TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 4.トライアル3-名久井直子
トライアル3
昔のような印刷物をつくる
「古い本には、今の印刷物にはない独特の味わいがあります。たぶん製版も紙もインキも今とは違っていたのでしょう。そこで今回のトライアルは名付けて『なつかし印刷』。今の印刷で、昔の印刷物のようにするためにはどうしたらいいかを考えます。原稿はイラストレーターの布川愛子さんにお願いして描き起こしていただきました」
版ズレ・モアレ・背景色のテスト
印刷の精度が低いと版ズレやモアレが起き、結果として微妙な色調とラフなエッジが生まれる。また、昔のように質が悪い紙の場合は、用紙の色味が刷り色に影響してくる。これらの効果をねらった実験。
原稿
布川愛子さんによるイラストの原画(水彩絵の具にて着彩)
他の実験も同じ原稿を使用
用紙/インキ
風合いのあるやわらかい印象の用紙を使用。インキはレギュラーのプロセス4色を使用。
用紙
OKアドニスラフW
インキ
プロセス4色(レギュラー)
製版/校正刷り
画像で各版を操作して版ズレを起こした。また4色分解して網点の状態にした原画を出力し、それを再度スキャニングして4色分解することで網点をダブらせてモアレを起こした。加えて薄い背景色を全面に引いたものも作成した。
版の構成/刷り順
K→C→M→Y
刷り上がり
版ズレ・モアレ加工を施して印刷したもの
【ディテール】
左上:4色分解した原画を普通に印刷/右上:版ズレ加工を施して印刷
左下:版ズレ、モアレ加工を施して印刷/右下:版ズレ、モアレ、背景色を施して印刷
フィルム出力とCTP出力、用紙のテスト
現在はデータから直接刷版に出力するCTP出力が主流だが、10数年前まではフィルム出力が中心的に用いられてきた。見本となった大正・昭和初期の印刷に近づけるための製版実験。
用紙/インキ
風合いのある一般的な用紙のほか、コミック誌などに用いられる古紙再生紙を用意。昭和初期頃の本を参考に、質感や発色を考慮して選択した。インキはレギュラーのプロセス4色を使用。
用紙
OKアドニスラフW/印刷せんか紙(古紙再生紙・4種)
インキ
プロセス4色(レギュラー)
製版/校正刷り
ノーマル製版で、フィルム出力とCTP出力の違いを確認した。
版の構成/刷り順
K→C→M→Y
刷り上がり
フィルム出力で印刷せんか紙(白色)に印刷したもの
【ディテール】
左上:OKアドニスラフW/右上:印刷せんか紙(白色)
左下:印刷せんか紙(緑色)/右下:印刷せんか紙(ピンク色)
インキセットの検証
4色分解した版をそれぞれ違う設定によるインキで印刷し、なつかしい印刷にするための効果のほどを確認した。
用紙/インキ
風合いのあるやわらかい印象の用紙を使用。インキは通常のレギュラーインキのほか、広演色プロセスインキkaleido、PANTONEプロセス、さらに、昔の印刷物を検証しながら調合したオリジナルのインキセットを用意した。
用紙
OKアドニスラフW
インキ
プロセス4色(レギュラー)/広演色プロセスインキkaleido/PANTONEプロセス/オリジナルインキセット
製版/校正刷り
ノーマル製版で、インキの違いによる効果を確かめた。
版の構成/刷り順
K→C→M→Y
刷り上がり
オリジナルインキセットで印刷したもの
【ディテール】
左上:レギュラーインキ/右上:広演色プロセスインキkaleido
左下:PANTONEプロセス/右下:オリジナルインキセット
トライアルを終えて
名久井氏のコメント
「版がずれると全体的な彩度が落ちるんですね。これは発見でした。ただ網のズレ方が機械的に見えるのでもっとアナログ感を出したいですね。やはりCTP出力よりはフィルム出力のほうが柔らかい感じがするので、これでもう少し線数を粗くすればもっと雰囲気が出そうな気がします。インキはオリジナルセットがいい感じ、これでもう少し赤を工夫して、黄色を派手にすればイメージにぐんと近くなりそうです。ちょっとマニアックなトライアルになってきましたが、もう少し手を加えればうまくいきそうな気がしてきました!」
担当PDのコメント
まず、今と古い印刷物の違いとは何かと考え、製版によってモアレ、エッジのブレ、色のにごり、色みのある紙地を意図的につくりだすことにした。さらに、インキそのものの色に手を加えてみた。結論としてはピントを甘い感じにするために、モアレや版ズレを施して製版し、フィルム出力でオリジナルのインキを使うのがいいようだ。本番に向けて赤・黄のインキの彩度を高めるなど、さらに改良を加えていきたい。
次に向けて
「次はトライアル2の紙版印刷“オフセット・ステンシル”に再挑戦です。前回で手ごたえはつかめたので、絵柄の限界や紙版の強度などを確かめていきます。ポスター大のB全で実験します」
プロフィール

名久井直子 Nakui Naoko
名久井直子
Nakui Naoko

ブックデザイナー
1976年岩手県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年よりフリーランスとして活動。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がけるとともに、小説家の長嶋有、柴崎友香、福永信、美術家の法貴信也とブックスゴニングミを結成し同人誌を刊行している。主な仕事に、『真昼なのに昏い部屋』(江國香織)、『エルニーニョ』(中島京子)、『夢みごこち』(フジモトマサル)など。
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