TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 1.トライアル1-佐藤可士和
トライアル1
重ね刷りの指標をつくる
「いつも不満に思うものにベタ面があります。色をバーンと使って強い作品をつくりたくても、CMYKや特色の1回刷りでは思ったような重さや深みはどうしても出てこない。2回、3回と重ね刷りをと思っても、ただ重ねればよくなるというものではありません。何回目で彩度が落ちるか、どこがもっともキレイに見えるか、どこまでやれば目指す色に到達するのか。その答えを手元に欲しいと思い、“重ね刷り”の指標をつくることにしました。色は事務所のコーポレートカラーであるPANTONE185C、そして銀インキ。PANTONE185Cは通常濃度のインキを使った場合と、薄めたインキを重ねた場合の2通りでつくってみました」
原稿
実験用のチャート(データ)
用紙/インキ
用紙はアート紙とマットコート紙の2種。
用紙
ダイヤプレミアグロスアート/ユーライト
インキ
特色赤(PANTONE185C)/銀/特色薄赤(PANTONE185Cをメジウムで4倍に希釈)
製版/校正刷り
線数は175線。特色赤(PANTONE185C)は同一版を100回まで、銀は50回まで刷り重ねる。薄赤は目標の色(PANTONE185C)になるまで刷り重ねる。
版の構成/刷り順
いずれも同一版の重ね刷り
刷り上がり
【全体】
特色赤(PANTONE185C)の重ね刷り(用紙:ユーライト)
上:左より、1回刷り、10回刷り
下:左より、50回刷り、100回刷り
【ディテール】
特色赤(PANTONE185C)の重ね刷り
左:1回刷り/右:100回刷り
重ねるほどに物質感が増し、100回刷りでは紙の印刷面というより金属の塗装面のようなツヤが生まれた
銀の重ね刷り(用紙:ユーライト)
左:1回刷り/右:50回刷り
【全体】
特色薄赤の重ね刷り
左:1回刷り/右:9回刷り
【ディテール】
特色薄赤の重ね刷り
左:1回刷り/右:9回刷り
濃度の薄いインキを刷り重ねることで、明度や彩度を損なわずにインキの厚みを増すことができた
トライアルを終えて
佐藤氏のコメント
「さすがに100回刷りというのは初めての体験で、“こうなるのか”という驚きがありました。これだけ刷るとマットな紙でもものすごく物質的なツヤになるんですね。結果としては狙っていた通りのことができたなと思います。このトライアルの目的は指標をつくること。具体的な数値を得るために、印刷物の断面を電子顕微鏡で撮影して計測もしました。それにしても100回刷るとインキの厚みもピッタリ100倍。重ね刷りによる効果もはっきり見えるチャートになりました。シルバーは重ねるにつれて黒ずんで来るかと思いましたが、ある程度からは変化がなくなることもわかりました。薄赤の重ね刷りは物質感としては9回目がいいかな。物質感はすごくいいけれど、ちょっとマニアックでしたね」
担当PDのコメント
まさに“百聞は一見に如かず”のトライアルになった。アイデアとしては誰もが一度は考えたことがあるかもしれないけれど、本当にやってしまうというのが何よりすごいことだと思う。実際に目にしたのはもちろん自分も初めてのことで、インキの“膜”を超えた物質感に圧倒された。明快な“解”を求めている佐藤氏に対し、関係式をきちんと提示してきちんと答えを出していきたいと思う。今回は電子顕微鏡を使ったが、今後の実験に関してもそれぞれに客観的なデータを提示していきたいと思う。ところで、電子顕微鏡で見ると印刷面が非常にフラットなのが良くわかるが、これはまさに刷り師の技の賜物だ。手法がシンプルなだけに刷り手に負うところが多いトライアルでもある。
次に向けて
「次は極細の罫線と極小の文字を極めます。なんとなく限界点を決めながら仕事をしていますが、実際にどこまでできるものなのかオフセット印刷でどこまで行けるのかを確かめてみたいと思います」
プロフィール

佐藤可士和 Sato Kashiwa
佐藤可士和
Sato Kashiwa

アートディレクター/クリエイティブディレクター
1965年東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、株式会社博報堂を経て、2000年「サムライ」設立。強力なビジュアル開発力によるトータルなクリエイティブワークで高い評価を得ている。主な仕事にユニクロ、楽天グループ、国立新美術館、NTT docomo「N703iD」、スマップなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。明治学院大学、多摩美術大学客員教授。著書に「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」(日本経済新聞出版社)。http://kashiwasato.com/
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