TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 2.トライアル1-佐藤晃一
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トライアル1
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蛍光インキの濃度チャートをつくる

「まずはインキを決めるために、イエロー、マゼンタ、シアンの蛍光インキを薄めるテストをします。蛍光インキを薄めて刷り重ねた場合、どのような発色が得られるのか、いくつかの方法を試してその効果を確かめていきます。 “きいちのぬりえ”の原稿は鮮やかな色なので蛍光インキは効果的だと思いますし、それをさらに淡い色で表現すれば鈴木春信の浮世絵のようなイメージになってくれそうな気がします。淡い蛍光色で、淡白だけれども澄んだ、イラスト自身が発光しているような世界を表現したいと思います」
原稿
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「あやとり」©きいち/小学館(印刷物)
イラストの右には使用したインキを確認できるチャートを入れた。
用紙/インキ

用紙は蛍光色の発色が良い紙として白さに秀でたラフグロス紙と、比較のためのコート紙の2種を使用。
インキでは、蛍光インキの希釈剤としてメジウムとオペ―クホワイトを使用し、混入の割合を75%、50%、25%でテストした。

用紙

ルミネッセンス(マキシマムホワイト)/片面クロームカラー

インキ

特色シアン※/蛍光マゼンタ/蛍光イエロー/スミ
希釈剤: メジウム/オペークホワイト

※特色シアン: 蛍光マゼンタ、蛍光イエローとのバランスを見て調肉した彩度の高いシアン。

製版/校正刷り

イラストはシアン・マゼンタ・イエローの3色製版(イラスト右側のチャート部分のみ4色設計)とし、スミ以外の3色を蛍光インキに置き換えた。線数は175線。また、メジウムやオペークホワイト以外の薄め方として、画像自体を75%、50%、25%に薄くした版も用意した。

版の構成

スミ→特色シアン→蛍光マゼンタ→蛍光イエロー

刷り上がり
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蛍光インキにメジウム75%混入したもの。
用紙:ルミネッセンス(マキシマムホワイト)

【ディテール】
メジウムとオペークホワイトの希釈で濃度の差はあまり見られないが、オペークホワイトは混入率が高いほど不透明になるため、先に刷った色がやや隠蔽されている。

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【ディテール(比較)】
薄めていない蛍光インキを刷り重ねるテストも試みた。

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トライアルを終えて
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佐藤氏のコメント
「どれも美しい色が出ましたね。今回のトライアルを一目見て、『大丈夫だ、これは必ず成功する』と確信しました。発色に関してはメジウムとオペークホワイトではそれほど際立った差異は出ませんでしたが、いずれの方法も薄くなればなるほど青系統に色が転ぶ傾向が見られました。大きな違いとしては、オペークホワイトで薄めたインキは、不思議な粉っぽさがあることでしょうか。まるで日本の“白粉(おしろい)”のようで、この質感は今回のモチーフにはちょうどいいと思います」

担当PDのコメント
プロセス4色を薄めることは度々あるが、蛍光インキの希釈は我々も初体験で、いずれも彩度の高さを保ちつつもバランス良く発色したように思う。ただ、オペークホワイトを混ぜるとインキは不透明になって色を隠蔽してしまうことも確認。刷り重ねるとシアン版が弱く、イエロー版は強く出てしまうので、製版段階で調整する必要がある。メジウムの場合は、薄まりつつも濃度が出るという特徴があった。常に興味深いトライアルだった。

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次に向けて
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「次の段階は、オペークホワイトを混ぜた蛍光インキの濃度を詰めながら、絵柄をぼかすテストを行います。ピンボケ画像の上に薄くシャープ画像を刷り重ねることで、ぼかしながらも着物の模様などの情報が伝わる絵を目指します」

プロフィール
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佐藤晃一 SATO KOICHI
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佐藤晃一
SATO KOICHI

グラフィックデザイナー
1944年群馬県高崎市生まれ。東京芸術大学美術学部工芸科ビジュアルデザイン専攻卒業。資生堂宣伝部を経て、1971年に独立。’85年東京ADC最高賞、’90年毎日デザイン賞、’97年芸術選奨文部大臣新人賞受賞。ニューヨーク近代美術館(MoMA)ポスターコンペ一席をはじめ多数の国際ポスターコンペで受賞。作品は国内外の多数の美術館に所蔵されている。現在、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)、AGI(国際グラフィック連盟)、日本デザインコミッティー、東京ADC(アートディレクターズクラブ)、東京TDC(タイプディレクターズクラブ)各会員。多摩美術大学教授。「超東洋的」と評される独自な表現で知られるが、近年はそれにとらわれない自由な表現を展開している。
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