TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 3.トライアル2-佐藤晃一
画像
トライアル2
画像
ぼかし画像とシャープ画像を組み合わせる実験

「蛍光インキの濃度のおおよその基準ができたので、今回は画像のぼかし具合を中心に実験します。最終的にぼかし画像とシャープ画像を組み合わせて、ある種の“輝き”を表現するのが狙いです。ぼかしすぎて絵柄が見えなくなってもダメですし、くっきりと出すぎてもつまらないでしょうから、ちょうどいい組み合わせになるバランスを探ってみます。」
原稿
画像
「あやとり」©きいち/小学館(印刷物)
事前テスト

トライアルに先立ち、「ぼかし画像」製版の方法を検討した結果、光学的に焦点距離を変える方法ではなく、ぼかしの度合いの調整が可能なフォトショップのぼかしフィルタ(ガウス)を用いることにした。

用紙/インキ

用紙は蛍光色の発色が良い紙として、白さに秀でたラフグロス紙1種を使用。
インキは、蛍光インキをベースに適宜オペ―クホワイトで希釈した。

用紙

ヴァンヌーボVG(スノーホワイト)

インキ

特色シアン※1/蛍光マゼンタ/蛍光イエロー/特色スミ/マットスミ※2
希釈剤:オペ―クホワイト

※1 特色シアン:蛍光マゼンタ、蛍光イエローとのバランスを見て調色した彩度の高いシアン。
蛍光マゼンタと明度をそろえている。
※2 マットスミ:マットスミにマットニスを混ぜた。

製版/校正刷り

シアン・マゼンタ・イエローの3色製版。この3色を蛍光インキに置き換えた。
製版は2種類制作した。
一つはぼかし画像とシャープ画像をそれぞれ3色分解し、重ね刷りする別版タイプ。もう一つはぼかし画像とシャープ画像をデータ上で合成した合版タイプ。この2種を比較した。
スクリーン設定は合版タイプは175線、別版タイプはモアレ防止のためフェアドット※とした。

※フェアドット:スクリーンの一つ。従来使用されている2つの製版方式、「AMスクリーン」と「FMスクリーン」の両方の長所を併せ持つハイブリットなスクリーンのこと。

版の工程

@シャープ画像 元絵を7%濃度にした。
Aぼかし画像 色が濁らないように、元絵から髪と瞳以外の元絵のアウトラインを削除。その後フォトショップでぼかした。
B合版用画像 @とAをデータ上で合成したものを3色に分解。
C特色スミ版 髪部分を抽出。
Dマットスミ版 髪部分と瞳を抽出。

以上の版を用いて、別版タイプ(@+A+C+D)、合版タイプ(B+C+D)の2種類の版構成で印刷した。

画像
ガウス120%にぼかしたぼかし画像
画像上で7%に製版したシャープ画像

版の構成

【別版タイプ】 ぼかし版:<特色シアン(オペ―クホワイト混入)→蛍光マゼンタ(オペ―クホワイト混入)→蛍光イエロー(オペ―クホワイト混入)>→シャープ版:<特色シアン→蛍光マゼンタ→蛍光イエロー>→特色スミ→マットスミ
【合版タイプ】 特色シアン(オペ―クホワイト混入)→蛍光マゼンタ(オペ―クホワイト混入)→蛍光イエロー(オペ―クホワイト混入)→特色スミ→マットスミ
刷り上がり
画像
【合版タイプ】
ぼかし画像:ガウス120%
シャープ画像:7%濃度
インキ:希釈なし
用紙:ヴァンヌーボVG(スノーホワイト)

【ディテール】

●合版タイプ(インキの希釈による比較)

画像
ぼかし画像:ガウス120%
インキ:希釈なし
ぼかし画像:ガウス120%
インキ:濃度25%に希釈
ぼかし画像:ガウス120%
インキ:濃度50%に希釈
色がお互いに干渉しあい、グレー系の濁りが出ている。絵柄のアウトラインが想像以上にくっきり出た。 不透明インキのオペークホワイトで薄めているためにインキの透過性が損なわれ、色のバランスが最後に刷ったYの方向に少々転んでいるように見える。 ここまでインキが淡いとシャープ画像の効果もあまり発揮されず、色のかたまりにしか見えない。インキが薄くなっても同じように濁り、かえってグレイッシュなイメージが強くなった。

●別版タイプ

画像
ぼかし度:ガウス135%
インキ:ぼかし版のみオペークホワイト40%混入
全体的に、合版に比べると色の濁りが強い。
画像
トライアルを終えて
画像

画像
佐藤氏のコメント
「原画でグレイッシュな部分も、ぼかしをかけるとエアブラシで吹いたようなきれいな色の掛けあわせになるのが面白いですね。別版のほうはシャープ版が強く出すぎたのか、“ぬりえ”風なイメージが強く出すぎてしまったようですし、色も濁り気味ですね。それに対して合版タイプは刷り重ねないせいか、より鮮やかに発色していますので、今後は合版タイプで進行したいと思います。」

担当PDのコメント
事前にぼかしの度合いは135%、120%、105%の3段階を試したが、ぼかしが激しくなるほど隣接する色が影響し合って濁る傾向が出た。また、合版にして版数を抑えたほうがきれいな発色を得られることが判明。絵柄によっては周辺の色を計算しながら細かく調整する必要がある。

画像
次に向けて
画像

「今回の実験の延長戦として、ぼかし画像の濁りを取るための調整方法を考えてみるつもりです。まずはひとつの絵柄でしっかり作り方を考えてから次に進みたいと思います。」

プロフィール
画像

佐藤晃一 SATO KOICHI
画像
佐藤晃一
SATO KOICHI

グラフィックデザイナー
1944年群馬県高崎市生まれ。東京芸術大学美術学部工芸科ビジュアルデザイン専攻卒業。資生堂宣伝部を経て、1971年に独立。’85年東京ADC最高賞、’90年毎日デザイン賞、’97年芸術選奨文部大臣新人賞受賞。ニューヨーク近代美術館(MoMA)ポスターコンペ一席をはじめ多数の国際ポスターコンペで受賞。作品は国内外の多数の美術館に所蔵されている。現在、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)、AGI(国際グラフィック連盟)、日本デザインコミッティー、東京ADC(アートディレクターズクラブ)、東京TDC(タイプディレクターズクラブ)各会員。多摩美術大学教授。「超東洋的」と評される独自な表現で知られるが、近年はそれにとらわれない自由な表現を展開している。
画像
 
  • グラフィックトライアル twitterはじめました

PDFファイルをご覧になるには、下のボタンから最新のプラグインをダウンロードし、インストールしてご覧ください。

Get Adobe Reader

  • ご意見・ご感想・お問い合わせ 
  • 著作権について 
  • 個人情報保護方針
© 2002 TOPPAN PRINTING CO., LTD.