オーロラコート

【ディテール】
金の先刷りは左から100%ベタ、50%、25%、後刷りは左から50%、30%、10%。
特色をスミの上から重ねると金特有の光沢が失われる傾向が見られた。スミの下に先刷りすると、金の色みから暖かみのある黒になった。

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黒の深度
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原稿
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チャート状のデータ
中心になればなるほどインキが重なるつくりのテスト。
下半分にオペークホワイト版を入れており、見え方の違いも確認できる。
用紙/インキ

用紙は標準的なコート紙を選択。
インキはスミとオペークホワイトのほか、プロセス4色とニスも使用した。

用紙

オーロラコート

インキ

プロセス4色/オペークホワイト/マットニス/グロスニス

製版/校正刷り

インキ違いで2パターン出校。

版の校正

A: オペークホワイト→スミ→スミ→スミ→スミ→スミ→スミ
B: オペークホワイト→シアン→マゼンタ→イエロー→マットニス→グロスニス→スミ

刷り上がり
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Aパターン
用紙:オーロラコート

下半分は下地としてオペークホワイトを刷ってみたが、下地ありの方が効果が大きく見られた。特にAパターンの下地ありの部分が最も黒く見えた。

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トライアルを終えて
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阿部氏のコメント
「理屈ではわかっていたつもりでも、実際に刷ってみるとビックリするような発見がいろいろあるものですね。蛍光メジウムやパールニスがこんなに色みを強く感じさせるなんて想像していませんでしたし、オペークホワイトを下地に引くだけでこれほど質感や濃度が変わって見えるとは思いませんでした。スミと色の掛け合わせで生まれる色みも独特のものがありましたね。単純な足し算を超えた、化学反応のような楽しさがあってワクワクしたトライアルでした」

担当PDのコメント
同じ材料も見方を変えれば別の活用法が見えてくることがある。たとえば蛍光メジウムはブラックライトに反応させるためのものだが、今回はニスのような表面の質感加工を目的に使用し、予想外の結果が得られた。よく使うインキや紙でも、使い方や掛け合わせ、組み立てなどでひねりを効かせれば、新しい発見もまだまだありそうだ。

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次に向けて
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「暗闇の中の光が輝く表現のために、もっといろいろな暗闇の表現を探りたいと思います。次回は、光を吸収するようにどこまでも深い黒や、奥行き感を持った 黒、透明感を持った黒などの生成に挑戦し、黒の表現や多様性をいろいろな角度からアプローチしていきます」

プロフィール
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阿部拓也 ABE TAKUYA
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阿部拓也
ABE TAKUYA

アートディレクター
1982年秋田県生まれ。日本デザイナー芸術学院卒業。凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 トッパンアイデアセンター 東日本TIC部に在籍。アートディレクターとして、主にポスターやカレンダー、VIなどビジュアルコミュニケーションの分野に携わっている。主な実績に「みやぎの環境保全米」ロゴマークなど。2009年デザイングランプリTOHOKU最優秀賞受賞。翌年から審査員を務める。2011年東日本大震災発生後、復興プロジェクト「緑の太陽」の立ち上げに関わる。社団法人日本グラフィックデザイナー協会会員。
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